自民党の茂木敏充政調会長が会見(全文1)アベノミクスでデフレは解消

自民党の茂木敏充政調会長が会見(全文1)アベノミクスでデフレは解消

自民党の茂木敏充政調会長が会見(撮影:具志堅浩二)

 自民党の茂木敏充・政調会長が20日、日本外国特派員協会で午後3時から会見をした。

 茂木政調会長は、新設した「働き方改革特命委員会」と「経済構造改革特命委員会」の委員長を務めており、それぞれ15日と16日に初会合を開催したばかり。 また、自民党の総裁任期延長について、本日20日より協議を開始する。

日本経済の現状について

茂木:Good afternoon.(英語)

 それで今日、冒頭20〜30分お話をさしていただいて、それから質疑応答という形で入っていきたいと思います。8月の初めまでは自民党で選挙の責任者、選挙対策委員長をやっておりましたが、8月の3日から、今度は政調会長ということで党のほうの政策を預かるようになりましたから、今日はまず冒頭の発言は政策の問題について。特に現在、話題となっております働き方改革、それから経済構造改革の話の中心にさせていただきたいと思います。

 日本経済の現状についてまず簡単にお話をしたいと思うんですが、アベノミクスの推進によりましてこの3年間で日本のデフレ、これが解消に向かい、日本経済、さまざまな改善が見られております。法人税、そしてエネルギー分野、農業などの制度改革。

 例えば私も、経済産業大臣時代は電力の自由化と、こういったものも手掛けてきましたが、こういった制度改革も進展しつつあります。この結果、企業収益、そして雇用情勢、大幅に改善をされております。

 マクロの経済、そして企業レベルで申し上げますと、名目GDP、これはこの3年間で26兆円増加をして、500兆円台の回復をいたしております。さらに企業の収益、これも大幅に改善をしまして、企業の利益剰余金 、いわゆる内部留保も70兆円以上が増加、全体で370兆円を超えております。

 雇用情勢、そして個人のレベルで申し上げても有効求人倍率、これは現在1.37、過去25年で最も高い水準であります。また史上初めて47都道府県全てで有効求人倍率、これが1.0倍を超えております。

 ただ分野別に見てみますと企業の投資活動であったり、個人消費、イノベーションなど十分な進展が見られない部分。そして改善の余地がいまだに大きい部分もあります。この意味でまさにアベノミクス、道半ばであります。ではどんな課題があるか。これについて少しお話をしたいと思います。

 まず企業のレベルで申し上げると、大企業と中小企業では収益や生産性に依然として違いがありまして、中小企業の生産性は十分改善をいたしておりません。せっかく改善をしております企業の収益、内部留保も国内向けの設備投資より海外の子会社向けの投資などに回っておりまして、経済の好循環の実現のエンジンとはなっていないわけであります。特に生産性改善に向けてはITへの投資、こういったものが鍵を握りますが、日本のIT投資、まだ伸び悩んでおります。

 もう1つ、雇用情勢個人レベルで申し上げますと個人消費がまだ力強さに欠けている状況であります。そこで個人資産、そして所得の動向を見てみますと、中高年齢層を中心に個人の金融資産。これは1,700兆円まで膨らんでおります。しかし一方で消費性向の高い低所得層。例えば非正規の労働者であったり若者層、共働き世帯、こういった低所得の世帯の所得が伸び悩んでおりまして、これが個人消費が改善しない大きな原因の1つとなっております。

 また大企業と中小企業、先ほど生産性にも差があるというお話を申し上げましたが、雇用者の賃金の差も大きいわけであります。また全体の4分の1の雇用者が時給1,000円未満の状況であります。短時間の労働者におきましては実に60%以上が時給1000円未満という状況であります。そこでフルタイム労働者に対するパートタイム労働者の賃金水準を見てみますと、ヨーロッパ諸国ではだいたい、フルタイムに対してパートの方が7割から8割の所得なのに対して、日本では6割以下と、こういう状況にあります。

 一方、人材や資金の成長分野への移動と、これも進んでおりませんで、全体の雇用情勢、冒頭も申し上げたように大きく改善をしているものの、雇用のミスマッチは依然続いております。これは主に人材育成の問題だと考えております。さに、日本は今人口減少社会と、こういう構造問題に直面をしているわけでありますが、より柔軟な働き方への環境整備、これも遅れているといわざるを得ないと思っています。

 今、触れました問題。これはいわば日本のこれまでの産業構造であったりとか、労働形態を転換する経済構造改革、そして、働き方改革に関わる問題であります。その意味で経済構造改革と働き方改革、これは道半ばのアベノミクスの、目標達成への車の両輪ともいえると考えております。この問題、当然、政府の側でも現在、検討が始まっているところでありますが今回は、自民党でもこの2つの改革のテーマについて特命委員会をつくって、私自らが、この2つの特命委員会の委員長となって集中的な検討を行うこととしております。

 Actually, I’m not volunteer. I have to do that.

