北京五輪ボイコット想定せず=菅首相、「東京」抱え難しい対応

 2022年の北京冬季五輪について、米国務省報道官が中国の人権問題を理由にボイコットの可能性に言及した。だが、今夏の東京五輪参加を各国に呼び掛けている日本政府は、現時点でボイコットは想定しておらず、中国との対立激化も望んでいない。米側が動きを具体化させれば、菅義偉首相は難しい対応を迫られそうだ。

 米政府の動きについて、加藤勝信官房長官は7日の記者会見で「日米間でそうしたやりとりをしているという事実はない」と説明。16日には首相が訪米してバイデン大統領との首脳会談に臨み、中国への向き合い方も主要な議題になる見通しだが、北京五輪への不参加の是非が提起されるかについては「予断をもって申し上げるのは控えたい」と述べるにとどめた。

 首相は新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、各国首脳との対話を通じ、7月23日に開幕が予定される東京五輪について「安全・安心な大会を実現する」とアピールしてきた。政府関係者は「自分がまともに五輪を開けるか分からないのに、他人のことに首を突っ込んでいる場合ではない」と語り、当面は静観すべきだと指摘する。

 日本は旧ソ連のアフガニスタン侵攻を非難する米国に歩調を合わせ、1980年のモスクワ五輪をボイコットしている。首相官邸関係者はこのときの教訓を「アスリートが苦しんだだけで、結局何にもならなかった」と振り返り、否定的だ。

 ただ、16日の首脳会談を含め、米側から具体的な提案があれば、日本側も対応を検討せざるを得なくなる。中国の隣国で経済的結び付きも強い日本は、米国のように強硬一辺倒の姿勢を取りづらい事情があり、閣僚の一人は「首脳会談で言われると困る」と警戒感を強めている。 【時事通信社】