米の台湾へのワクチン提供〜中国に頼る構図を防ぐ安全保障上の戦略

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月7日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。アメリカが台湾への新型コロナワクチンの提供を発表したニュースについて解説した。

台北市の総統府で記者会見する蔡英文総統=2020年1月15日(共同) 写真提供:共同通信社

アメリカが台湾へのワクチン提供を発表

米上院議員が6月6日、台湾を訪問し、新型コロナウイルスワクチン75万回分を国際枠組み「COVAX(コバックス)」を通じて提供することを発表した。

飯田)台湾へは日本からもワクチンが行きました。

中国の台湾へのワクチン提供発言はハイブリッド戦の一環

須田)台湾も一旦収束させた新型コロナウイルスの感染が再拡大し始めたというところで、中国がいち早くワクチン提供を言い出した。これは世に言われる「ハイブリッド戦」の一環だという受け止め方をアメリカ当局はしています。つまりワクチンが入って来ないということで、これが政府批判になる。そこで台湾の親中派が、中国に頼るというような構図が出て来かねないので、ここは戦略的に、安全保障上の問題としてワクチンの提供に動き出したということです。

飯田)実際に親中国と言われている国民党などは、「中国のワクチンを入れればいいではないか」と批判していましたものね。

須田)台湾をめぐってのワクチンの調整は、完全にハイブリッド戦に突入していますね。

早かった菅総理の政治判断

飯田)日本のワクチン提供も、最初は「6月中に」と言われていましたが、早かったです。水面下ではいろいろな準備をしていたようですね。

須田)日本を含めた安全保障上の問題になる認識がありましたから、いち早くということと、これに関しては菅総理の政治判断が早かったですよね。

飯田)官邸のなかや霞が関には、出すのに慎重だった人もいたわけですか?

須田)そうですね、予算上のことを含めて「説明がつくのか」とね。

台湾へアストラゼネカ製ワクチンを提供する理由

飯田)アストラゼネカ社製のワクチンが台湾へ行くということで、日本国内で血栓が発生したという報道がされていて、危惧する人が多いからそれを回したのではないかというような批判をする人もいます。

須田)そうではなくて、注射の間隔や打ち方も含めて、他の製品と混在してしまうと混乱するから、というところもあるのでしょうね。

飯田)ファイザーやモデルナのワクチンを使うと、一定程度の冷蔵庫や冷凍庫での保管が必要であり、温度管理が非常に難しいと。そこで台湾はアストラゼネカ社製をまず優先的に承認したという指摘もありますものね。

国産ワクチンについても、全量買い上げを約束して開発を急がせる厚労省

須田)日本は国産ワクチンの製造についても加速させつつありますので。

飯田)予算も付けてこれからやって行くと。どのくらいワクチンを打てば抗体が持つのか、ということもありますが、そうすると毎年打つ形になるのかも知れませんね。

須田)新しい感染症に対しても、ワクチン製造のインフラ整備は必要です。これは未確認情報なのですが、厚労省は国産ワクチンについても、全量買い上げを約束して開発を急がせるという方向に、いま動きつつあるようです。

飯田)いままではお金が切れて、そこから研究できなくなったという経緯があったから、同じ轍を踏まないということですか。

須田)そうですね。

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