大野元裕埼玉県知事「一般医療をどれだけ制限するか」〜病床をひっ迫させないために

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月20日放送)に数量政策学者で内閣官房参与の高橋洋一が出演。大野元裕埼玉県知事への電話インタビューを中心に新型コロナウイルス対策の今後について解説した。

緊急事態宣言の延長に伴う措置の大枠を示す大野元裕・埼玉県知事=2020年5月3日午後、さいたま市浦和区 写真提供:産経新聞社

埼玉県が臨時議会で時短営業の協力金の支給を決定

「飯田浩司のOK! Cozy up!」では、『一都三県知事・河野大臣も登場!新型コロナ変異株から国民を守れ!Cozy専門家会議』と題してそれぞれインタビューを実施。4月20日は大野元裕埼玉県知事のインタビューとなる。

埼玉県議会は4月19日に臨時議会を開き、20日からさいたま市と川口市に適用されるまん延防止等重点措置で要請に従う飲食店などに、規模別に協力金を支払うことを決定した。埼玉県の大野元裕知事が19日の臨時議会に提案した追加の補正予算案は385億5300万円ほどで、このうち366億2900万円ほどが飲食店の営業時間短縮の期間延長にともなう協力金の支給にあてられるということである。

飯田)「Cozy専門家会議」、この時間は埼玉県の大野元裕知事と電話がつながっています。大野知事、おはようございます。

大野)おはようございます。

飯田)まん延防止等重点措置のさいたま市と川口市への適用が、きょう(20日)からということになりました。この範囲は今後広がる可能性もありますか?

大野)まん延防止等重点措置そのものが、地域を区切って断続的に運用するということがそもそもの考え方なので、今後の状況によっては、これを広げるなり、あるいは狭めるなりということはあり得ると思います。

変異株がどのくらい影響を及ぼすか冷静に見る必要がある

飯田)きょうの新聞を見ますと、「大阪府が緊急事態宣言要請へ」ということが各紙一面で書かれていますが、「東京も」という可能性が出て来ました。埼玉の現状、今後の見通しはいかがでしょうか?

大野)わからないのが実は変異株、英国株です。これが大阪ではまん延していると言われていて、1ヵ月で陽性者が10倍近くになりました。埼玉では、陽性の人たちにPCR検査をかけて変異株を見つけるのですが、この変異株PCRを全体の55%という非常に高いレベルでやっています。

飯田)55%ですか。

大野)そうするとだいたい、市中と同じくらいの感染率がわかるのですが、いま15%程度なのです。大阪は80%と言っていますけれど、検査自体が24%なので、おそらく埼玉も拡がっているのだと思います。これがどの程度の影響を及ぼすかを、冷静に見て行く必要があると思います。

埼玉県の新型コロナウイルス対策本部会議後の記者会見で質問に応じる大野元裕知事=2021年4月15日午後、県危機管理防災センター 写真提供:産経新聞社

ミシガン州では変異株の影響で300の学校でクラスターが発生

飯田)この変異株については、いままではリスクが高いと言われていなかった現役世代や若者への感染が強いとも言われています。対応も変わって来ますか?

大野)50代以下の方々が重症化する、または若い方々に感染が拡がっているということは全世界的な傾向です。例えば、アメリカのミシガン州では、もうすでに50%以上の人がワクチンを打っているのですけれども、若い方に感染が拡がっていて、埼玉の人口あたり30倍程度、そしてそのなかでも、学校だけで州のなかで300校くらいがクラスターなのです。こういう悪い方を我々はシナリオとして考えながら、カードをいくつも用意しておいて、状況に応じて切って行くということが必要になると思います。

変異株の感染が拡大してもワクチン接種の高齢者優先は変わらない

飯田)先週から高齢者に対するコロナワクチンの接種が全国的にも始まりましたけれど、変異株ということを考えると、この年齢層を高齢者に区切るというのもどうなのでしょうか? 変えて行く必要もあるのでしょうか?

大野)ワクチンの効果を考えた場合、最も効果が上がるのは、やはり高齢者だと思います。高齢者の方々は、お亡くなりになる、命に関わるリスクが高い。それから重症化する割合が子どもたちよりもはるかに高い。それは変異株でも同じことです。病院に入ると入院の期間が長くなり、医療機関にも負担がかかるので、やはり高齢者の方を優先させるということは変わらないと思います。

国から埼玉への臨時交付金分配は全体の8%

飯田)スタジオには高橋洋一さんもいらっしゃいます。

高橋)おはようございます。私は政府のなかで仕事をしていて、地方には臨時交付金をつくりまして、1次補正から3次補正までで4.5兆円を計上したのですが、埼玉県にはそのうちどのくらいが行っているのですか?

