「統一教会と自民党」問題の本質は民主主義のハッキング

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『週刊プレイボーイ』で「挑発的ニッポン革命計画」を連載中の国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソンが、「統一教会と自民党」問題の本質について語る。

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旧統一教会と自民党の関係をめぐる報道が、安倍晋三元首相銃撃事件から1ヵ月たっても活発に行なわれています。一部には本質的な議論に踏み込もうとする動きも見られますが、多くは統一教会というメディアにとっての"最高のネタ"を、盛りつけを変えながら客が飽きるまで食卓に運び続けているという印象です。

今後は国葬の是非についてもうひと盛り上がりした後、なんとなく幕引きとなるのかもしれません。

今回の問題を「統一教会と自民党の結託」という狭い範囲のみに限定し、あたかも彼らが日本を牛耳っているかのように解釈すると、事の本質を見誤ります。私が思うに、最も重要な問題は「自民党の節操のなさ」でしょう。

統一教会であれ、日本会議であれ、創価学会であれ、選挙で「使える」組織なら個々の問題には目をつぶり、食い合わせも深く考えずに呑(の)み込み続けてきた――この事実をどう総括するか。今後の日本政治、日本社会を考える上で重大な論点だと思います。

例えばアメリカの共和党は、黒人やヒスパニックの貧困層が多いエリアでの投票手続きを複雑化することで非白人の投票率を下げようとするなど、選挙の仕組みそのものに露骨に手を加えてきた歴史があります。

一方、自民党の手法は水面下でもっと粛々と行なわれてきたもので、デモクラシー(民主主義)に対する一種の"ハッキング"と表現してもいいかもしれません。

では、そのハッキングの成功条件は何か? それは有権者が現状維持を望み、政治に対しても変化を求めず、ひたすら無関心でいることです。

統一教会の組織力など、有権者の総数から見ればたかが知れています。動員できたのはたった数万人程度との説もあり、少なくとも創価学会の「F(フレンド)票」とは比較にもなりません。

それでも統一教会の組織票が当落ラインぎりぎりの自民党議員にとって命綱となりえる最大の理由は、投票率が低いことです。全体の投票数が少なければ少ないほど、組織票の重要性は相対的に上がる。

もちろん選挙の制度や慣習に関わる諸問題も重要ですが、それよりもハッキングに対して直接的な"ファイアウォール"となりえるのは、組織票と無関係な一般有権者の投票行動なのです。逆に言えば、投票率が低下傾向にあった近年は、組織票の威力がより高まっていたのでしょう。

国民の無関心を是とするハッキングによって、日本の政治は長年"妖怪のような政治家"に牛耳られてきました。森喜朗さん(「有権者は寝てしまってくれればいい」)、二階俊博さん、もう少し前でいえば金丸信さん......。

それに対して文句や皮肉を言いつつも、いざ選挙となると「自分が行動したところで何が変わるわけでもない」とばかりに"合理的無関心"を決め込む人が多かったのではないでしょうか。その選択こそが、政界の妖怪たちを生き永らえさせる栄養となっていたのに。

自分は自民党なんて支持していない、しかしほかに入れる政党もない――そういって投票をしないのも自由です。ただし、その態度が組織票をのさばらせ、自民党を勝たせ、あるいは暴露系YouTuberのような"道化"を国会に送ることにもつながっている点は自覚すべきでしょう。

●モーリー・ロバートソン(Morley ROBERTSON)
国際ジャーナリスト、ミュージシャン。1963年生まれ、米ニューヨーク出身。レギュラー出演中の『スッキリ』(日テレ系)、『報道ランナー』(カンテレ)ほかメディア出演多数。昨年はNHK大河ドラマ『青天を衝け』、TBS系日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』への出演でも話題に!

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