観光振興も人口減 箱根町町制60周年

 箱根町は30日、町制60周年を迎える。温泉地として栄え、観光業を発展の原動力に、国際観光都市として年間約2千万人前後の観光客が訪れる。一方で近年は人口減少や少子高齢化、慢性的な財政難に悩まされ、昨年の箱根山・大涌谷周辺の火山活動活発化では「活火山との共生」といった新たな課題も突き付けられている。

 町は1956年9月、当時の湯本町、温泉村、箱根町、宮城野村、仙石原村の2町3村が合併して誕生した。

 古くから温泉地などで知られた観光地だったが、62年に箱根新道、64年には乙女バイパスが開通。自動車社会の到来とともに観光施設も整備されると、年間観光客数も伸びていった。

 82年に入庁した総務部長の對木雄一さん(58)は「当時は社員旅行などの団体客が多く、外国人観光客は希有(けう)な存在だった」と振り返る。その外国人観光客は近年増加傾向で、町の試算では昨年は100万人を超えた。

 町の観光にとって転機となったのは昨年。4月下旬に大涌谷周辺の火山活動が活発化、6月には観測史上初となる小規模噴火が確認された。一時は大涌谷観光が休止し、影響は箱根全体にも及んだ。現在も火山ガスの影響による一部の立ち入り規制など、その余波を受けている。町は活火山としての箱根山を再認識し、安全と観光の両面で再び地域振興を模索する。

 また、町は人口減少にも直面。1965年の2万3千人をピークに減少傾向は続く。今年9月1日現在の人口は1万1578人。2014年には民間有識者会議「日本創成会議」の分科会から「消滅可能性都市」として名指しされた。

 少子高齢化も進み、町立小学校は1956年の6校から現在は3校となり、高齢化率もこの20年間で約20ポイント上がり、今年8月には35・8%となっている。

 岐路に立つ中での町制60周年。山口昇士町長(71)は一層の観光振興を目指すとした上で、「子どもたちの声が響く町をつくりたい」と話している。

 30日に仙石原文化センターで行われる記念式典では、和太鼓演奏や「火山観光と防災」を題材にした記念講演が開かれる。