中国の国有企業に対抗するため、米政府はGAFAにも口を出すことになる

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月23日放送)に地政学・戦略学者の奥山真司が出演。EUが中国に対して制裁を発動したニュースについて解説した。

GAFAのロゴやアイコン GAFA売上に10%罰金=2020年12月15日 写真提供:共同通信社

EUが対中制裁を発動

欧州連合(EU)は3月22日、ブリュッセルで外相理事会を開き、中国の新疆ウイグル自治区における深刻な人権侵害に関与したとして、中国当局者4人と1団体に対し、EUへの渡航禁止と資産凍結の制裁を科すとした。中国をめぐる制裁は、EUの前身機構による1989年の天安門事件を受けた武器輸出禁止以来となる。また、アメリカも歩調を合わせる形で22日、当局者2人への制裁を発表した。中国外務省は22日、EUによる制裁に対し、「内政干渉だ」と反発。対抗措置として、「欧州議会議員ら10人と4団体に制裁を科すことを決めた」と発表した。

飯田)制裁の掛け合いのようになっていますが、人権侵害に対して、やはりヨーロッパは動きますね。

奥山)「政治的な時代になって来た」というのが正直なところです。ウイグル族の人たちの収容施設、ジェノサイドということが取り沙汰されていますが、「中国に脅威を感じ始めた」ということが、こういう反発した行動に来ているのではないでしょうか。

ウィルミントンで、報道陣の質問に答えるバイデン前副大統領(アメリカ・デラウェア州)=2020年11月16日 AFP=時事 写真提供:時事通信

政治的に動かなければならない時代になった

奥山)そういうことも含め、現在、大きな流れにあるのは「大きな政府」ではないかなと。中国のような権威主義的な国、独裁的な国に対抗するためには、「経済制裁をしないといけない」ということをEUも言い始めたのは、政治的に動かなければならない時代になっているということです。いままでは、ビジネスの関係だけで政府は介入せずやって行こうという流れが大きかったのですが、それがなくなりつつあります。

飯田)政経分離ではなくて。

奥山)そうですね。政治が前に出て来るような状況が、対中制裁の話でも見えるのではないかということです。

飯田)中国も制裁をいろいろなところに科すと言っています。その一環として、テック企業大手のテスラに対しても「テスラの車に乗るとスパイ行為をされるぞ」と言い、止めろというところまで来ました。

バイデン次期米大統領(ゲッティ=共同)、中国の習近平国家主席=2020年12月2日 写真提供:共同通信社

大きな政府の時代が来ている〜中国に対抗するため、いずれGAFAにも米政府が口を出す

奥山)テスラはアメリカにとって自由主義の象徴のようなもので、民間企業で宇宙にまでロケットを飛ばしてしまう状況です。このまま大きな流れで行けば、いずれテスラやGAFAに対してアメリカ政府が口を出し、「中国と対抗するには仕方がないだろ」ということで介入して来ると思います。つまり、大きな政府の時代が来ているのだと、改めて感じるのです。

飯田)それを聞いていると、対抗せんがために同じ土俵に上がりつつあるのかなと思います。

奥山)それはやってはいけないし、私自身も嫌いなのですが、中国は強力な国有企業を持っていて、なかでもいろいろ規制している。それに対抗するためには、「仕方ない」という雰囲気が民間のなかにも起こり始めているということを、我々は忘れてはいけないと思います。

4日、米大統領選で優勢となり、デラウェア州で演説する民主党のバイデン前副大統領(ロイター=共同)=2020年11月4日 写真提供:共同通信社

「政府が規制しなくてはならない」という流れが国民から上がっている

飯田)そこのバランスのようなものをどう見極めるのですか?

奥山)「確実に国が規制しなければいけないよね、ワクチンは国が配らなければいけないよね」と。大きな流れとしては、「大きな政府で国が関与して行かなければならない」という考えになって来ていると思います。

飯田)統制をする形の方向に。

奥山)そうですね。アメリカは80年代から90年代にかけて、「政府は絶対に介入するな、多国籍企業に市場で自由にやらせるのだ」と言い、GAFAなどを代表に、規制せずやって来ました。しかし、トランプ前大統領を含めて、「規制しなければいけない」という流れが、国民の方から上がって来た。トップダウンで上から抑え込むということではなく、国民から上がって来たというところが、これまでと違う点です。これが大きなトレンドだと思います。

飯田)これが世界の流れということは、世界中の国でそれだけ危機感が強いということですか?

奥山)そうです。

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