追加緩和「果断にやるべきだった」=西村清彦元日銀副総裁―10年上期議事録

追加緩和「果断にやるべきだった」=西村清彦元日銀副総裁―10年上期議事録

インタビューに応じる西村清彦元日銀副総裁=7月下旬、東京都港区

 日銀はこのほど、2010年1〜6月の金融政策決定会合の議事録を公表した。当時の副総裁、西村清彦・政策研究大学院大学特別教授はインタビューに応じ、デフレ脱却へ追加緩和を求める声が強まる中、「もっと果断にやるべきだった」と振り返った。主なやりとりは次の通り。

 ―当時の経済状況は。

 マクロ経済指標では強い回復傾向が示されていたが、中小企業や家計は非常に悪い状態。大企業は賃金抑制やコスト削減で改善し、しわ寄せが中小企業と家計に表れていた。

 ―景気回復の中、10年3月に追加緩和を行った。

 経済の実態と、家計や中小企業の心理面に乖離(かいり)が生じていた。心理的な落ち込みによる中長期的な成長期待やインフレ期待の下振れを防ぐため、思い切った施策を打つ必要があると判断した。ただ(政策を)小出しにせず、もっと果断にやるべきだった。

 ―6月会合では、銀行が成長企業に融資しやすくする異例の施策も導入した。

 お金が流れるべきところに流れて成長企業が育ち、潜在成長率を上げる目的で始めたが、単に(銀行の)貸出額を増やすだけの手段となった。効果が上がらず、やりたいことに必ずしもつながらなかった。

 ―当時の民主党政権からは追加緩和を求める声が相次いだ。

 (デフレ脱却に向け)政治圧力は非常に強かった。政府との意思疎通はあまり良くなかった。

 ―現在の日銀の新型コロナウイルス対応をどう評価する。

 (断続的な追加緩和など)初動の対応は評価できる。ただし、景気がV字回復できないと政府から圧力がかかる可能性がある。中小企業を中心に経営は厳しさを増すとみられ、日銀としても安全網を考えるべきだ。 【時事通信社】