次世代住宅ポイント制度の"空白の1週間"問題をマスコミは追及せよ!

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『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、「次世代住宅ポイント」制度延長措置の大きな穴を指摘する。

(この記事は、9月7日発売の『週刊プレイボーイ38号』に掲載されたものです)

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「次世代住宅ポイント」制度をご存じだろうか? 消費増税の負担軽減策と需要の平準化のために、国が住宅購入者に太陽光パネルやエアコンなどの商品(最大35万円まで)と交換できるポイントを付与するもので、予算総額は1300億円だ。

この制度の適用期間は当初、昨年10月から今年3月末までだったが、コロナ感染拡大により住宅業者から受注や契約を断られるケースが多発したため、今年8月末まで延長された。

ところが、この措置には大きな穴があった。延長の公表が4月7日だったため、4月1日から6日まで"空白の1週間"が生じ、その間に契約した消費者がポイント付与の対象外となってしまったのだ。

これでは対象外となった人から、「早く契約した人より、遅く契約した人がポイントをもらえる。不公平だ」という声が上がって当然だろう。事実、制度を担当する国交省には適用外となった消費者から怒りの電話が入っているという。

もともとは増税やコロナ感染拡大に苦しむ国民を支援しようとスタートした制度である。ならば空白期間をつくらず、4月1日にさかのぼって次世代住宅ポイントを利用できるようにすべきだった。予算も確保されており、1週間遡及(そきゅう)して制度をスタートさせることは技術的にも可能だったはずだ。

これは決して小さな問題ではない。こんなおかしなことになったのは、国交省の官僚たち、官僚に指示を出す政治家、そして問題を報じるマスコミそれぞれに、国民に寄り添う意識が欠如しているからだ。"空白の1週間"をめぐる彼らの無策ぶりは、その端的な事例である。

例えば政治家。官僚は慣例に従って仕事をする。だから、延長が4月7日からと決まった以上、ポイント付与の適用は7日以降とするのはわからないわけではない。だからこそ、特に国交大臣は事務方の説明を聞いた時点で空白期間が生じることに気づき、自らの責任と判断で遡及適用の検討を官僚に指示すべきだった。

マスコミはどうか。実は、政府は6月にコロナ対策として、企業に支給する「雇用調整助成金」の日額上限をそれまでの8330円から1万5000円に引き上げる決定をしたが、その適用は4月にさかのぼっている。そして、そのことをマスコミは報じているのだ。

ならばマスコミは、雇用調整助成金はさかのぼって救済されるのに、どうして住宅取得についてはダメなのか、その時点で政府のダブルスタンダードを批判する報道をすべきだった。

しかし、"空白の1週間"の理不尽さについて、きちんと取材して追及したのは、私が知る限り8月に1面で報じた東京新聞の1社だけだった。

東京新聞の後追い報道がないのも物足りない。1社だけでなく、ほかのメディアがさらに深掘りして報道することでニュースは世論化され、行政の対応も引き出せる。

8月に報道すれば、4月の制度延長公表時にこの問題を見逃して、厳しく指摘できなかったメディアのミスが露(あら)わになる。その失態を世間に知られたくないので、あえてだんまりを決め込んでいたのではないかと勘繰りたくもなる。

結局、東京新聞の報道後も国交省の対応は変わらないままだ。マスコミがしっかりと報道していれば是正できていたかもしれないと思うと、残念でならない。

●古賀茂明(こが・しげあき)
1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。『日本中枢の狂謀』(講談社)など著書多数。ウェブサイト『DMMオンラインサロン』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中

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