世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第188回 日本と韓国

 8月15日、日本固有の領土であるにもかかわらず、韓国が実効支配している竹島に同国の超党派国会議員団10人が上陸した。韓国は竹島(韓国は独島と呼んでいるが)に対する「実効支配」を、年々強化していっている。
 歯に衣を着せずに書いておくが、戦争でもしない限り竹島は日本国に戻ってこない。それでも、日本国は国家としてやれることはすべてやらなければならない。理由はそれが「国家」というものだからだ。領土問題で手ぬるい対応を繰り返す国家は、国家たり得ない。

 日本が竹島という「領土問題」について、やれることは意外に多い。
 まずは、竹島問題を国際司法裁判所に提訴するのだ。国際司法裁判所は、紛争当事国の合意がなければ開かれない。もちろん「歴史的事実」という点で分が悪い韓国は、国際司法裁判には応じないだろう。ならば、日本側は毎年ひたすら提訴し、
 「韓国は自分たちが負けるのが分かっているから、提訴に応じない。すなわち、竹島問題に関する韓国の主張は根拠がない妄想である」
 と、世界にPRするべきなのだ(韓国が万が一、国際司法裁判に応じた場合、普通に敗訴する)。

 さらに、日本の外務省は巨額の予算を使って構わないので、世界で「竹島問題」に関するロビー活動や宣伝活動を繰り返さなければならない。外務省は2013年10月に、ようやく「竹島について」という、日本の立場を主張する動画を作成したが、全く足りない。
 また、日本は韓国に対し資本財輸出を制限するなど(※WTO違反だが、安全保障上の理由があるということにすれば可能)経済的に締め付け、さらに大量の漁船を派遣し、竹島近辺で漁業を行い、海上保安庁の船がそれを警護し、少しでも実効支配を取り戻す。
 これが「まともな国家」のやることなのだが、現実には国際司法裁判所への提訴すらしない。

 反対側で尖閣諸島については、公務員常駐の決断すら下せない。すでに中国側は数百隻の漁船を尖閣諸島周辺の接続海域に送り込み、中国海警局に警護させることで実効支配を強めるべく圧力をかけてきているにもかかわらず、日本サイドは海上保安庁が「警告」を繰り返すばかりだ。
 韓国は竹島に警備隊を常駐させ、国民(2名)を住まわせ、全国からクリスマスカードを送り、バスケットボール大会を開催し、修学旅行で子供たちに訪問させ、天気予報で必ず「独島」の予報についても報じる。実効支配を強めるとは、まさにそういう話なのだ。
 尖閣と竹島の「実効支配」の現実を見ると、日本と韓国、どちらが「国家」としてまともなのか、一目瞭然である。変な話だが、日本は尖閣については韓国の手法を見習い、竹島問題については中国のやり方に倣うべきなのだ。
 日本人は、戦争以外の理由で解決したケースがほとんどない「領土問題」について、「話し合い」で解決しようとする。残念なことに、世界は町内会ではない。

 世界には三ケタの領土問題が存在するが、そのほとんどは解決しない。ちなみに、中ロ国境の大ウスリー島の問題はロシアが譲り、「半分」を中国に返還することで解決したことになっている。とはいえ、現実には中国は「残り半分も中国領である」と主張しており、完全解決はしていない(なぜか、日本では解決したことになっているが)。
 あるいはトルコ(オスマン帝国)から独立し、メガリ・イデア(失地回復運動)で領土を奪い取ったギリシャは、もちろんトルコとの関係が悪い。ギリシャの安全保障上の最大の脅威は、隣国トルコなのだ。さらに両国は、エーゲ海の島々やキプロスの領有を巡って争っている。時に、軍事的に衝突するケースすらある。
 それでも、「何とかやっていく」のが国家間関係なのだ。日本人は問題が解決しないことに耐えられず、すぐに妥協や譲歩に走る。領土問題で妥協や譲歩を繰り返す国家は、普通に亡国に至る。

 日本は竹島、北方領土という二つの領土問題を抱えている(尖閣は領土問題ではない)。「解決しない問題」を抱えて生きていくことは、確かに難儀ではある。さらに、現在の日本では、
 「領土問題が原因で、隣国(韓国)との関係が悪化してもいいのか?」
 などと思ってしまう国民が多数派を占めるだろう。
 とはいえ、仲が悪くていいのである。世界の他の国々も、それぞれ決して仲がいいとは言えない隣国を抱え、それでも何とか国家を成り立たせ、存続しているのだ。

 安倍政権は8月24日、昨年末の日韓合意に基づき、韓国政府が元慰安婦支援のために設立した団体に政府予算から10億円を拠出することを閣議決定した。われわれの税金が、韓国の元慰安婦支援に渡ることになる。
 世界から見れば、誰であっても、
 「日本が『いわゆる従軍慰安婦問題』の非を認め、賠償金として10億円を支払った」
 と、認識されることだろう。と言うより、実際にされている。
 安倍政権は、ありもしない「慰安婦問題」を用い、われわれの先祖を貶める韓国のプロパガンダにおいて、決定的な役割を果たしてしまった。いかなる事情があろうとも、いかなる言い訳をしようとも、安倍総理は先祖を穢した。

 一部の日本国民は10億円の支払いと引き換えに、ソウルの日本大使館前の慰安婦像が撤去されると甘い期待を抱いていたようだが、そんなはずがないのだ。慰安婦像設置は韓国挺身隊問題対策協議会という民間団体が主導しており、韓国政府ではない。日本と韓国「政府」が合意したところで、慰安婦像が撤去されるはずがない。
 もちろん、韓国政府は「法律(国際法)」に則り、慰安婦像を撤去するべきだ。とはいえ、そんなことはやる気もないし、やる必要もないのである。何しろ大使館前に慰安婦像が置かれ続けることは、「日本を貶め、韓国を引き上げる」という韓国の国益にかなう。

 問題は、明らかに国際法(ウィーン条約)違反の像を大使館前に設置され、さらに自国領土(竹島)を実効支配されていながら、適切な対応策を打たない日本側にある。
 領土問題や外国問題を見る限り、日韓両国のいずれが「国家」としてまともなのか、誰の目にも明らかなのだ。間違いなく、韓国である。

みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。

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