菅総理サマ、スマホだけじゃなく自動車関連税もどうにかして!

菅政権が実現を目指す「ケータイ料金の4割値下げ」。この勢いで、あまりにも高すぎる自動車関連税の改革にも着手してほしいものだ

コロナの影響で販売が減少している新車業界。トヨタの社長が政府に自動車関連税の負担の軽減を提言した。では、なぜ自動車関連税はそんなに高いのか? 自動車評論家の小沢コージがその実情を解説する。

■コロナ時代だからこそ、自動車関連税を見直せ

就任するなりケータイ料金値下げを高らかに宣言した菅義偉総理。でもなんかお忘れになっていませんか? そうです、自動車関連税です。相変わらず9種類もある自動車関連税は放置ですか?

最初に断っておくが、オザワはケータイ料金の値下げに対する文句は一切ない。若い人たちを中心に広く訴求できるだろうし、選挙を考えれば実にナイスな改革案だ。それはよくわかる。

だが、言いたい。今こそ抜本的に自動車関連税を見直すべきときではないかと。新型コロナの影響で収入が減り自動車関連税に頭を悩ませている人たちがけっこういるからだ。

日本産業界のドンで、日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は今年9月、「自動車購入時の税負担は米の30倍だ」と指摘した。コロナの影響で販売が沈む新車市場のテコ入れとして、政府に税負担の軽減を求めたのだ。オザワもまったくの同意見だ。アメリカやドイツは自国の自動車業界を保護する。なぜ日本は見習わないのか? 

そもそもの話をすると、日本の自動車関連税は9種類もある。ここからもう本当にヘンだ。海外を見渡してもそんな不思議な国はどこにもない。具体的には自動車税、軽自動車税、環境性能割、自動車重量税、揮発油税、地方揮発油税、軽油引取税、石油ガス税、消費税である。

しかも国税、都道府県税、市区町村税と、いろんなところから徴収される。言い方は悪いが、自動車ユーザーはあらゆる行政から税金をタカられているのだ。

さらにおかしいのが消費増税と同時に昨年10月に自動車取得税が廃止された件。いや、廃止自体は素晴らしい。しかし、その代わりにぶっ込まれた「環境性能割」が超クセモノなのだ。

燃費が優れたクルマは非課税になるし、新型コロナ対策で来年3月末までは1%臨時減税となる。しかし燃費が悪いクルマや古いクルマは「環境によくない」という観点から重課税の対象になる。つまり、自動車取得税廃止のすり替えってわけだ。国の狡猾なゴマカシともいえるだろう。

オザワに言わせれば購入時の税など消費税だけで十分だ。その理由は超ド級のまやかしたる「道路特定財源」にある。

もともと受益者負担、要は自動車ユーザーや道路を使う人々が道路建設費を負担すべきという考えで1950年代に導入された税制だが、この発想で揮発油税や重量税も誕生し、自動車ユーザーだけが何十年と負担してきた。そして田中角栄時代には揮発油税までが道路特定財源に!

こんなモンは基本的に高度成長期だけに適用されるべき制度だ。天下の往来である道路で恩恵を受けているのは全国民ではないか? クルマをお持ちでない皆さまだってバスやタクシーや誰かのクルマの助手席に乗るはずだ。

つまり成り立ちからしてヘンテコな、重量税、揮発油税。それなのにコイツらが2009年に一般財源化されて、ヘンテコさにさらなる拍車をかけた。もともとは「重量がかさむクルマを走らせると道が痛む」という大義名分により自動車ユーザーからブン取っていた道路整備のための税金が、いつの間にか一般財源として使われることになったのだ。

具体的には地域の教育、医療、警察、消防はもちろん、地方公務員や地方議員の給与などに使われている。

おかしな話はまだある。自動車専門誌『ベストカー』(講談社ビーシー)の編集者が指摘する。

「自動車関連税の問題はたくさんありますが、特にヒドいのが新車登録から13年を超えた自動車への増税。具体的には軽は20%、乗用車は39%の増税になります。クルマを長く大切に使うのは相対的に見てエコなはずなのに重税の対象にされてしまう。これは欧米のようにクラシックカーを文化として大事に扱う考えが日本に根づいていないからでしょう」

欧米には古い自動車を文化として優遇している国が多い。ドイツは30年超の旧車の税金を安くしているし、アメリカには俗にいう「25年ルール」がある。古いクルマは骨董品という扱いになるのだ。アメリカは原則的に右ハンドル車の輸入が禁止だが25年が経過したら無条件でOKとなる。

一方、日本は、大都市ならまだしも、交通インフラが整っていない地方だと、クルマがなければ買い物に行けないし病院にも行けない。年金暮らしで生活は苦しいが日常生活に支障が出るため、仕方なく古いクルマに乗り続けている高齢者は多い。彼らにも日本は重税を課す。

なぜ日本の自動車関連税はこんなにもたくさんあるのか? 簡単に言えば令和の今も"クルマは贅沢品"という発想が国の根底に流れているからだ。コレはあまりにも古い発想だ。ぶっちゃけ、クルマなんぞ10年もたてばその価値は大概ゼロになる。ほぼ財産としての価値はない。そんな古いクルマに増税するのはヘンだ。

ちなみにJAFが今年8月に行なった自動車税制に関するアンケートでは98%が「自動車関連税が負担」だと答えている。今回のコロナ騒動でも、給付金より先に自動車税の納税通知が届きSNSには「ふざけんな!」という声があふれた。コロナの影響で生活に困りクルマを手放した人たちの話も耳にする。

第3波の影響で自動車を手放す人がさらに増えるかもしれない。政府はエコカー減税の延長の検討に入ったが、それで得をするのは新車を購入できるリッチな人だけだ。

国内の新車販売台数は1990年の約780万台をピークに長期的な右肩下がりが続いており、若者のクルマ離れも深刻。その要因のひとつに自動車関連税の大きな負担が横たわっているのは確か。

スマホもそうだが、同じモノを長く使い続ける人が損をして、新しく買う人が得をする。菅総理サマ、このヘンテコな制度をどうにかしてよ!

取材・文/小沢コージ 写真/時事通信社

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