どのような判断で「危険な盛り土」とするのか〜熱海土石流で急務となる「盛り土」総点検

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月12日放送)に中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也が出演。熱海市で起きた土石流の原因とされている盛り土への対策について解説した。

土石流に襲われた現場を捜索する自衛隊員ら=2021年7月10日午前、静岡県熱海市伊豆山 写真提供:産経新聞社

静岡県熱海市で発生した土石流、行方不明者の捜索続く

静岡県熱海市伊豆山地区で発生した土石流の災害現場では、警察、消防、自衛隊による行方不明者の捜索が続いている。7月11日には新たに1人の遺体が見つかり、今回の災害で亡くなった方は10人となった。いまだ18人が行方不明となっている。

二次災害に気をつけながらの捜索活動

飯田)2ヵ所のホテルに約580人の方が避難されているということですが、行方不明の方々もまだ多いという状況です。

野村)捜索が難航しています。まだ盛り土のあった部分は地盤が緩んでいますので、二次災害に気をつけながら捜索をしなくてはいけないという、非常に厳しい現場だと思います。

飯田)私も少しだけ現場に入ったのですが、ドローンが飛んでいて、土砂の状況を逐一判断していました。

連絡のつかない人すべてを公表した自治体の英断

野村)自治体として英断だったと思うのは、被災された方々のお名前を発表されたことです。これまでも、いつのタイミングで出すのか迷っていたのですが、今回は間違ってもいいから、連絡のつかない人をすべて出し、被災されている可能性のある方を絞り込んで、その方のお住まいの場所を一生懸命捜索しています。このやり方は今後の教訓になると思います。

飯田)西日本豪雨のとき、倉敷市真備町の辺りで例があったということですが、今回は発災後、救助率が著しく下がってしまう72時間より前に出しました。

「5メートル以上地盤が上がっている盛り土」からどのようにして危険な場所を選ぶのか

野村)今回、盛り土の問題がクローズアップされていて、政府も盛り土の総点検をすることになっています。一刻も早くやっていただきたいと思うのですが、現在の国交省のガイドラインですと、宅地造成地のなかの、「3000平方メートル以上の大きな盛り土」だけが調査対象になっていたのです。つまり政府の把握している盛り土というのは、日本中にある盛り土のごく一部でしかないのです。

飯田)3000平方メートル以上の盛り土。

野村)今回崩落した盛り土はそこから漏れていたわけです。総点検が必要だということになるのですが、やり方が難しいですよね。古い地図と新しい地図を照らし合わせて、「5メートル以上地盤が上がっているところ」を総点検するらしいのですが、そこがすべて危険なわけではありません。そのなかから、どうやって危険な場所を選ぶのか、そこが難しいのではないかと思います。

財産的な価値もあり、難しい土地への調査〜情報をオープンにするべき

飯田)ある意味、財産的な価値の部分にも踏み込んで行くことになります。「ここは調査が入っている」という部分をどうインフォメーションするのか。慎重にやらなくてはいけない部分があります。

野村)これまでも、ハザードマップをつくることに対して抵抗感のある地域の方がおられたのです。高級住宅街でも、ハザードマップ上は危ないとなると、値段が下がってしまうのではないかという議論がありました。しかし、人命が優先ですから、点検をしっかりやって情報をオープンにすることは重要だと思います。

これまでは条例まかせで曖昧であった〜ルールの点検も必要

飯田)今回も行政の指導がどこまでできたかというところは、既に検証がされているところですが、その辺りの権限なども今後整理されることになるでしょうね。

野村)そうなのです。宅地造成のところだけは、かなり厳しくチェックする法律になっているのですが、それ以外は条例任せになっているのです。

飯田)なるほど。

野村)条例の部分は届け出だけになっていて、そこをチェックすることは、「やってもいいし、やらなくてもいい」と曖昧になっている条例もありますので、ルールの点検も必要だと思います。

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