年金財政検証、公表ずれ込みも=参院選後に、金融庁報告書が影響

 老後資金に2000万円が必要だとした金融庁の報告書の影響で、5年に1度の公的年金の財政検証の公表時期が不透明さを増している。厚生労働省は当初6月初旬を想定して作業を進めていたが、報告書を受けて野党が攻勢を強める中、与党内からは夏の参院選後に先送りを迫る声が上がっている。

 財政検証では、65歳で受給を始めるモデル世帯の年金額が、現役世代の手取り収入の何%になるかを示す「所得代替率」を試算。2004年の年金制度改革で約束した50%を確保できているかを確認する。

 前回14年の財政検証は6月初旬に結果が公表されており、今回も同様の日程を念頭に作業が進んでいた。しかし相次ぐ統計不正問題を踏まえ、厚労省が慎重に試算を進めたため、見通しよりも作業に遅れが生じた。

 さらに、財政検証をめぐっては与党内で、野党が高齢者の生活に関する批判材料に使うのではないかと警戒する向きもある。このため、金融庁の報告書を受け、与党幹部からは「いつ出してもいいなら、選挙で足を引っ張るまねはするな」と、暗に参院選後の公表を迫る声が上がる。厚労省幹部は「もはや厚労省で判断できるレベルを超えた」と漏らす。

 急速な少子高齢化により社会保障の「受け手」と「担い手」のバランスが崩れる中、厚労省は年末までに年金制度改正作業を進め、来年の通常国会に関連法案を提出する方針。その土台となる財政検証の公表がずれ込めば、改正全体にも影響が及ぶ可能性がある。 【時事通信社】