デジタル庁発足 縦割り行政をどのように打破していくか

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月1日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。9月1日に発足されたデジタル庁について解説した。

9月発足のデジタル庁が入る民間ビル=東京都千代田(ちよだ)区 写真提供:共同通信社

デジタル庁が9月1日に発足

官民のデジタル化を推進する司令塔、デジタル庁が9月1日に発足した。コロナ禍で露呈した行政のデジタル化遅れの改善や、デジタルセキュリティ確保に向けた施策に取り組む。

飯田)新たな予算付けということで、デジタル庁に関しても「5426億円を内閣官房が要求」ということがあります。9月1日に発足ということです。

佐々木)デジタル庁には、とても期待しています。2000年ごろ、森喜朗内閣くらいのころから「情報省」のようなものを設立した方がいいのではないかと言われていたのです。総務省と経済産業省に、デジタル関係の予算や人員が分かれてしまっているので、それをまとめた方がいいのではないかという議論があり、それができないままここまで来てしまったのです。

飯田)そうですね。

佐々木)日本の場合、地方自治体のウェブサイトを見ると、使いづらいものがたくさんあり、これも統一するなど、何とかしなければいけない。もう1つは、マイナンバーカードのような国民IDと言われるものです。「国民識別番号」と昔から議論されていたのだけれど、ずっと潰されて来たわけです。

飯田)「国民総背番号制だ」などと言われて。

佐々木)監視社会だなどと言われて。実際には監視社会をつくるためではなく、個人の金融資産を捕捉することで、税の負担や給付金の不平等をなくすためというのが主な役割だったわけだから、これはやらなければいけない。現状ではいろいろな縛りが多過ぎるので、そこを突破できていない。そんな状況のなかで、初めてデジタル関連の行政を集約する官庁が発足されるのです。マイナンバーカードをめぐり、いろいろな議論や、自治体、政府のウェブサイトのできの悪さなどを一気に解消できるのではないかという期待感はかなり高まっています。

縦割り行政をどのように打破してデジタル庁のやろうとすることを実現するか

飯田)あとは各省庁が相手になるというところの壁。

佐々木)そうなのですよね。2000年代に総務省の役員や委員会の委員などをやっていて、いつも思うのだけれども、例えば「電子カルテを導入しましょう」と総務省が言う。実証実験までは行くのです。どこかの九州の自治体などでやって成功して、「これはよくやった」とか、電子カルテをクラウド化するとデータがクラウドになるので、病院にある電子カルテが消失しても大丈夫などと。

飯田)災害が起こったときに。

佐々木)そうです。東日本大震災で病院にある紙のカルテがなくなり、薬の処方箋が消えてしまったということがあったのだけれど、それがなくなるというので「やりましょう」となる。実証実験までうまく行き、いざ全国でやろうという話になると、今度は厚生労働省が強く反対するというような。医師会と結託して、「いや、そんなもの病院は求めていない」というようなことを言い出して、実証実験をやっただけで潰れてしまうというケースがとても多かったのです。

飯田)途中で。

佐々木)そういう「縦割り行政をどうやって打破して、デジタル庁がやろうとしていることを実現するか」というところが、大きな課題になって来ています。これこそが政治主導の話なのです。以前よりも官邸が強くなって、族議員と言われるような、省庁や業界と結託している議員の力が弱くなっているので、いまこそ、これをやれる時期なのではないでしょうか。

教育も文科省と自治体の教育委員会と教育産業の3者のなかに他者が入り込めない構造になっている

飯田)教育経済学者の中室牧子さんにお話を伺ったときに、ITと組んで経済産業省でということになると、教育の改革は塾ではやれるのだけれど、それを教育の現場に持って行こうとすると、文部科学省が反対するということがあるとおっしゃっていました。

佐々木)そうなのです。教育も文科省と自治体の教育委員会と教育産業です。その3者のゴールデントライアングルのようなものがあって、他者は入り込めない。そういう構造があり、いわゆる岩盤規制と言われるものが日本のあちこちにあるので、いまの官邸が強い時期の政治主導で何とか突破して欲しいというのが、デジタル庁の最大の役割だと思います。できないと結局、また昔のようにスローガンを言って、掛け声だけで終わってしまうので、乗り越えて欲しいと思います。

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