感染拡大の"最悪"に備えてロックダウンのための補償システムを整備すべし!

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『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、都市封鎖(ロックダウン)を実施した際の国民への補償法を提案する。

(この記事は、4月26日発売の『週刊プレイボーイ19・20合併号』に掲載されたものです)

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政府は事実上の医療崩壊状態にある大阪府と共に、東京都、兵庫県、京都府の4都道府県を対象に緊急事態宣言を出した(今月25日から来月11日まで)。

大阪府では重症患者のベッドが足りず、がんや心臓病など急を要する一般手術を先送りする事態が起きている。このまま感染者が増え続ければ、ベッドで治療を受けられない患者が廊下にあふれるという野戦病院さながらの光景を招きかねない。

そんな状況で、今後も感染が抑えられないのであれば、視野に入れなければならない施策がある。それは欧米諸国で実施されてきた「都市封鎖(ロックダウン)」である。

しかし、日本では緊急事態宣言の発出で飲食店や遊興施設などに休業命令を出せるくらいで、完全ロックダウンを可能とする法律は整備されていない。人々の外出を強力に規制するロックダウンは、憲法に触れかねない私権の制限を伴うだけに、提案するにはかなりの勇気がいる。国会での熟議も必要だ。

だが、難しいからといって、議論もしないという今の与野党の姿勢はおかしい。危機対応の肝は、最悪の事態に備えること。今すぐに国会で審議を始めるべきだ。

ただし、ロックダウンできる法律の策定だけではダメだ。完全ロックダウンとなれば経済が急減速し、広範な業種に悪影響が及ぶ。そのため現在のように飲食店だけでなく、あらゆる業種に幅広く補償できる支援法が必要となる。大規模で広範な補償がセットになって、初めて完全ロックダウンは可能となるのだ。

その補償法として「ワンストップ」「ノーリミット」「ハイブリッド」の枠組みを提案したい。

「ワンストップ」から順に説明しよう。既存のコロナ支援策は休業補償や家賃補助、持続化給付金、各種政府機関の融資などに細分化され、それぞれ条件も異なる上に窓口も別々で、事業者の負担は極めて大きい。なので、窓口を一元化し手続きをスピーディに進める「ワンストップ」支援を実現する。

「ノーリミット」はコロナ直前の2019年度の売り上げや収入を基準とし、その金額まではいくらでも国が無利子・無担保で融資するという仕組みだ。

「ハイブリッド」は、多額の返済を恐れて融資の申請をためらう人に向けた策である。1年後の税務申告時にコロナによる損失を計上し、その分については全額返済免除=事実上の給付金とする。融資と給付がハイブリッド化(異種混合化)されるわけで、これなら誰でもためらいなく申請でき、コロナによる損失をカバーできる。

財源については赤字国債を発行すればよい。コロナが何年も続くわけではない。1、2年の限定措置なら、なんとかなるはずだ。

また、ワンストップの窓口としては税務署を薦めたい。税務署は19年度までの申告データを保有しており、各企業や個人の収支を把握している。それを活用すれば、申請者は収支を証明する手間が省け、迅速な融資が可能となる。

国税庁がそれでは徴税業務ができないと拒否するかもしれないが、この未曽有の緊急事態だ。1年くらい徴税を先送りにしても国家は滅びない。

変異株感染の拡大などコロナの脅威は次元を変えた。政府は今すぐ国民の命と暮らしを守る方策を準備するべきだ。

●古賀茂明(こが・しげあき) 
1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。『日本中枢の狂謀』(講談社)など著書多数。ウェブサイト『DMMオンラインサロン』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中。最新刊『日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任』(集英社)が発売中。

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