ノーコントロール状態のアフガニスタン情勢 〜反政府勢力「タリバン」が政権を掌握

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月16日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。アフガニスタンの反政府勢力タリバンによる政権掌握について解説した。

アフガニスタン東部ジャララバードに入った反政府勢力タリバンの戦闘員ら。=2021年8月15日 AFP=時事 写真提供:時事通信

アフガニスタン反政府勢力「タリバン」が政権を掌握

アフガニスタンのガニ大統領は8月15日、反政府勢力タリバンが勝利したとする声明を発表し、タリバンが政権を掌握したことを認めた。タリバンは15日、首都カブールに侵攻し、大統領府を掌握。ガニ大統領は国外へ脱出している。

飯田)日本時間の15日夜から事態が激しく動いています。国連の安全保障理事会は、アフガニスタン情勢に関する緊急会合を16日に開いて対応、協議するということです。また、アメリカ軍に関しては、駐留米軍を6000人規模として、アフガニスタンにいるアメリカ市民らの退避を支援するということです。一方、アメリカの大使館は退避作業を完了し、大使館業務に関しては、カブールの空港にある施設で続けるという情報が入って来ています。日本の大使館も退避するという方針が伝えられています。事態が急変しましたね。

タリバンの国家樹立を認めない国連〜誰もタリバンをコントロールできない

須田)そうですね。実質的にタリバンが支配するという事実には変わりないのだろうと思います。国連安全保障理事会が緊急会合を開きますが、兼ねてから事務総長が「対話によって解決を図れ」と勧告をしていたにも関わらず、無視をしたという流れがありますから、国連としては、タリバンの正当性、国家樹立は認めない。これは前回、タリバンが政権を掌握したときもそうでした。

飯田)90年代後半ということですか?

須田)はい。ですので、タリバン政権を承認する国がどれだけ出て来るのかという状況ではあります。中央アジアの交通の要所にある国ですので、ここが不安定化している状況のなかで、周辺国に対しては大きな影響を与えつつあるのだと思います。今回タリバンが攻勢を強めるなかで、タリバンの復活に手を貸して来たパキスタンですら、タリバンをコントロールできないのです。怖いのは、アフガニスタン情勢がノーコントロール状態で、誰もがそこに影響力を発揮できない状況であるということです。

国内のイスラム勢力とタリバンの連携が怖い中国

飯田)そうなると、北に上がって行けばロシアがあるし、地図上、東に向くと中国もある。

須田)国境が接していますからね。

飯田)その辺の地域大国と呼ばれるような国々は、どのように見ているのでしょうか?

須田)ロシアもそうですが、特に中国においては、イスラム勢力を中心に反政府的な動きを持っていますから、そことの連携が怖いのです。ただ、タリバンとしても、これから国を支配して行くなかで、経済的な支援は必要なため、中国に対して期待している状況にある。中国としては、経済支援の見返りとして、「自国のイスラム勢力への支援はしないでくれ」という状況に持って行こうとしているのですが、それも一筋縄では行かないと思います。

パキスタンのテロ組織のバックにはタリバンの存在の可能性も

須田)もう1つ、パキスタン国内で2021年に入ってから、テロや反政府組織の活動が活発化しているのです。パキスタンは「一帯一路」構想の要所とされていて、中国人や中国企業が多数進出しています。反政府やテロ組織にとって、中国の存在は目障りで仕方がないということで、中国に対するテロ活動が活発化しているという状況にあるのです。

飯田)中国に対しての。

須田)いろいろな情報を収集しますと、反政府組織あるいはテロ組織のバックには、タリバンの協力もあるのではないかという状況が見えるのです。そういう意味では、確かにタリバンの代表と中国サイドは交渉をしていますが、それですべて解決できるという話でもありません。加えて、ロシア周辺のイスラム諸国についても、反ロシアの動きが活発化して来ている。連携しているというわけではないのですが、タリバンの存在が出て来ると触発されてしまう可能性もあります。

飯田)「では俺たちも」というように。

須田)はい。ですので、一気に流動化して来たなと思います。

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