“嫌い”“嘘つき”“裏切り”……低レベルの1都3県知事の綱引き 緊急事態宣言解除で首都圏に生じた歪み

ジャーナリスト・須田慎一郎が3月28日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送『須田慎一郎のスクープ ニュース オンライン』に出演。緊急事態宣言発出における首都圏の1都3県の知事の駆け引きについて解説した。

面談後、報道陣の取材に応じる(右から)神奈川県の黒岩祐治知事、小池百合子都知事、西村康稔経済再生担当相、千葉県の森田健作知事、埼玉県の大野元裕知事=2021年01月02日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

1人で官邸に行くと自分の思惑通りにならないと踏んだ小池都知事

首都圏の1都3県に出されていた緊急事態宣言が解除されてから1週間。今回の解除直前に生じた1都3県の知事それぞれに駆け巡る思惑の違いが、今後どのような影響を与えていくのか。

須田)これまでの緊急事態宣言に関して言うと、自治体の方から政府に要請して、そして政府がそれで動くというパターンを辿っていた。やはり政府がその自治体サイドからの要請を重視しなければならないのは、例えば首都圏の場合は1都3県が1つの塊になって要請してくるというところがあったわけなのですよね。

新行市佳アナウンサー)ええ。

須田)じゃあその1都3県はワンチームで動いていたのかどうなのか。それぞれやはり思惑があるのですよ。どういうことかというと、はっきり言ってですね、(神奈川県知事)黒岩さんは(東京都知事)小池さんのことがあまり好きではない。……あまり好きじゃないという言葉も本当ではなくて、嫌いなのですよ、はっきり申し上げて。それで千葉県の森田知事はやはり自民党の方、官邸の方を見ていると。(埼玉県の)大野知事はどちらかというと、自民党や官邸と距離を置いている。そして言うまでもなく小池東京都知事はですね、菅総理との関係は最悪と。ですから小池さんは東京都知事として自分1人で官邸に行くということになっても、自分の思惑通りに事が運ばないだろうと。

やはり1都3県でひと塊となってプレッシャーをかけた方が自分の思惑通りに話が進んでいくという風に踏んだと。そこにいろいろなしがらみがあるにせよ、とりあえず当初はみな乗った。とは言っても「このまま続けていっていいの?」という状況からヒビが入ってきたのかなと思いますよね。

1都3県へ発令中の緊急事態宣言について2週間延長する方針を表明する菅義偉首相=2021年3月3日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

黒岩知事のテレビでの“暴露”は、小池知事の“延長”を潰すため

須田)そもそも大前提からすると、緊急事態宣言の再発出について菅総理はやるつもりがなかった。これやると経済が大きなダメージを受けてしまうということが1つ。もう1つはですね、その時点で第3次補正予算が成立していなかったものですから、緊急事態宣言を出しても財政的な下支えができないということもあってですね、非常に否定的であった。とはいっても1都3県に来られてしまったらというところで、後ろ向きながら緊急事態宣言を出しましたと。ただその再発出にしてはどうなのですかと。

今回は「延長なし」と結論がありましたよね。ところが小池劇場が始まってしまい、1都3県がまとまってしまって、ということになると、本来だったら解除したいのにできない状況になるよねと。その非常にいいタイミングで、神奈川県の黒岩知事のテレビでの(小池都知事とのやり取りにおける不信感の)暴露があったのかなと。だからこれは潰すためです。もっと言えば、緊急事態宣言をとにかく解除させるための布石という風に考えてもらっていいのかなと。あれを見たときに「これは解除されるな」と見ていましたし、その側面援助ということで、千葉県の森田健作知事としては(任期満了前の)最後のご奉公ですから、そういった点でいうと、県民の人気取りに動く必要もないとなると、やはり小池さんに対して反旗を翻したということになるのかなと。

任期を終えた森田健作知事に感謝と別れの挨拶をする都県知事ら=2021年3月24日午後 写真提供:産経新聞社

「嫌い」「?つき」「裏切り」……政治家同士のレベルの低い綱引き

須田)これにどうのこうの言うつもりもないのです。ですから、緊急事態宣言を発出する、あるいは延長する。いいですよ、なぜ延長するのか、必要なのか不必要なのか、必要だとすればそのなかで何をするのか、飲食店の営業時間短縮だけでいいのかどうなのか、そのあたりを明確にしないまま、政治的な思惑、「好きだ」とか「嫌いだ」とか、「あいつは昔嘘をついた」とか「裏切った」とか、そういった政治家同士の政治的動機でこの件を決めていいのですかと。非常にレベルの低い綱引きが行われている気がしてならないですね。

関連記事(外部サイト)