他人事ではない“香港「リンゴ日報」廃刊”〜日本は堂々と正義を追求するべき

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月25日放送)に元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が出演。香港の「蘋果日報(リンゴ日報)」廃刊のニュースを受け、今後の日中関係のあり方について解説した。

資産凍結で「香港の報道機関」圧殺 蘋果日報(アップルデイリー)休刊=2021年6月23日、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

香港の「リンゴ日報」廃刊

中国共産党や政府への批判的姿勢で知られる香港紙「蘋果日報(リンゴ日報)」は6月24日、最後の朝刊を発行し、26年の歴史に幕を下ろした。24日付の最後の紙面は「香港人への告別の辞」との見出しで、幹部によるお別れのメッセージを掲載。「蘋果日報は死んだ。報道の自由は暴政の犠牲となった」と訴えている。

飯田)民主派支持を唯一、堅持し続けて来た大きな存在がなくなったということになります。いろいろな手を使って締めあげて来ましたが、ついにここを迎えたかということでしょうか。

松井)隣国がこういう体制であるということは、我々は心してかからないといけません。日本では尖閣が話題になりますけれど、安全保障の同僚の研究者などは、「台湾を見ておかなければいけない」と心配している人間もいます。学生には、「日本の外交や安全保障は、戦後長く続いたものと同じ価値観ではダメかも知れない」ということを話すような状態です。よほど気を付けて行かないと。他人事ではないですね。

香港での出来事は他人事ではない〜自由を守るという基本的な価値観の問題

飯田)かつては「韜光養晦(とうこうようかい)」というように、西側の価値観に沿うようなそぶりを見せていましたが、もはや爪を隠さなくなったということですね。

松井)ここまで臆面もなくやりますからね。他の隣国との関係も含めて、我が国もそうですし、東南アジア、南沙諸島の動きや台湾有事の可能性など、すべてを考えて行かないと、怖いですね。そういう状態にしてはいけないから、硬軟両様の対応が必要なのでしょうけれど、25日も産経新聞1面トップで相当大きな記事を書いていますが、我々はもっと他人事でない対応をしなければならない。今回は官房長官もきちんと発言されていますし、G7であそこまで中国が話題になるというのも特別なことだと思います。中国の国家統制はワクチン対応などでは優れた面もありますし、民主主義のコストがない分、場合によっては、いろいろな意思決定が早く大胆にできるので、そちらの面を取り上げる人もいます。しかし、我々は自由を守らないといけないのです。その基本的な価値観の問題だと思います。こういう国が隣にあるということからは逃れられません。

アメリカに依存していればいいという状態ではない

飯田)我々は引っ越せないですものね。

松井)そうなのです。アメリカにかつてのような覇権国としての圧倒的な強みがあればいいですが、徐々に相対的な地位は低下します。そうなって来ると我々自身が一国平和主義というか、アメリカに依存していればいいという状態ではなく、連携して自由という価値をどう守って行くのかを考えなくてはいけない。しんどい時代に入りましたね。

日本は堂々と正義を追求するべき〜「日中友好」で問題が解決される時代ではない

飯田)自由という価値観を共有できる国々はたくさんありますし、国内でいろいろな議論はありながらも、ベースとしては共有できそうなものですが、安全保障の議論は右左に分かれていて、なかなか収斂しないというのがこの国なのですか?

松井)もう、そういう時代ではないと思います。日中友好はいいことですけれど、台湾を国会議員が訪問するだけでも圧力がかかって萎縮するという時代がありましたが、G7であそこまで中国の姿勢を議論する時代です。明らかに変わっていて、従来なら慎重だったヨーロッパの国々も変わって来ています。2〜3年前のヨーロッパの国々は、もう少し中国に対して親和的でした。

飯田)そうですよね。経済で利得を取ればいいというところがあった。

松井)彼らも「これは」と勘付くというレベルまで来ているのです。中国と喧嘩する必要はないし、経済的には密接不可分の関係だから、それはそれで大事なことです。しかし、従来の中国観で動いていると、中国の権力構造自体も変わって来ていると思うので、「日中友好」で問題をすべて解決するという考え方は、私の元の仲間でそのように言う人もいるのですけれど、少し直さなければいけない時代だと思います。やはり日本は堂々と正義を追求して行かなければいけないと思います。

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