皇位継承策、たなざらし懸念=与野党隔たり、参院選も意識

皇位継承策、たなざらし懸念=与野党隔たり、参院選も意識

安定的な皇位継承の在り方に関する政府の有識者会議の検討結果の報告書を細田博之衆院議長(中央右)、山東昭子参院議長(同左)に手渡す岸田文雄首相(右から2人目)=12日午前、国会内

 岸田文雄首相は12日、細田博之衆院議長、山東昭子参院議長らと国会内で会談し、安定的な皇位継承をめぐる政府有識者会議の検討結果を報告した。ただ、女性・女系天皇の是非など抜本対策には踏み込んでおらず、各党間の立場も隔たりが大きい。夏には参院選が控えており、国会での議論がたなざらしとなる恐れもある。

 首相は有識者会議がまとめた報告書を細田氏らに手渡し「政府として尊重する」と伝えた。報告書は、減少する皇族数の確保策として(1)女性皇族が結婚後も皇室に残る(2)旧宮家の男系男子が養子として皇籍復帰する―の2案を軸とする一方、女性・女系天皇の是非への言及は避けた。保守層に男系堅持を求める声が強いことなどが背景にある。

 自民党の茂木敏充幹事長は12日、党本部で記者団に「事柄の性格上、静かな環境の中で意見集約を進めたい」と述べるにとどめた。首相は昨年の自民党総裁選で、女系天皇容認への反対を明言しており、同党は与野党協議でも、皇族数確保を優先課題とする方針。閣僚経験者は「旧皇族を復帰させ、将来的には女性天皇を認めればいい」としつつ、「女系は駄目だ」とくぎを刺した。

 これに対し、立憲民主党は女性・女系天皇の容認も含め、抜本的な安定継承策や「女性宮家」創設を求めていく構え。西村智奈美幹事長は記者会見で「先延ばしできないはずの課題を、さらに先延ばしにしている」と批判した。野田佳彦元首相をトップとした検討委員会で党内議論を進める。

 日本維新の会の馬場伸幸共同代表は会見で「わが党には女性天皇を容認する考え方もある」と指摘。共産党の穀田恵二国対委員長も会見で「憲法の精神に基づく考え方からすれば女性を排除するということはない」と述べた。

 ◇18日から与野党協議

 衆参両院の議長は12日、連名で談話を発表した。2017年に天皇退位をめぐり与野党が議論したことに倣い、各党・各会派の議論に委ねる方針で、「政府の検討結果、国民各層における幅広い議論を踏まえつつ、慎重かつ丁寧に検討を進めていきたい」と表明した。

 与野党の代表は18日、松野博一官房長官から説明を受け、今後の議論の進め方も話し合う。ただ、参院選を前に、与党側には国論を二分しかねない問題を回避しようとの姿勢がにじむ。自民出身の細田議長は記者団に「十分な時間をかけて検討してもらう段取りだ」と強調した。

 17年6月に成立した天皇退位特例法の付帯決議は、国会が政府に対し、皇位安定に関する課題を速やかに検討し報告するよう求めたが、安倍・菅政権で議論は遅々として進まなかった。5年近くたってようやく検討結果が提出されたが、国会での議論は早くも停滞する懸念が出ている。 【時事通信社】