在外邦人の孤独対策に着手=NPOと連携、相談体制構築―外務省

在外邦人の孤独対策に着手=NPOと連携、相談体制構築―外務省

外務省庁舎=2020年4月、東京都千代田区

 海外に住む日本人の孤独・孤立の問題に対応するため、外務省が国内のNPO法人と連携した取り組みを始めた。チャットやインターネット交流サイト(SNS)で相談を受け付けるNPOを紹介。DV(家庭内暴力)や子どもの虐待など緊急を要する深刻なケースに在外公館の職員らが対応できるよう、NPOと本省のホットラインを構築した。

 新型コロナウイルス感染拡大で孤独・孤立の問題が深刻化しているとして、政府は2月、担当相と対策室を設置した。外務省の動きはこの一環で、諸外国がロックダウン(都市封鎖)など厳しい措置を講じる中で在外邦人が孤独感を深める可能性があり、対応が必要と判断した。

 外務省の調査によると、2019年の在外邦人の死亡理由は傷病に次ぎ自殺が2番目に多い。同省の取り組みがスタートした9日、茂木敏充外相は記者会見で「海外にいると特に孤立や孤独の問題に直面する。そういった方々の声に丁寧に耳を傾けたい」と語った。

 連携するNPOは、チャットによる24時間体制の相談窓口を運営する「あなたのいばしょ」、18歳以下を対象にした「チャイルドライン支援センター」など5法人。本省や在外公館のホームページ、在留邦人向けの「領事メール」を通じ、これらの連絡先を紹介する。

 ◇「ためらわず相談を」

 「いばしょ」が昨年3月から今年6月に海外在住者から受けた相談は約700件に上った。親から虐待を受けたという子どもからの相談もあったが、現地の総領事館などへの通報ルートもなく対応には限界があったという。

 こうした状況を踏まえ、「いばしょ」の大空幸星理事長が今年3月、在外邦人の孤独対策の必要性を茂木氏に提言し、今回の連携につながった。大空氏は取材に「言語や文化の壁もあり、誰にも相談できずに悩み苦しんでいる方がいる。ためらわずに相談してもらいたい」と語っている。 【時事通信社】