通訳:すいません。

経済構造改革のポイントについて

茂木:そこの中で経済構造改革についてポイントだけ申し上げたいと思うんですが、1つやはりこれから地域で中核となるような企業、それから今後、地域で成長していくような企業の生産性を改善するというのが、鍵を握ってくると思っております。これはアベノミクス自身のエンジンを大企業から中核企業、中小企業に広げていくということでもあります。時間の関係で詳しくお話できませんが、もしこのあと質問があれば、この点について詳しくお話をさせていただきたいと思います。

 こういった中小企業の生産性の改善と併せてもう1つ重要なのが、第4次産業革命を牽引者とする新たな有望市場、これを日本で創出していくことであります。これは21世紀型の日本のリーディングインダストリーを創出する、こう言ってもいいと思っております。

 3つぐらいポイントがあると思っておりまして、その1つは第4次産業革命をリードする重点分野。例えば自動走行であったりロボット、それからIoTなどでの事業拡大へ、官民共に共同のコミットメントをしていく、そして事業拡大のロードマップを策定していくということであります。例えば自動走行。確かに高速道路でもこれ、活用できるわけでありますが、これからの地方を考えたときに高齢者、たくさんいらっしゃいます。近所の八百屋さんがなくなってしまった。何キロか先のスーパーまで買い物に行かなきゃならない。なかなか70代の方、80代の方、そこまで行くのは運転も大変なわけでありますけれど、自動走行の車ができることによってそういった地方にいらっしゃる方の、生活圏そのものを広げる。まったく世界が違ってくると思っております。

 この第4次産業革命をリードする重点分野。これ、オリンピックで言ってみると日本がメダルを取れる種目、これを強化していくということでもあると思っております。それと同時に2つ目として、第4次産業革命の波及によって巨大な潜在市場を開拓していく。医療、介護であったり、エネルギー、農業などが、この分野でありますが、ここでは例えば公的な保険の適用など普及につながる、制度的なインセンティブの付与などによって市場は大きく広がっていくと思っております。第1のポイントがメダルが取れる種目、これの強化だとしますと、今、申し上げた2番目のポイントは競技人口の多い分野の底上げということになってくると思っております。

 そしてこれらの成長分野創出のための基盤整備、これが3つ目に重要だと考えておりまして、例えば人工知能に関するグローバル研究拠点を日本に置いて整備をして、そして、そこに先端の人材を集め、育成をしていく。さらには先ほど申し上げたように個人の金融資産、これは1,700兆まで膨らんでいるわけでありまして、これを活用してファンドを通じて資金提供を、こういった成長分野にしていくような仕組みづくり。こういったことが必要ではないかな。こういった基盤の整備。言ってみますと経済版のナショナルトレーニングセンター、こういったものをつくっていくということになるんじゃないかなと思います。

 もう1つの改革、働き方改革の主要政策について若干、議論をしていきたいと思うんですけれど現在、考えております主要なポイント、5つあります。最初は非正規雇用の処遇改善っていうことでありまして、この分野では同一労働同一賃金の法整備を進めていきたいと考えております。

 2番目は長時間労働の是正ということでありまして、特にマスコミの皆さんには大きく関わる問題だと思いますけれど、労働基準法のいわゆる36協定、労使協定によって時間外労働の上限がなしと、こういう協定でありますが、これについて、例えば月何時間までといった時間外労働の上限を新たに規定していきたいと考えております。

 この問題、各企業の自助努力によってうまくいくかという問題でありますが、これから3カ月に以内に厚生労働省できちんとまずやっていただいたら、私は自主規制でもいいと思いますけれどおそらくできないんではないかなと。やはり長時間労働の是正、長年の習慣とか体質的なものもあって当然、特殊事情には配慮する必要があるとは思っておりますが、一定の法的基準を設置することが必要だと思っております。

 3番目は柔軟な働き方への環境整備で、働き方に中立的な税制、社会保障制度をつくっていくということであります。ここで目玉になりますのがパート労働者の、いわゆる103万円の壁を除去する税制改正であります。具体的にはまず現在の配偶者控除からパートの収入の上限がない夫婦控除に移行していきたいと考えております。

 4つ目は希望する分野への就労に向けた人材育成の話でありまして、先ほど雇用のミスマッチの話を申し上げましたが、この解消に向けた人材の育成、職業訓練であったりとか資格の取得、社会人の学び直し、こういったことに雇用保険の積立金を活用できないかと、このように考えております。実は雇用保険の積立金、10年前には積立金の残高、1兆円前後だったのが最近、雇用情勢の改善によりまして残高がいまや6兆円を超えております。さらに雇用保険の2事業、雇用安定事業、能力開発事業に限っても資金の残高がさらに1兆円以上と、こういう状態にありまして、このお金を積極的に人材育成に使っていくということが日本における雇用の流動性を高め、より成長分野にそういった人材が向かい、そしてその人の所得も上がるということにつながっていくと思っております。

 最後5番目ですね。女性や高齢者の活躍の促進に関連しまして、この促進のために拡大することになりました保育園などの受け皿、施設の整備に加えまして、どうしても育児であったりとか介護の人材不足の解消が重要であります。この関係で外国人勢の受け入れの在り方について、必要な分野に着目して、具体的により積極的に受け入れると、こういった検討を進めていきたいと思っております。

 今回の今、申し上げた経済構造改革そして働き方改革、これまで手の付かなかった法改正であったり税制改正、予算措置などについて早期に、かつ具体的な結果を出す取り組みにしていきたいと、そんなふうに考えております。冒頭、自民党の政務調査会の役割について、1つは政府が作るさまざまな政策について与党としてしっかり精査をして、それを承認していくと、こういう役割があるわけでありますが、もう1つ、党自らがより積極的に政策を提言していくと、こういう役割も持つわけでありまして今回、働き方改革、そして経済構造改革につきましては、もちろん政府と連携を取っていきますが、単に政府から出てきた政策提言について党で精査をして承認を取る、こういう形ではなくて、むしろ積極的に党の側からさまざま、今、申し上げたような点も含めて提言をして、全体の議論をリードしていく、こういう形も取っていきたいと思っております。

【連載】自民党の茂木敏充政調会長が会見 全文2へ続く