日本主導で「北朝鮮の瀬取り対策」を行ったことの意味〜安倍晋三前総理に訊く

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月17日放送)に安倍晋三前総理大臣が出演。総理大臣在任時に悩み、実行したさまざまな事柄について語った。

北朝鮮の「瀬取り」に対する海上自衛隊の対応 〜防衛省 自衛艦隊HP「新着情報」より https://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/W006H0000687.html

北朝鮮の「瀬取り」に対する海上自衛隊の対応 〜防衛省 自衛艦隊HP「新着情報」より https://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/W006H0000687.html

北朝鮮の「瀬取り対策」〜日本が主導して西側諸国に参加を求めた

安倍前総理が特別インタビューとして6月14日(月)〜18日(金)のニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に毎日出演。ここでは北朝鮮への対応、また台湾との関係性について訊いた。

飯田)まずは北朝鮮への対応からお聞きしたいのですが。

安倍)北朝鮮に対しては、さまざまな制裁を行っていますが、1つに「瀬取り対策」があります。北朝鮮に対する原油等の輸出を制限していますが、それを逃れるために彼らは洋上で受け取っている。

飯田)積み替えてという。

安倍)それをしっかり監視して、「協力している国はどこか、船はどこか」ということを明らかにする。これは、日本の海上自衛隊がまず対応しました。そして同盟国のアメリカに訴え、豪州、カナダに参加しないかと言い、あるいはフランス、イギリスにも訴えました。みんな参加してくれました。かつての日本はどうだったかと言えば、逆ですよね。アメリカなどが言い出して、「日本も参加しないか」と言われて、日本は「ちょっと待ってください。憲法との関係がありますからね」などと言いながら、だいぶ遅くなってしまう。

2017年7月29日、会見する安倍総理〜出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201707/29kaiken.html)

2017年7月29日、会見する安倍総理〜出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201707/29kaiken.html)

日本の変化に世界が驚いた〜リーダーシップを発揮し始めた日本にASEANの国々が期待

飯田)お金だけで何とか、など。

安倍)そういうことだったのです。これはまさに日本が主導して、世界に参加を呼びかけた。だから世界が驚いたのです。「日本はずいぶん変わったぞ。いよいよリーダーシップを発揮し始めたね」と。ASEANの国々も、そういう日本に期待をしていると思います。そのなかで「自由で開かれたインド太平洋」については、表現の仕方は国によって工夫しているところもありますが、基本的にはそういう考え方に則って、フランスも軍を派遣して陸上で日仏の共同訓練がありました。

「世界が国際的なルールの下に、海の安全を協力しながら守る」ということを示す

飯田)ありましたね、先月(5月)。

安倍)私の地元である下関の人たちがよく冗談で言っているのだけれど、フランス軍が上陸したのは、下関が4か国と戦って以来ではないかと言っています。

飯田)なるほど。幕末維新のあのときにと。

安倍)また、イギリスも空母クイーン・エリザベスを派遣します。ドイツもフリゲート艦を派遣する予定になっています。そうしたなかにおいて、「世界が国際的なルールの下に、海の安全を協力しながら守る」ということを示すことができるのかなと思います。

安倍晋三前内閣総理大臣、飯田浩司アナウンサー

安倍晋三前内閣総理大臣、飯田浩司アナウンサー

日本が台湾へ新型コロナワクチンを送った理由

飯田)その価値観を同じくする国……ここはいろいろな表現がありますが、台湾。その台湾が、ここまで新型コロナウイルスを一生懸命抑えて来たのだけれど、「変異株が来て感染が拡大してしまったがワクチンがない」という状況になった。そのときに日本が率先して台湾へワクチンを出しました。6月11日付けの読売新聞では、

『台湾・蔡総統からの電話「何とか届けてもらえないでしょうか」…[政治の現場]ワクチン<10>』

〜『読売新聞オンライン』2021年6月11日配信記事 より

……というところに安倍さんのお名前も出ていました。「蔡英文さんから電話が来た」とも書いてありましたが。

安倍)台湾というのは日本にとっては古く、そして大切な友人です。東日本大震災のときに最も多くの義援金を集めてくれた。もちろん政府にも出していただいたのですが、台湾の皆さんが募金をして、巨額な金額を日本に送っていただいた。また、今回コロナ禍にあって、大量のマスク等を送っていただきました。

飯田)そうですね。

安倍)日本はこのことを決して忘れてはならないと思っています。東日本大震災のとき、ある台湾の船会社の社長さんと会った際に、「自分の親父が、数千万円の義援金を送ると言っていたので、『台湾の地震のときより多いではないか』と言ったら、『自分はかつて帝国海軍の一員でもあった。自分の人格形成において日本の存在がとても大切だった。その日本が困難にあるときに支援するのは当たり前ではないか』と怒られたのですよ」と言っていました。

飯田)そうですか。

安倍)その国が困っている状況においてワクチンを提供するということは、私は当然のことだと思いました。その後、菅総理は麻生副総理、加藤官房長官、茂木外務大臣も含めて皆さんと協力し、大変スピーディーに100万回分以上のワクチンをお届けすることができてよかったと思います。蔡英文総統からは、私のところにお礼の電話がありました。「国民の皆さまに感謝を伝えてください」というお話でした。

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