北朝鮮が潜水艦開発にこだわる理由

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月16日放送)に国際政治学者・慶應義塾大学教授の神保謙が出演。北朝鮮が建造を終えたとされる新型潜水艦について解説した。

北朝鮮の第8回朝鮮労働党大会で開会の辞を述べる金正恩党委員長=2021年1月6日、平壌(朝鮮中央通信=共同) 写真提供:共同通信社

北朝鮮の第8回朝鮮労働党大会で開会の辞を述べる金正恩党委員長=2021年1月6日、平壌(朝鮮中央通信=共同) 写真提供:共同通信社

北朝鮮が新型潜水艦を建造

北朝鮮が3000トン級の新型潜水艦の建造を終え、進水式の時期を探っているとの分析が韓国で出て来ている。アメリカと韓国の情報当局は北朝鮮が東部・新浦の造船所で建造を終えた新型潜水艦は、SLBM3発を搭載可能と分析している。1800トン級の「ロメオ級」を改造したもので、全幅7メートル、全長80メートル前後とみられているということだ。

飯田)潜水艦を持とうとしている、すでに持っているという話もありますが、これはどういう意図ですか?

25日、北朝鮮の国防科学院が発射した新型戦術誘導ミサイル=2021年3月25日 朝鮮通信=時事

北朝鮮が潜水艦にこだわる理由

神保)北朝鮮が潜水艦にこだわる理由は、よく理解できると思います。もともと核戦力ということで考えると、それをどういう手段で相手に撃ち込むかということが大事なのですが、いままで頑張っていたのが大陸間弾道弾です。「火星15号」などで、最近頑張っているのが変速軌道型のイスカンデル型弾道ミサイル。これに加えて潜水艦から発射する潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)をラインナップに加えて行きたいという、強い意図があると思います。

軍事パレードを閲兵する北朝鮮の金正恩総書記=2021年1月14日、平壌(朝鮮中央通信=共同) 写真提供:共同通信社

スクリュー音の静粛性の開発ができているかは疑問

神保)なぜかと言うと、水中は探知がしにくい場所で、そこから第2撃と言うのですが、「何らかの攻撃を受けても、確実に北朝鮮が報復できる」という体制を取るためには、スクリュー音が静粛な潜水艦からしっかりとコールドローンチで撃ち上げるようなミサイルがあれば、抑止力が強まるという話だと思います。とは言え、潜水艦は冷戦期に先端技術が凝縮されたもので、特にスクリュー音の静粛性が運用の鍵なのですが、それが開発できているかというと、かなり疑問です。さらに日本もアメリカも、対潜水艦作戦についてはかなり向上しています。特に、音波を聴き分ける技術なのですけれども、これが実際に日本海なりに進水して来た際、本当にそのような形で運用できるのかというのは、まだ疑問だと思います。ただ、北朝鮮の「核戦力を多様化したい」という路線はよくわかるということです。

10日未明に平壌で行われた軍事パレードに登場した新型大陸間弾道ミサイルとみられる兵器。10日付の北朝鮮の労働新聞が掲載した(コリアメディア提供・共同)=2020年10月10日 写真提供:共同通信社

2027年には242発の核兵器を保有する可能性も

飯田)北朝鮮がどのくらい核を持っているのか、あるいは今後どういう能力になって行くのかというのは、いろいろな分析が出ているようですが。

神保)特に、最近気になっているのは、4月にアメリカの「ランド研究所」が発表した「北朝鮮の核戦力報告書」というものが出たのですが、これによると、衝撃的なのですけれど、「2027年に最大で242発の核兵器を保有する可能性がある」と言っているのです。

飯田)242発。

神保)これは、計算の仕方なのですが、兵器級プルトニウムと高濃縮ウランという、核兵器の原料がどのくらい製造できるかの見積もりによるわけです。過大評価をしている可能性はあるのですが、ポイントはトランプ政権が非核化交渉に失敗したまま核開発を止める枠組みがないばかりか、今年(2021年)の正月には、金正恩委員長が「核戦力を増強する」という路線に回帰することを宣言しているので、おそらくこれから量産されて行くということは念頭に置きながら、今後の北朝鮮政策を考えるということだと思います。

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