“軽井沢”という名前が勝手に使用されている〜町長の訴えの裏にあるもの

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月7日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。「軽井沢」という名前が勝手に企業などに使われているとして、軽井沢町長が配慮を求める声明を出したニュースについて解説した。

「『軽井沢』名称の適切な使用」をお願いする軽井沢町の藤巻進町長=2021年3月29日、同町 写真提供:産経新聞社

“軽井沢”という名前が使い放題にされている

近隣市町村の企業などが「軽井沢」の名称を使っているため、観光客や消費者が「軽井沢町で製造されている」と誤解するケースがあるとして、3月29日、軽井沢町の藤巻町長が配慮を求める声明を出した。

飯田)軽井沢の町長さんが、「地名は商標登録ができないので勝手に使い放題である」ということで、配慮をして欲しいと訴えました。佐々木さんは3拠点生活をされていらっしゃって、その1つが軽井沢ですが。

佐々木)2011年の震災の年からですので、もう10年になります。軽井沢は圧倒的な勝ち組ですよね。北陸新幹線ができて、栄えているのは金沢と軽井沢だけだと言われています。軽井沢は膨大な数の別荘があるので、固定資産税が半端なく入り、全国でも数少ない地方交付税の不交付団体です。

飯田)なるほど。

初めて長野新幹線の軽井沢―長野で走行試験を行った、新型車両「E7系」。=2013年12月15日 写真提供:産経新聞社

なぜこのタイミングで「軽井沢ブランドを使わないで」と言い出したのか

佐々木)国から税金のお裾分けをもらわなくても大丈夫なのです。駅前に巨大なアウトレットがあり、星野リゾートが「ハルニレテラス」という施設をつくって、そこに観光客が殺到しています。放っておいても栄えているのが現状です。なぜいまさら「軽井沢ブランドを使わないで」と町長がこのタイミングで言い出したのか、正直わかりません。

飯田)休みに行くと、都内ナンバーの車ばかりだという話を聞きます。

佐々木)「東京24区」という呼ばれ方もしています。ただ、軽井沢というのが、あまりにも権威になり過ぎてしまって、おこぼれをもらうという感じで軽井沢周辺の町村にあるお店が「軽井沢〇〇」と使っているケースはあります。「軽井沢〇〇ホテルに泊まったら軽井沢じゃなかった」「駅から遠かった」というようなクレームが来ると言うのですが、そこまで役場が気にする必要があるでしょうか。

軽井沢駅に到着する各国の関係者=2016年9月23日、軽井沢町 写真提供:産経新聞社

空洞化する別荘地周辺

佐々木)一方で、住むとわかるのですが、中心部は栄えているのですけれど、別荘地はどうなっているかと言うと、だいたい1970年代くらいにできたものが多いのです。その結果、空き家だらけになっています。たまに来ているところもあるのでしょうが、明らかに長い間住んでいない。都市ガスがないので、プロパンガスか灯油のタンクが設置されています。それがない家というのは、少なくとも長年来ていないところです。そんな別荘が膨大な数あって、ほとんど塩漬けになってしまっている。何とかしないといけないと思うのだけれど、軽井沢町はホテル業界が強いせいか、民泊禁止条例などを、国の政策に反対してつくったりしていて、別荘地周辺は、意外と空洞化してしまっているのです。

飯田)日帰りで行けてしまいます。

旧軽ロータリー=2010年10月1日 軽井沢 写真提供:産経新聞社

活気が出始めた隣町

佐々木)そうなのです。一方で端の方。軽井沢の中心部の方は旧軽井沢の方も家賃が高いし、昔からのマンションもたくさんあるのだけれど、いま、端の方に人気が出ているのです。昨年(2020年)も風越学園という、幼少中の一貫校ができたり、隣町にたくさんお店ができている。周辺の方が盛り上がっているということに、危機感を感じ始めたのではないかなという、そういう構造も感じます。

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