大野)埼玉県は2月か3月の最初に交付金の話を、「こういうお金があります」ということでお願いさせていただきました。最初の配分はリーマンショックのときなどが参考だったので、埼玉は少なかったのです。

高橋)少なかった。

大野)遠隔の方が多かったのです。その後、陽性者を加味してくれるとのことなので、最初の4〜5%から、今度は全体の8%のところまで上がって来ています。

高橋)そうすると、それなりに金額は行っているわけですね。

面談後、報道陣の取材に応じる(右から)神奈川県の黒岩祐治知事、小池百合子都知事、西村康稔経済再生担当相、千葉県の森田健作知事、埼玉県の大野元裕知事=2021年01月02日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

コロナ専用病床や高齢者福祉施設にケアラー用の入院施設をつくった埼玉

高橋)全国で4.5兆円の予算措置をしたのですけれども、あのときは、今回のような協力金など、資金使途がないわけなので、コロナの専用病床をつくるというようなことをイメージしていたのです。具体的に埼玉県のなかでプレハブの専用病床はおつくりになりましたか?

大野)病院の方がコロナ専用病床をつくり、変異株用の病床も試験的に、そのなかで割り当てました。また、高齢者福祉施設にケアラー、つまり福祉対象の方々を通常お世話している方が入院してしまったとき、その方を受け入れるためのプレハブ施設もつくりました。そういうことに活用させていただいています。

高橋)そうなのですか、それはよかった。中央政府でできるのは、お金を配ることしかできません。実際は地方で全部やっていただくしかないのです。臨時交付金には批判がいろいろあったのですけれど、ここはやらなければいけないと思っておりましたので、活用していただけているのであれば嬉しいですね。

大野)陽性者が多いところは、批判されるような使い道に出すほど余裕はありませんので。

病床がひっ迫してしまう原因〜一般医療をどれだけ制限するか

飯田)病床のひっ迫ということが全国的にも言われていますが、1年以上言われて来て、現場も努力を続けているとは思うのですけれども、何かボトルネックがあるのでしょうか?

大野)「一般医療をどれだけ制限するか」ということだと思います。感染症だけをやるわけにはいかないのです。例えば1月に、最大で100名程度入院できない患者さんが埼玉県では出たのですが、そのほとんどが認知症の方や透析を必要とする方でした。この方たちは一緒にできないのです。

飯田)そうですね。

大野)感染症専門のところは慢性期をやったことがないし、慢性期をやっているところは急性期の感染症をやったことがない。同じところには入れられない。これが問題でした。

大野元裕埼玉県知事

158の医療機関と契約し協定を結ぶ

飯田)そうすると回復した方々を他に移す、急性期病床を開けるなど、そういう下りの医療のようなことが言われていますが、なかなかスムーズに行かないところがありますか?

大野)11月くらいから埼玉県は158の医療機関と契約をして、協定を結んで、下りの医療を受け入れていただき、アンケートも取って一定程度やっています。

飯田)アンケートも取って。

大野)ただ、下りの医療を受け入れるときに、先ほど言ったような慢性期の病院なので、どうしてもハードルが高くなり、2回PCRで陰性にならないと受け入れない、そういう話が実は出て来て、若干そこは滞っています。

緊急事態宣言の限界〜知事にはホテルや療養施設への入院を命令できない

飯田)それから、人流の抑制という話がまたクローズアップされていますけれど、これはいまの緊急事態宣言のスキームだと、私権の制限まではできない。法律的な建て付けとして、それができないようになっていますが、諸外国のような形にすべきなのか、あるいはそういうことも検討すべきなのか。現場を見ていらっしゃる知事はどうお考えですか?

大野)状況に応じてですけれども、一定程度、現場の知事に権限を与えていただくというのはとても大切なことだと思います。我々が直面したのは、ホテルなどの療養施設です。知事は「ここに入れ」という入院命令ができないのです。そこで無症状のため出て行ってしまう人がいるのです。そして買い物などをして感染が拡大してしまう。そういう状況に対して、未だに何もできないというのが、残念ながら現実です。

飯田)最後に、埼玉県民をはじめ、番組をお聞きの方々にメッセージをお願いします。

大野)本日より「まん延防止等重点措置」が適用されることになりました。措置区域のさいたま市、川口市だけではなく、県内全体の方にぜひ外出の自粛、特に県境をまたぐ移動、飲食店におけるカラオケ設備の利用自粛などをお願いしたいと思います。また飲食店には協力金をお支払いするとともに、お店の見回りを実施したり、パーテーションをつけるときにはこれを補助したりしますので、飲食店事業者の皆さま、県民の皆さま、ご協力をお願いいたします。

関連記事(外部サイト)