宙に浮く「高齢社会報告書」=金融庁、修正、撤回検討−参院選後に先送り公算

 金融庁の有識者会議が老後資金に2000万円が必要だとする資産形成の必要性を指摘した「高齢社会報告書」が宙に浮く事態となっている。「政府のスタンスと合わない」とし、麻生太郎金融相が受け取りを拒否したためだ。同庁は内容の修正や白紙撤回を含め今後の取り扱いを検討しているが、7月の参院選後に先送りされる公算が大きい。

 報告書は、金融審議会が設置したワーキンググループ(WG)が昨年9月から12回にわたる議論を経てまとめた。WGは金融庁が選んだ大学教授や金融関係者ら21人で構成し、オブザーバーには関係省庁や業界団体が名を連ねた。

 報告書はWGで決定された後、例年秋に開催される金融審の総会に報告され、了承される予定だった。しかし、報告書について野党などが「公的年金制度の破綻を認めたものだ」と批判。参院選の争点とする構えを強めたことを受け、麻生氏は11日、受け取り拒否を表明し、騒動の幕引きを図った。

 麻生氏は「(報告書は)まだ金融審の総会を通っていない」と指摘し、拒否できるとの考えを示した。ただ、通常は事実上の結論となる報告書が拒否される事態は極めて異例。そもそもWGは、麻生氏が市場をめぐる多様な問題について金融審に諮問したことを受け、2016年4月に設置された会議だった。

 大臣による受領拒否を受け、報告書の取り扱いは金融庁に投げ返された格好。同庁は修正、撤回といった判断を迫られるが、同庁幹部は「すぐには判断できない」と、参院選後に先送りしたい考えをにじませた。

 別の幹部は「趣旨とは違うところが注目された。脇が甘かった」と悔やむが、報告書に対しては長寿化社会の問題に正面から向き合ったと評価する声も多い。WGに参加した民間委員は、政治問題化した現状への言及を避け「高齢化の話は重要だ。議論を続ける必要がある」と話すにとどめた。 【時事通信社】