ごみ屋敷条例案、横浜市議会論戦 支援か強制撤去か難題

 いわゆる「ごみ屋敷」解消に向けた条例案の議論が、横浜市会で進んでいる。住人が自主的にごみを片付けるための福祉的な支援が基本方針だが、解決のめどが立たなければ市側が強制撤去する内容。12月施行とする条例案に市議から目立った異論は出ていないが、支援と強制措置のバランスの難しさを指摘する声も上がる。

 「堆積している本人に寄り添い、ごみを片付ける支援が基本。親族らの協力も得て粘り強く働きかける」。林文子市長は6日の本会議で条例の趣旨を説明。一方、再三の対話に応じず、不良な生活の改善が見られないなら行政代執行に踏み切る考えも示した。

 市が把握するごみ屋敷は6月現在で60件。5年以上改善されていない深刻なケースは10件ある。長年地元で相談に応じてきた市議は「区役所が何度も本人を説得してきたが前に進まない。近隣にも影響が出て、限界まで来ている」と条例に期待を寄せる。

 「近隣住民の期待は一刻も早い改善に尽きる」「スピード感を持った対応を」−。常任委員会でも市議からは迅速な効果を求める声が相次いだ。

 代執行の対象範囲にも議論が及ぶ。全国で過去2例あるが、京都市と福島県郡山市ともに強制撤去されたごみは、屋外の一部。「条例でさらに前に進んでほしい」と話す市議もいるが、横浜市は屋内に踏み込むことまでは想定していない。その理由について「住居不可侵という憲法上の原則的な考えがある。著しく公益に反する状態でない限り難しい」と説明する。

 一方、高齢者施設を運営する市議はこう指摘する。「年を重ねれば、どうしても物を整理できない、片付けられない人もいる。条例の趣旨通り、福祉的な視点を第一にお願いしたい」

 代執行後、住人との関係が良好になった京都市に対し、郡山市では住人が話し合いに応じず、ごみは再び持ち込まれている。市担当者は「住人の事情や近隣住民への影響を考えると代執行はやむを得なかった。ごみが増えれば、また繰り返すしかない」。解決の見通しは立っていない。

 横浜市でも、住人との関係がこじれた例がある。市幹部は「『すぐに片付ければいい』と言われるが、措置を検討する前に、住人の生活を改善しながら信頼関係を築きたい」と説明。その上で「困難な案件はそれぞれ解決策が違い、時間はかかる。再発防止も地域の協力がなければ実現しない」と理解を求めた。