日本だけが守る防衛費GDPの1% 〜防衛費の不均衡が高まると戦争確率が高くなる

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月25日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。日本の防衛費について解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

防衛費がGDP1%を突破する可能性も〜取り下げられて久しい防衛費の「GDP1%」

防衛省は8月19日、2022年度予算の概算要求で、過去最高の5兆4000億円台を計上した。中国への抑止力向上を急ぐため、南西諸島の防衛体制を強化したもので、年末の予算案決定で2021年度当初の5兆3422億円を上回る最高額となり、防衛費で目安として来た国内総生産(GDP)の1%を突破する可能性がある。

飯田)概算要求は各省から出ておりますけれども、防衛費に関してはすでに先日記事が出ておりました。GDP1%ということですが、このことは取り下げられて久しいですよね。

高橋)久しいですよ。もともと設定しているのもおかしいですけれども、まだ言っているのかという感じです。

飯田)三木内閣でこれが設定され、中曽根内閣で撤廃を目指して指示もしていたということですけれども。

中国の国防費は30年で40倍以上に〜国防費の不均衡は相手をその気にさせてしまう

高橋)各国を見ても、G20では平均すると2.3%です。

飯田)GDP比の国防予算。

高橋)だいたい2.3%なのですが、いろいろな情勢によってプラス、マイナスはします。世界中のなかで軍事費の比率を見ると、日本だけがいつもGDP比ぴったり1%くらいです。こんな国はありません。

飯田)日本だけが。

高橋)普通はいろいろな情勢に応じてやるのです。国際関係理論の基本的なものは、リアリズムと理想主義があるのだけれども、リアリズムの方は、同盟と軍事費をそこそこに保てる。「そこそこ」というのは、同盟を結んでいると攻められにくくなるということと、軍事費は周りの国と不均衡が出ると戦争が起こる確率が高くなるのです。

飯田)不均衡が生じると。

高橋)だから、周りの国と同じように伸ばすというのがセオリーなのです。それから考えると、中国はこの30年で40倍以上です。中国が伸びているときに日本だけが伸びないというのは、かなり危ないのです。要するに、相手をその気にさせてしまうということです。

飯田)攻められても大丈夫だろうと思わせてしまう。

高橋)攻められても大丈夫だろうと思わせてしまったら、非常に危なくなるので、一緒にやらなければいけないというのが普通です。中国以外に日本の周りで気をつけなければいけないのはロシアなのだけれども、ロシアは8倍です。

飯田)ロシアは8倍。

高橋)それが相場と言えば相場なのですが、日本はそれで考えると、ほぼ横ばいだから1.4倍で、まったく伸びていない。世界のなかで異常な状態です。

飯田)ここまでの不均衡というのは。

高橋)不均衡にさせてはいけないのです。不均衡になると、本当にその気にさせてしまうので、それがいちばん危ないのです。

軍事費の不均衡が高まると戦争が始まる確率が高くなる

飯田)いままでであれば、不均衡を日米同盟で何とか埋め合わせるような形だったわけですよね。

高橋)そうですね。でも、日米同盟と言っても、今回のアフガンの問題でアメリカが言われているけれども、あてにならないだろうという話があるし、どこの国際社会もそうなのですが、自国で守らないと他国は守ってくれないのです。自国でまず守れなければいけない。そうすると、防衛費の不均衡というのは危険な状況になってしまいます。よく日本だけで議論をして「軍事費を伸ばすな」と言うのだけれども、その話をするなら中国に「伸ばすな」と言ってくれるのがいちばんいいのですよね。

飯田)お互い伸びないのならば、それはそれでいいのだけれども、という話です。

高橋)お互いに伸びなければいいのですが、片方だけ伸びて行くのがまずいのです。

飯田)中国を想定して備えるようなことに対しても、「戦争する気か」と批判する向きがあった。

高橋)軍事費の不均衡が高まると戦争確率が高まるというのは、データで完全に実証されているのです。ですから、危ないのです。抑えるなら両方抑える。だから軍拡競争があるのです。中国はどこの軍拡抑制にも参加しませんから、大変な国です。

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