最高人民会議を開催しなければならない「北朝鮮の事情」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月27日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。北朝鮮が9月28日に最高人民会議を開催するというニュースについて解説した。

北朝鮮の金正恩総書記[朝鮮中央通信が7月30日配信](北朝鮮・平壌)=2021年7月30日 AFP=時事 写真提供:時事通信

北朝鮮が9月28日に最高人民会議を開催へ

北朝鮮の朝鮮中央通信は8月26日、国会にあたるとされる最高人民会議が9月28日に平壌で招集されると伝えた。北朝鮮は長引く経済制裁や新型コロナウイルス流入を防ぐ国境封鎖に加え、水害と干ばつにも見舞われ、食糧事情が厳しくなっている。食料政策を含む経済対策や、体制結束を図るための人事問題などが議論されると見られている。

飯田)国会にあたるとされていますけれども。

問題があるから開く最高人民会議

宮家)その通り、このようなものが国会であるわけがないでしょう。最高人民会議をこういう形でやらなければいけないということは、今北朝鮮に何か大問題があるということです。こういう国であっても、いろいろな法律をつくっているわけでしょう。それをじっくり見てみると、意外とおもしろいことがわかる。中国も同じなのだけれども、何か法律をつくる、または指令や命令を出すときは気を付けなければいけない。「共産党は愛されなければいけない」という話があるでしょう。それは「愛されていないから」なのですよ。

飯田)愛されていないから。

宮家)愛されていたら、「愛されなければいけない」などと言う必要はないでしょう。そのような意地悪な視点で見ると、今回の会議でも同じです。「市・郡発展法」、おそらく都市と地方のことでしょうね。「市・郡発展法」の採択をする。要するに発展していないということですよ。

かなり厳しい状況の北朝鮮

宮家)何十年やっているかは知りませんが、今の北朝鮮はダメだ、相当苦労しているということです。その次に「人民経済計画法改正に関する問題」を議論した、というのは、要するに、経済計画が「うまく行っていない」ということですよね。計画経済をずっとやって来たはずなのに、うまく行かず、それを修正すると。

飯田)修正するようですね。

宮家)国際社会による制裁がある。コロナ後の国境封鎖の長期化による経済困難があって、さらには「青年教養保障法」というものが議論される。つまり、若者には「教養」がないということです。しかし、そもそも教養がない人たちに「保障」などしようがないでしょう。若者内の思想統制についての話でしょうが、ああそうか、教養がない、つまり、言うことを聞かないのだと。

飯田)教養がない。

宮家)そう考えると、北朝鮮は全体としてかなり苦しいのではないでしょうか。勇ましいことを言っていたけれども、アメリカはアフガニスタンで忙しいし、誰も振り向いてくれない。金正恩は誰かに振り向いて欲しいのでしょう。水害、干ばつ、コロナと考えると、相当厳しいところに追い詰められているのだと思います。

こういうときこそ、水面下で交渉し、チャンスを待つべき

飯田)こういうタイミングでこそ、日本に対しても、何かアプローチして来る可能性がありますか?

宮家)苦しいのでしょうね。本当は援助なり支援が欲しいはずなのだけれど、それがなかなか言えない。こういうときこそ、水面下の駆け引きをやって、チャンスを待つということが大事ではないかと思います。

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