「病床ひっ迫」は高齢者の感染者が減少し、死ぬ人が少なくなったから 〜菅総理「宣言解除の前提は医療提供体制の確保」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月18日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。緊急事態宣言の対象地域拡大などの決定を発表した菅総理の会見について解説した。

川崎のコロナ病棟 病床逼迫、ピーク見えない=2021年8月11日午後 写真提供:共同通信社

菅総理会見〜宣言解除の前提は「医療提供体制の確保」

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米製薬大手ファイザーが開発した新型コロナウイルスワクチン(アメリカ)=2020年12月30日 AFP=時事 写真提供:時事通信社

新型コロナの事態が変化することにどのように追随してキャッチアップして行くか〜状況に応じて柔軟に作戦を変えて来た「日本モデル」

佐々木)毎回、緊急事態宣言が出る毎に、出口が変わって来る。「出口戦略はどうなっているのか」、「もっと明確にしろ」とみんな怒るのだけれども、デルタ株が出て来たり、ワクチン接種が進んだり、いろいろな状況が変わることによって、事態は変化している。事態が変化していることに、どうやって追随してキャッチアップして行くかということが、感染症対策にとって重要な話になって来るのだけれども、ここがメディアや国民にはわからないのです。

新行)事態が変化していることに、どう追随するか。

佐々木)昨日(17日)、ある番組でコロナ分科会の会長である尾身茂先生が出て来られて、やり取りをしたのですが、尾身先生は「日本モデルとは何なのか」ということをおっしゃいました。世界のなかでは、日本は感染者数も死者も少なく、欧米に比べれば抑制してやって来た。それは「日本は自粛でうまくやった」という話ではなく、日本は当初、クラスター対策を積極的に行って「3密をやめましょう」など、日本独自のことを出しましたが、その都度、状況は変わって来た。基本的な考え方は同じなのだけれど、そのときの状況に応じて作戦を変えて行くという柔軟さを持っていた。「その柔軟さこそが、我々の強みだ」と前々からおっしゃっているのです。

一方では右往左往しているようにも見えてしまう

佐々木)確かにそうなのだけれども、一方で、その都度、柔軟に対応を変えて行くというのは、メディアや国民から見ると「右往左往しているようにしか見えない」ということでもあるのです。だから今回も、いままでステージなどと言っていたのに、「なぜ医療がひっ迫しているかどうかが解除の要件になるのだ」と怒り出す人もいる。

新行)なぜ変わるのかと。

佐々木)我々はその考え方を変えなければいけない。特にサイエンス、科学の分野は間違っていたらすぐ間違いを認める。「新しい事実に基づいて考えを変える」ということが科学なわけです。

柔軟に対応するということを、国民がきちんと受け止める姿勢が必要

佐々木)その科学の考え方は、政治やメディアには馴染まない。以前言ったことを「間違えました、すみませんでした」などと言いにくいではないですか。特に政治家は、それを言った瞬間に、「昨日はこう言っていたのに、あなたは間違っていたではないか」と責められるわけでしょう。役所もそうです。昨日言っていたことと、きょう言っていることが違っていたら、厚生労働省はすぐに責められる。特に新聞やテレビから。

新行)そうですね。

佐々木)そうすると、間違ってはいけない、絶対に間違いを認めてはいけないという方向に舵を切ってしまわなければいけなくなるのです。しかし、それではますます柔軟に対応できなくなってしまう。柔軟に対応するということを、我々がきちんと受け止めるという姿勢でやって行くしかないのではないかと思います。

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