パイロットに育成費返還義務=自衛官の早期退職防止―防衛省検討

パイロットに育成費返還義務=自衛官の早期退職防止―防衛省検討

松島基地を離陸する航空自衛隊のF2B戦闘機=1月15日、宮城県東松島市

 防衛省が、早期に退職した自衛隊のパイロットに対し、教育・訓練に要した費用の返還を義務付ける「償還金」制度の導入を検討していることが分かった。政府関係者が明らかにした。退職者を減らし、5年で5億円必要とされる育成費用が無駄になるのを防ぐ狙いがある。

 自衛隊のパイロットになるには、入隊して給与を支給されながら教育を受ける「航空学生」となったり、防衛大などを卒業して「飛行要員」として入隊したりするなどの方法がある。座学に加え、全国各地の拠点で飛行実習を行った後、部隊に配属される。米国留学して米軍基地で訓練を受けるケースもある。

 航空学生から戦闘機パイロットとなる場合、入隊から部隊配属までの育成コストは、教育・訓練費や燃料費、機体の維持・整備費などを含めると約5年で5億円程度かかる。少子化に伴う人材確保の難しさや厳しい財政状況を踏まえ、こうした費用が無駄にならないよう対策を求める声が政府内で上がっていた。

 自衛隊のパイロット資格保持者は、陸上・海上・航空自衛隊のうち空自だけで約1700人。操縦するのは戦闘機や輸送機、救難機などで、固定翼機だけでなく回転翼機(ヘリコプター)もある。自衛官の自己都合による退職は過去10年間で約4割増加し、年5000人程度に上る。うち3割がパイロットや医官・看護官といった特殊な職種で、対策が急務となっている。

 パイロットの退職理由としては、過酷な勤務環境や転勤の多さが挙げられる。中途退職後、民間の航空会社で勤務する事例も見つかっている。防衛省は退職者の状況について調査した上で、償還金の額や部隊配属から何年後までの退職者を対象とするかなど、詳細な制度設計について検討を進める方針。導入には法整備も必要となる。

 防衛省の久沢洋人事計画・補任課長は「少しでも退職者の減少につなげることができればいい」と話す。一方、省内では「一定の歯止めになるかもしれないが、新規隊員を募集する際にマイナスに働くのではないか」(空自幹部)と懸念する声も出ている。 【時事通信社】