政権浮揚へサプライズ起用=安倍首相、「囲い込み」狙いも−小泉氏入閣

 国民的人気の高い小泉進次郎氏の初入閣は、今回の内閣改造・自民党役員人事で最大のサプライズとなった。安倍晋三首相(党総裁)には、政権浮揚を図るとともに「将来の総裁候補」を自らの手で育て、囲い込む狙いもあるとみられる。

 小泉氏は、28歳の初当選時から脚光を浴びた。父の純一郎元首相譲りの歯切れのいい演説で、国政選挙の際には党内きっての人気弁士として全国を回り、先の参院選までの国政選挙6連勝にも貢献。早くから若手政治家の登竜門である官房副長官や、閣僚への起用が取り沙汰されてきた。

 ただ、小泉氏は党総裁選で過去2回、首相ではなく石破茂元幹事長に投票。昨年9月の総裁選の際には「党内で多様な意見が言える環境が大事だ」と強調した。

 強権的に映る政権運営に苦言を呈することも辞さない小泉氏に対し、首相は複雑な思いも抱いていたようで、小泉氏の入閣には慎重だった。今回の人事をめぐって首相周辺からも「小泉氏の起用はない」という声が上がっていた。

 そうした中での小泉氏抜てきには、菅義偉官房長官の意向が働いたとの見方が強い。8月発売の月刊誌で小泉氏と対談した菅氏は、小泉氏の入閣が望ましいとの考えを表明。小泉氏の先月の結婚も、先に報告した菅氏に促されて首相に伝えた。小泉氏周辺は「菅氏が首相に入閣を推薦した」と語った。

 関係者によると、小泉氏も今回は入閣に前向きだったという。これまでに党農林部会長で農業改革、筆頭副幹事長で国会改革、現職の党厚生労働部会長で社会保障改革に取り組んだが、めざましい成果を挙げたとは言い難い。ベテランは「早期の総裁選出馬を見据え、経験を積みたいのだろう」と指摘。無派閥議員を中心に勢力を持つ菅氏との関係強化も狙いのようだ。

 党内は歓迎する声が大勢だ。細田派幹部は「いいじゃないか。政権浮揚につながる」と手放しで評価する。小泉氏が育休取得に意欲を示し、選択的夫婦別姓制度の導入に言及したことに関し、政権幹部は「両立したらいい」と容認。石破派中堅は「バンバン発信すればいい。党内で文句が出ても、一般国民は共感する」(石破派中堅)とエールを送った。

 ただ、プライベートでも注目される中、閣僚として手腕を発揮するのは容易ではない。成果が挙げられなければ野党の攻撃は避けられず、「進次郎さんは丸裸にされる。相当大変だ」と不安を口にする党関係者もいる。 【時事通信社】