国際司法裁提訴に慎重論=慰安婦問題「蒸し返し」懸念―政府

国際司法裁提訴に慎重論=慰安婦問題「蒸し返し」懸念―政府

記者会見する加藤勝信官房長官=12日午前、首相官邸

 日本政府に元慰安婦への賠償を命じた韓国地裁判決を受け、日本側は対抗措置を検討している。自民党内では「判決は国際法違反」として国際司法裁判所(ICJ)への提訴も選択肢として浮上しているが、政府内には慎重論も根強く、当面は韓国側の出方を注視する方針だ。

 加藤勝信官房長官は12日の記者会見で「国際法の『主権免除』原則から日本国政府が韓国の裁判権に服することは認められない」と述べ、韓国側が判決を取り消すべきだとの立場を強調した。

 国際法では、主権国家は他国の裁判権に縛られないという原則が定着している。だが、ソウル中央地裁は8日の判決で、日本統治下の朝鮮半島で行われた「反人道的犯罪行為」に主権免除は適用されないとの判断を示した。

 過去にはイタリア最高裁が戦時中のドイツの行為を主権免除の例外とし、自国民の賠償請求を認めた例もあるが、ドイツ側がICJに申し立てて勝訴している。

 12日の自民党外交部会では、出席者から「地方裁判所が主権国家の日本に命令し、それを韓国政府が追認するなどあってはならない」として、ICJ提訴を含む強い措置を求める意見が続出。外務省幹部は「あらゆる選択肢を考えている」と説明した。

 ただ、ICJは審理開始の前提として「紛争当事国間の合意」を求めている。韓国側が提訴に応じなければ、訴訟は成立しない。

 韓国側が応じた場合も、2015年の日韓合意で決着したはずの慰安婦問題が国際司法の場で蒸し返される事態は避けられない。こうした懸念から外務省筋は「非常識な判決を相手にする必要はない」と指摘。政府高官も「ICJ提訴はないだろう」との見方を示した。 【時事通信社】