今年、最も活躍した政治家が語る裏話! ワクチン担当相、菅前首相、エネルギー政策、そして2022年。古賀茂明×河野太郎の年末特別対談【後編】

経済産業省の元官僚の古賀氏(左)と自民党広報本部長の河野氏(右)

2021年に、永田町で最も目立っていたのは間違いなくこの人だろう。今年10月に党広報本部長に就任した河野太郎(こうの・たろう)議員に古賀茂明(こが・しげあき)氏が直撃、対談企画が実現した! ワクチンをめぐる厚生労働省との暗闘から日本の改革の行方、2022年の展望、そして気が早いけど「次の総裁選への意欲」まで、前編記事に続きじっくり話してもらった。(全2回/2回目)  

(この記事は2021年11月末に対談取材を実施し、12月20日発売の『週刊プレイボーイ1・2合併号』に掲載されたものです)

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■「身を切る改革」より「実のある改革」を

古賀 とはいえ、日本の経済や産業力の落ち込みは深刻で、反転攻勢するにはさらなる規制改革が不可欠です。

河野 ハンコの廃止とか、小さな改革はそこそこ進んだけど、大きな改革はまだまだです。改革というと、すぐにコストダウンみたいな話になるけど、やるべきはそんな些末(さまつ)なことではなく、ビジネスモデルの大転換です。

例えば政府なら紙を全廃してすべてオンライン化する過程で、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めて行政の質の転換を進めないといけない。

古賀 マイナンバーは行政のデジタル化の武器になるのに、いまだにマイナンバーカードの普及率は4割台で、銀行口座のひもづけなどの議論も進みません。根底には国民の政府への不信感がある。個人情報や預金額が政府に渡ると、何かに悪用されるのではという警戒感です。

だったら、まず政治家自らがデジタルを活用して政治資金などをガラス張りにしなければならない。例えば支出をキャッシュレス化して、使途を電子データで公開する、あるいは個人資産情報をすべてマイナンバーカードとひもづける。こういった改革を率先すれば、政治への信頼が生まれてマイナンバーカードも普及し、行政のDXも加速します。

河野 政治資金についてはそうした改革は必要でしょう。ただし、今の法律では1円以上の寄付や支出もすべて開示請求があれば、領収書をつけて公開せよとなっている。これ、実際は大変なんです。数百円単位の駐車料金も利用した駐車場の住所を調べないといけない。そのために専従のスタッフが必要となる。それらのことに手間ひまを取られて、肝心の政治活動がおろそかになるのでは本末転倒です。

政治改革というと議員歳費カットや定数削減ばかり叫ばれるけど、やりすぎると議員報酬の低い地方自治体などでは議員のなり手が減り、自治が劣化しかねない。要はバランスの問題です。だから、私は「身を切る改革」もいいけど、本当に必要なのは「実のある改革」だと言っています。

サッカークラブ「湘南ベルマーレ」を応援している河野氏だが、今年はほとんど観戦できなかったという。同クラブのロゴが刺繍されたマスクを着用して公務に当たる日も

古賀 ここは国民の関心も強く、次の機会にもう少し議論させていただきたいですね。

次に、成長戦略はどうでしょう? カーボンニュートラルは待ったなし。そのほかにも脱原発、EV普及、半導体やバッテリー、再生可能エネルギービジネスの再構築など、今のままでは、日本の未来はないというくらい危機感が募りますが。

河野 半導体も太陽光も日本はかつて世界のトップランナーでした。それがことごとく衰退し、競争力を失っている。これはこれまでの政策に誤りがあったから。

例えば、エネルギー政策で経済産業省は原発ルネッサンスを掲げ、再エネ普及に熱心ではありませんでした。でも、今の世界の潮流は再エネがメインになっていて、政府の産業政策は明らかに世界とは逆ベクトルです。だから、エネルギー基本計画でやっと再エネ優先と決めたときには、国内の企業はとっくに風力発電ビジネスから撤退していたという状況になってしまう。

今後のEVは、普及のために国を挙げて投資しないといけません。私たちは、産業政策の先が読めていない面があった。これから改革を進めるにあたって、なぜ、先が読めなかったのか、どこに間違いがあったのか、謙虚に反省して教訓を得ないといけません。

古賀 再エネもEVも日本が後れを取ったので、関連の電池、モーター、材料などの日本企業が海外の有力市場を求めてどんどん流出しています。先端産業が日本からなくなれば、日本の復活もありません。今ほど大胆な改革が必要なときはないのですが、果たして岸田文雄総理にそれができますか?

河野 支持団体の要望のみで反対するというような自民党内の議論は変えなければいけません。ただ、最近は、党内で族議員だと思われているような議員からも「やっぱりこれじゃだめだよね」みたいな発言が出てきてます。岸田総理も、各界から変えなければダメだという声を聞いているので、変革のほうに向かうと思います。

古賀 最後に、2022年の抱負と、「次の総裁選」への意欲について聞かせてください。

河野 近年は内閣で仕事することがほとんどでしたが、来年からは全国を回りたいですね。参院選や統一地方選もある。広報本部長として各県連にお願いしたいことがたくさんあります。地方の面白い企業や地域プロジェクトもじっくり視察したいですね。

あとは海外もじっくりと回りたい。国際会議にもあれこれ招待されているんです。これまでは外国を訪問しても、閣務のために弾丸出張でしたから。

次の総裁選について? まあ、まだ岸田内閣がスタートしたばかりですので、今は何も考えていません。

●古賀茂明(こが・しげあき) 
1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。新著『官邸の暴走』(角川新書)など著書多数。ウェブサイト『DMMオンラインサロン』にて「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中。

●河野太郎(こうの・たろう) 
1963年生まれ、神奈川県出身。1996年の衆議院議員選挙で初当選(神奈川15区)。現在9期目。行政改革担当、国家公務員制度担当、外務相、防衛相などを歴任。2021年1月より新型コロナウイルス感染症ワクチン接種担当相も務める。2021年9月の自民党総裁選に出馬。同年10月から党広報本部長に就任。かつてJリーグの「湘南ベルマーレ」の代表取締役を務めるなど、同クラブを公私共に支える。

撮影/榊 智朗

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