8月の総選挙もありえる! 都知事選後にあらためて考える"戦える野党"構想

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『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が"戦える野党"構想について語る。

(この記事は、7月13日発売の『週刊プレイボーイ30号』に掲載されたものです)

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都知事選は自民・公明が事実上推す現職の小池百合子知事の圧勝で終わった。立憲民主党を筆頭に、統一候補擁立に失敗した野党の責任は極めて重い。

そんな野党の体たらくを見て、自公はどう考えるだろう? 今、秋の総選挙を見据えた解散風が吹いている。永田町では、まことしやかに10月25日の投開票説までもが流れるほどだ。

だが、官邸は今回の野党陣営のダメっぷりを見て、「もっと早く解散しよう」と動きだすかもしれない。都知事選でわかったように、とにかく野党は選挙の準備が整えられない。

ならば、10月下旬まで待って野党に準備時間を与えてしまうより、8〜9月にさっさと総選挙をしたほうが与党の議席数が増えるかもしれない、という計算だ。

「コロナ禍に解散とは」という批判には、緊急のコロナ対策として野党よりも先に消費減税を打ち出せばよい。安倍政権は2度の消費増税をしているが、その路線を大転換するのだから有権者の信を問うと言えば、解散の大義は立つといえる。

そんな与党の思惑は野党も十分にわかっているはず。立憲、国民民主党、社民党が合流する動きがあるのは、そんな早期解散も打ちかねない安倍官邸の動きを警戒してのことだろう。

だが、悲しいかなそこに勢いはまったく感じられない。受け皿となる野党第1党の立憲は党名や選挙区調整などをめぐり合流に後ろ向きな議員が目につく一方、国民民主もさまざまな思惑が交錯し方針が決まらない。彼らは議員バッジの維持に汲々(きゅうきゅう)としているとしか思えない。

では、受け皿となるのはどんな党なのか。大切なのは安保や憲法以外の自公政権との「新たな」対立軸を明確にすること。

まずはコロナ対策。政府はいまだPCR検査増に及び腰だ。だからこそ、検査体制を抜本的に強化して、感染拡大を防止し、安心感を持って社会経済活動をしっかりと回す「ウィズコロナの政策」でアピールしたい。

そして次は、もともと野党の中で議論されてきた消費減税である。こちらは与党に先取りされる前にその構想を国民に説明し、支持を得るべきだ。

ドイツの時限減税を参考に、例えば1年目は5%、2年目は8%の時限減税を導入し、3年目以降は8%据え置きの代わりに2%分の炭素税を導入し、温暖化対策を柱とする「グリーンリカバリー」による経済成長を目指す、というのはどうだろうか? 炭素税には自民は乗れないはずだ。

また、ポストコロナのキーワードである"脱・東京への一極集中"を実現するため、地方財源の拡充も実現したい。コロナ禍では財源不足で十分な休業補償をしたくてもできない自治体が多かった。

消費税を含め地方独自財源を「倍増」し、自治体が国の交付金に頼らずに自律性の高い施策ができる制度改革を掲げる。合わせて安倍政権下で頻発した政治とカネの問題を是正する「政治資金規正の抜本強化」を公約すれば、魅力的な政策パッケージになるはずだ。

だが、今回の都知事選は、今の野党が自己保身で身動きが取れず、大胆な政策パッケージで「改革」勢力として結集することはできないことを示した。このままでは政権交代は実現せず、改革できないまま日本沈没だ。

ならば、市民グループ主導の新党をつくり、心ある政治家を糾合(きゅうごう)してはどうか。そのほうがはるかに希望が持てそうだ。

●古賀茂明(こが・しげあき)
1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。『日本中枢の狂謀』(講談社)など著書多数。ウェブサイト『DMMオンラインサロン』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中

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