陽性者80人? 豊洲市場水産仲卸で大規模クラスターが発生か

豊洲市場水産仲卸で大規模クラスターが発生か 4000人対象に大規模PCR検査を実施へ

記事まとめ

  • 東京都は豊洲市場の水産仲卸事業者を対象とした自主的なPCR検査を始めると発表した
  • 豊洲市場などで判明している累計感染者数は76人だが、都は、クラスターについて触れず
  • 3年前の豊洲市場では、設置済みの棚など資機材の一部にカビが発生、被害は広範囲に

陽性者80人? 豊洲市場水産仲卸で大規模クラスターが発生か

陽性者80人? 豊洲市場水産仲卸で大規模クラスターが発生か

豊洲市場(C)日刊ゲンダイ

【小池知事「伏魔殿都政」を嗤う】#10

 東京・豊洲市場で新型コロナウイルスの感染者が相次いでいることを受け、東京都は16日、主に市場業界団体「豊洲市場協会」の水産仲卸事業者を対象とした自主的なPCR検査(遺伝子検査)を始めると発表した。クラスター(感染者集団)が叫ばれる中、現在、豊洲市場などで判明している累計感染者数は76人。市場当局の元職員は新たなPCR検査の難しさについてこう語っていた。

「築地市場の時代から、水産仲卸の人たちは厳格な衛生観念を持っているように思えませんでした。おそらく、新型コロナ対策として、手洗い、マスクの着用をお願いしても素直に従ってくれないでしょう。そういう状況なので、PCR検査を増やすほど陽性者が出てくる可能性はあると思います」

 実際、現場は保健所の指導に従って適切に対応している――となっているが、実態は真逆のようだ。例えば、陽性反応の結果に対して、「PCR検査の精度が悪いから」と難癖をつけたり、自分が濃厚接触者であることに納得がいかないと保健師に噛みついたり。現場の保健所職員が精神的に参っている、との話も聞いた。水産仲卸の現場では私も手を焼いたことがあり、保健所の現場の苦労は察するにあまりある。

■4000人検査でもクラスター発生ではない水産仲卸の不可解

 仲卸売場棟では、少なくとも約30店舗で感染者が出ているという。仲卸棟に出入りする業者も「あそこへは行かないほうがいいです」と話す。こうした事態に対して水産仲卸の組合は、ついに4000人を対象とする大規模PCR検査を実施することを決めた。

 80人感染確認・4000人検査実施――。これをクラスター発生と言わずして、何と表現しろというのだろうか。誰が見ても、豊洲仲卸クラスター発生ではないか。ところが、東京都は、クラスター発生については触れず、「情報公開が1丁目1番地」と言っていた小池都知事も情報発信していない。病院や施設で複数人の陽性者が発生すれば、すぐにメディアに取り上げられ、施設名も明るみになるのに豊洲市場の水産仲卸を特別扱いする東京都の姿勢は極めて不可解と言わざるを得ない。

「豊洲ブランド」に傷がつくと市場関係者が猛反対しているのか。それとも、生鮮食料品を取り扱う市場に対する風評被害を心配しているのか。だが、そんな理屈は通らない。豊洲市場だけをアンタッチャブルな存在にしてクラスター発生を隠蔽するなど言語道断。小池都知事は即刻、すべての情報を開示し、豊洲市場の感染状況を明らかにすべきだろう。

■3密の仲卸売場棟でカビ大量発生の過去

 水産仲卸売場棟は広大なスペースが広がる水産卸売場棟とは違って1500近い小さな区画の集合体だ。店舗同士の間の細街路はすれ違うのがやっとの狭さで、そこで日々、売り主と買い主が商売をしている。つまり、仲卸売場棟は、そもそも構造上、密集・密接の条件がそろっている。加えて、食品管理の国際基準HACCP(ハサップ)をクリアするため、豊洲市場は外気に直接触れないように密閉構造になっている。築地市場のような吹きさらしではない。3密の条件がそろっているのが、豊洲市場水産仲卸売場棟なのである。

 今回の感染者大量発生の問題で、ある事件を思い出した。3年前の豊洲市場で起きたカビの大量発生だ。第一発見者は巡回中の警備員。設置済みの棚や洗面台など資機材の一部にカビが発生していたのだ。被害は広範囲に及んだ。

 この時、原因は空調にあった。移転延期期間中の建物維持経費を1円でも削るため、24時間の空調をしていなかったのである。カビと新型コロナはまったくの別物とはいえ、3密を好むという点ではどこか似ており、カビ事件の遠因が今回のコロナ拡大につながった側面も否定できない。

 新型コロナによる売り上げ減と感染者の大量発生で踏んだり蹴ったりの豊洲市場ではあるが、クラスター発生を何事もなかったかのようにスルーしようとする東京都と小池知事の態度だけはスルーするわけにはいかない。

(澤章/東京都環境公社前理事長)

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