石破派の田村憲久を厚労大臣にしたのは、石破茂がコロナ対策を批判できない上手い人事—週刊文春記者が政局分析

『小池百合子 権力に憑かれた女 ドキュメント東京都知事の1400日』(光文社新書)の著者で、週刊文春記者・和田泰明氏が、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」(※ヨット太平洋単独無寄港横断中のため辛坊は不在)に出演、解散総選挙へ向けた動きについて解説した。

田村憲久厚労大臣(2020年8月5日 同番組出演時)

3補選・再選挙全敗の影響

飯田)解散はいつなのですか。

和田)できないですよね、コロナで。菅(総理)さんが、野党の不信任案があれば、それが動機になるという“大義”なのかな。それは野党もおびき寄せているわけです。森山国対委員長なんかに話を聞くと、「野党は出せないのではないか」と。

飯田)びびって出せないのではないかと。

和田)そういう言い方をしていましたし、となるとチキンレースで、出せずにオリンピック後とかそういうことになるのでしょうか。限りなく任期満了に近くなるということではないかと思います。

飯田)内閣不信任案って、とりあえず1国会で1回出すみたいな。それが、延長がなければ6月の中ごろに、それまでに出せるかというところですが。

和田)出せなかったら、「野党が情けないな」という雰囲気に持ち込めるし、自民党としてはいい発言でしたよね。菅さんはさすがだったです。

飯田)でも、直近の3補選・再選挙ですが、あれ全敗したじゃないですか。あの辺りは影響は出ないのですか。

和田)影響が出ないわけはないのですが、特に広島は岸田さんのところということもあって、岸田さんがなかなかポスト菅になり得ないということになってしまいました。地元で勝てない人が総理大臣になれるのかというところがありますから、菅さんとしては実はラッキーだと思っているのではないでしょうか。

飯田)なるほど。自分にダメージが少ないぞと。

和田)岸田さんのダメージがめちゃくちゃ大きかったですからね。

飯田)岸田さんの派閥は宏池会ですけれども、宏池会って、戦わないリーダーに対しては“引き摺り下ろす”みたいな歴史があるじゃないですか。古くは前尾繁三郎を引き摺り下ろして大平さんが頭に来たとか、あるいは加藤の乱みたいなのがあったりしましたけれども。どうなのですか、そこ辺りの動きというのは。

和田)岸田派の人に聞くと、あんまり戦わないようになっていて、「どうせ無理なんじゃないの、岸田さん」という感じになっています。だから次の総裁選も無投票当選を狙っていると思いますが、本当にその可能性が出てきました。

石破茂 自民党元幹事長(2020年8月26日 同番組出演時)

石破派・田村憲久厚労大臣は組閣の妙

飯田)石破さんは石破さんで、自分の派閥からとりあえず距離を置く形になっています。

和田)合併号(週刊文春 5月6日号/4月28日発売)のために、3補選負けたときに、石破派の人に「コメントを出してください」と言ったのです。「いよいよ倒閣運動だ」みたいな。そしたら、「いや、やめておこう」と石破派の人も言っていましたから、「石破さんも挙党一致と言っているし」とか言って、相当及び腰にはなっています。

組閣がうまかったのは、田村憲久さんが厚労大臣で石破派なのです。だから、コロナ対策を批判するということは、自分の派閥の人を批判するということになってしまうのです。これはうまい人事でしたよね。

飯田)なるほど。その辺りの口封じも狙いつつ。

和田)いま思えばですね。

(ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」4月29日放送分より)

関連記事(外部サイト)