G7サミットで各国から求められる菅総理の「日本としての提案」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月11日放送)に元内閣官房副長官補で同志社大学特別客員教授の兼原信克が出演。6月11日からイギリスで始まるG7サミットについて解説した。

【菅首相G7出発】G7サミット出席のため英国へ出発する菅義偉首相。左は真理子夫人=2021年6月10日午後、羽田空港 写真提供:産経新聞社

G7サミット、6月11日からイギリスでスタート

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2021年6月10日、会見する菅総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202106/10bura.html)

中国が強くなるとアメリカが困る「国家としてのアイデンティティ」

兼原)アメリカは歴史がない国なので、自由主義や民主主義という価値観をアイデンティティにしている人たちなのです。私たちよりも原理主義ですから、それが強く出るときはアメリカが頑張るときです。

飯田)あれだけ移民がたくさん入っている国だと。

兼原)歴史や共通のバックグラウンドはゼロです。メイフラワー号で来た人はほんの一握りで、ほとんどが移民船か奴隷船で来ているのです。その人たちがあのようなアイデンティティをつくったのはすごいことだと思います。ソ連はできませんでした。ユーゴスラビア人もできなかったでしょう。アメリカは人工的な国家をつくって成功したのです。アメリカやインドネシアは新しい国のアイデンティティをつくるのに成功した人たちなのです。

飯田)インドネシアもそうなのですね。

兼原)あれは日本が独立するように仕向けて、頑張ってもらったのです。言葉の数は山ほどあるしバラバラなのですが、初めのスカルノさんが偉くて、「イスラム教」などと言わなかったのです。「寛容な国をつくるのだ」と言ったのです。

飯田)バリにはバリの仏教があって、宗教も全然違いますものね。

兼原)それが新しいアイデンティティになって成功したのですけれども、結局、「人に意見を押し付けない」というところが勝っているのです。共産主義は逆なので、「この人たちが本当に強くなったら困る」とアメリカも思い始めているわけですよ。バイデン大統領が言っているのはそういうことです。

アジアの民主化していない国をどうするか〜存在感を増す日本

飯田)アジアをどちらが獲るのかということですが、そう考えると、イギリスが空母クイーン・エリザベスを派遣したり、そういうコミットを強めているというのも、一連の流れのなかにあるわけですね。

兼原)アジアの人口は6割くらいあるのです。2030年には世界のGNPの6割くらいがアジアになると言われています。アジアが最も大きなパイになるのです。多くの国は植民地支配され、人種差別されて頭に来て、独立したあとはしばらく独裁をやっていたので、みんなが民主化したのは90年代くらいですよね。新しい人達で、まだ民主化していない国もたくさんあるし、ここをどうするのかというのが最大の関心事になります。イギリスやアメリカは世界帝国だったので、そこに頭が回るのです。

飯田)日本はいちばん近いところにあるG7諸国。

兼原)だから最近、日本が大事にされているのです。対面で最初に菅総理がホワイトハウスに呼ばれたのはそういうことです。日本の存在感は、放っておいても大きくなっているのです。逆に言うと責任も大きくなっているので、「きちんとしたリーダーシップが取れますか?」という感じになっているのだと思います。

アジアのことは菅総理に聞いて来る

飯田)今回のG7においても、菅さんがどう言うかということは。

兼原)みんな一生懸命聞くと思いますよ。「あなたのところの話だよね」とみんなが振るわけです。

飯田)地理的な状況に詳しくない人たちが、菅さんに聞いて来るということですか?

兼原)ヨーロッパの人たちは、アジアのことをあまり知らないですからね。アメリカはヨーロッパとアジアの両方を見ていますけれども。

日本としての提案をきちんと説明しなくてはならない

飯田)そこをきちんと説明し、それだけではなく「日本としてはこうするべきだと思う」という提案までやらなければいけないということですか?

兼原)そうです。私たちが戦後つくって来た社会は、明治のときも同じことを言っていたわけですけれども、「四民平等で幸せな社会をつくるぞ」ということです。戦争中はいろいろなことがありましたけれど。「再び独裁は勘弁してください」というメッセージが強いのです。他の国も日本と同じなのだと思います。

飯田)それが「自由で開かれたインド太平洋」と。

兼原)そうやって「日本と一緒にやろうか」という話になるのですよね。

飯田)菅さんがそれをきちんと説明できるかという。

兼原)おやりになると思います。

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