自民党総裁選は9月29日か〜「菅氏無投票再選」という二階氏の引いたラインに行き詰まり

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月10日放送)にジャーナリストの末延吉正が出演。支持率35%と最低を記録した菅政権の今後について解説した。

2021年8月4日、会見する菅総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202108/04bura.html)

支持率低下、菅内閣の今後を占う

読売新聞が8月7日〜9日に実施した全国世論調査によると、菅内閣の支持率は35%と最低を記録した。また不支持率は54%で、発足以降最高となっている。

飯田)8月9日発表の朝日新聞の世論調査でも、支持率28%と菅内閣としては過去最悪となっています。メールもいただいています。“ペーパータイガー”さん、千葉市稲毛区の方からです。「末延さん、菅総理の発信力が問われ続けていますが、政府・官邸・自民党は打つ手がないのですか? 諦めている? 見放している? このままでは、どんなにいい政策を打ち出しても国民には伝わらないのではないか(泣笑)」ということです。

高市早苗さんの「総裁選に出馬します!」という「文藝春秋」のゲラが流れる

末延)1年前、安倍さんが体調を崩して退き、跡を継ぐ形で出て来たとき、仕事師だから地味だけれどもやってくれるだろうという期待が大きかったけれど、とりあえず総理の言葉が届かないという感じです。政局的に言うと8月10日発売の「文藝春秋」に、安倍さんに近い前総務大臣である高市早苗さんの「総裁選に出馬します!」という原稿があって、そのゲラが先週の後半に流れたのですよ。

飯田)けっこう流れましたよね。

末延)後半はもう永田町がガタガタしていました。

飯田)私のようなところまで回って来て驚きました。

末延)それと『「裸の王様」につけるクスリ』という政治ジャーナリストの原稿もセットで載っているのです。1年前に二階さん、林幹事長代理、森山国対委員長が議員宿舎で菅さんを一気に担いだ。しかし、この支持率では菅さんで行くと、秋に見込まれる解散総選挙は難しいのではないかということで、安倍さんや麻生さんがどう動くか。二階さんグループがどう動くか。

総裁選は9月29日〜二階さんの引いたラインが行き詰まり

末延)二階さんは菅さんの無投票再選を狙っていたのだけれども、その二階さんの引いたラインが行き詰まっている。総裁選をフルスペックで、地方の党員投票も入れて1ヵ月くらいかけてということで、8月26日に総裁選のやり方を正式に決めるのです。そこでフルスペック、地方党員の投票もやるということは、9月29日に総裁選ということです。

飯田)9月29日に。

末延)本当は9月5日にパラリンピックが終わったら、「直ちに解散総選挙」と言っていたのだけれども、どうもその力は菅さんにはなくなって来た。支持率が3割を切るところが出て来た。前に不人気だった森喜朗さんのときは、その後の都議選と参院選に勝てないということで、予算だけあげて4月に辞め、臨時の総裁選をやり、小泉さんが田中真紀子さんと全国遊説してブームになったでしょう。

飯田)「自民党をぶっ潰す」と言って。

末延)選挙対策ということも考えて、自民党のなかで、「きちんとした候補者を出し、総裁選でコロナと経済対策をきちんと国民に訴えた方がいいのではないか」という見方が出て来た。この間の都議選を見ればわかるように、東京などでは自民党は惨敗しています。公明党もいまは貸金業法違反の問題で議員を辞めた遠山さんの周りで、東京地検特捜部が動いている。この辺もボディーブローになっていて、政府・与党のなかに危機感があり、先週後半から一気に政局が変わった。どこから動くかと言えば、22日に菅総理のお膝元の横浜市長選で8人の候補者が乱立し、もしかすると有効投票総数の4分の1を獲る人がいなくて、再選挙になるのではないかとも言われています。

飯田)そんな可能性まで出て来ていますか。

末延)菅さんは「安全安心」と何を聞いても同じことしか返って来ない、言葉も届かないので、みんなが苛立っている。デルタ株によってさらにまた感染が増えます。そうすると、横浜市長選が第一幕くらいで来て、9月は自民党総裁選になるのではないかということです。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

自民党総裁選は圧倒的な宣伝になる

飯田)総裁選をやると、各メディアがワイドショー含めて報道をするということで、戦略的にはメディアジャックをするということですね。

末延)野党がほとんど伸びておらず、共産党との選挙協力で立憲民主党がいまガタガタしている。それでも都市部では自民党・公明党は苦しいのです。総裁選をやれば圧倒的な宣伝になります。しかし、そのときに現職総理大臣の菅総理が、一緒に他の候補者と全国を遊説して歩けますか? 退くしかなくなるでしょう。「自分はダメだ」ということを言われるわけだから。そのため、二階幹事長と菅さんが現職総理としては珍しく、早めに「再選を目指して出る」と言ったでしょう。

飯田)早めに言いましたよね。

末延)総裁選については、解散総選挙があるなら凍結すればいいという、無投票再選路線に走っていたのです。みんなもこのまま政局は動かないし、コロナも収まらないし、ワクチンも足りずに「大丈夫かな」と思っていたところで、高市さんの出馬声明を受けて、安倍さんも少し見限って来たのではないかとか、フルスペックの党員投票の総裁選をやれと自民党青年局が言っていた。

飯田)そうですよね。

総裁選に石破氏、河野氏というカードの選択も

末延)あの牧島かれんさんという青年局長は麻生さんの側近なのです。麻生さん、安倍さんは、いまは菅さん支持なのだけれど、解散総選挙を考えたときに、いまのままだと行けないのではないかと思い始めている。それに対して幹事長を続けたい二階さんや森山さんが「これではダメだ」と思ったら、政治は冷たいですから、地方投票人気の石破さんというカードを切って来る可能性もある。

飯田)石破さんを。

末延)麻生さんや安倍さんは正攻法で行けば、安定感があって派閥の長である岸田さんをもともと支持しようとしていたけれども、岸田さんでは人気が出ないということになって、河野さんというカードを切るかも知れない。河野さんのカードであれば、菅総理も自分はここまで頑張ったけれども、支持率がこうなってはということで、退いて河野さんを支持するかも知れない。

飯田)同じ神奈川ですものね。

末延)そんな構想を含めて、無風だった政局が一気に動き出し、これが横浜市長選の結果から8月26日の総裁選のルール決定まで含めて、動くのではないかと私は思っています。

高市氏には安倍氏を含めた応援団が20人の推薦人を集めるだろう〜菅総理では難しい

飯田)高市さんの一石というのは、ものすごい波紋を呼んでいますね。

末延)高市さんは8月3日に安倍前総理と会っています。高市さんは保守側で、LGBTの問題で稲田さんが少しブレたでしょう。ブレない保守の価値をしっかり持っているというところで、安倍さんが評価しているということは、高市さんが1人で「出たい」と言っているのではなく、「安倍さん含めた応援団が20人の推薦人を集めるだろう」という前提でみんな見ているのです。

飯田)きちんとした目算もあって言っているのだろうと。

末延)もちろん菅総理も巻き返して来るでしょうが、1度国民から限界ではないかと見られた総理というのは、森さんや麻生さんもそうですが、結局、選挙に勝てないのです。政治家は冷たいところがあって、自分の選挙が関わると急に変わりますから。自民党も当選回数が低くて選挙に強くない人が多いから、そういう意味では、一気にお盆明けに選挙区から戻って来た人たちが「このままでは難しい」と。

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