これだけ重要な子宮頸がんワクチン 〜積極的接種を正式に検討へ

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月1日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。田村厚労大臣が接種勧奨の再開を検討することを表明した子宮頸がんワクチンについて解説した。

厚生労働省が作成した子宮頸がんやHPVワクチンに関する啓発リーフレット(部分) 写真提供:共同通信社

子宮頸がんワクチン〜積極的接種を正式に検討へ

田村厚生労働大臣は8月31日に記者会見で、子宮頸がんを防ぐヒトパピローマウイルスワクチン(HPVワクチン)について、積極的接種を呼びかけ、接種勧奨の再開を検討すると正式に表明した。「専門家に議論いただくことが必要になる。なるべく早く検討して行きたい」と語っている。

飯田)なるべく早くということで、具体的な期日は出て来ませんでした。

子宮頸がんワクチンが積極勧奨されていないのは報道被害

佐々木)「コロナが落ち着いてから」というようなことを大臣がおっしゃって、「コロナが落ち着くのはいったいいつだよ」と突っ込みが入っていますけれど、ワクチン関連の厚労省の部署が忙しいということもあるかも知れませんので、あまり非難せずもう少し待った方がいいのかなという感じもします。

先進国では80〜90%が接種している〜日本だけが10%以下、年間約3000人が死亡

佐々木)子宮頸がんワクチンが積極勧奨されていないのは、完全なる報道被害です。先進各国はおよそ80〜90%が打っているのだけれど、日本だけが1割以下です。そのおかげで年間約1万人の発症者が出て、3000人くらいが亡くなっているのです。毎年ですよ。コロナどころではないくらいの規模です。

子宮頸がんワクチンの接種後に出た神経症状などを新聞各紙がキャンペーンのように報道〜厚労省も積極勧奨をやめざるを得なかった

佐々木)何がきっかけだったかと言うと、2012〜2013年ごろ、子宮頸がんワクチンを打ったあとに神経症状などの被害が出た。

飯田)後遺症が出るとか。

佐々木)それを市民団体のようなところが言い出して、新聞各紙がキャンペーンのように報道したのです。その結果、不安が広まってしまって、厚労省も積極勧奨をやめざるを得なかった。そういう流れです。

ワクチンとの因果関係は明らかになっていない

佐々木)今回のコロナワクチンもワクチン接種後に死んだとか、後遺症があるなどと、いろいろなことが言われているけれども、これも同じ状況で、「有害事象」と言われるものです。ワクチンを打ったあと、仮に亡くなったり病気になるということは確かにあります。これを有害事象と言うのだけれど、「有害」という名前を聞くと、まるでワクチンが悪いように聞こえますが、因果関係はない。

飯田)有害事象。

佐々木)ただ、もしかすると因果関係がある可能性もあるので、一応、「何かが起きたら報告はします。厚労省も発表はします」という決まりになっているのです。発表すると、まるで何か悪いことが起きたかのように言われてしまうのだけれど、実際のところ、因果関係は明らかになっていない。明らかになっていないと言うと、「いや、あるのではないか」とみんなが言う。

因果関係の証明はないけれど、可能性はゼロとは言えない〜「あるのではないか」と大騒ぎするメディア

佐々木)いわゆる自然科学、サイエンスの分野では、「ない」とは言い切れない。これはお医者さんでも自然科学の科学者でもみんな同じなのですが、「ない」ということは絶対に言わないのです。「可能性はあるけれど、証拠はありません。現時点では証明できません」という言い方をすると、「あるのではないか」と。メディアの論理はそういうところなのです。

飯田)そうですね。

佐々木)あるかないかわからないものを「ない」と捉えるか、「ある」と捉えるかと言うと、怖い方に必ず振りたがるのがメディアなのです。その結果、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)に関しても、「因果関係の証明はないけれど、可能性はゼロとは言えない」と科学者や役所が発表すると、「やはりあるのではないか」と大騒ぎしてしまう。その結果、年間3000人も亡くなるということになってしまった。

米製薬大手ファイザーが開発した新型コロナウイルスワクチン(アメリカ)=2020年12月30日 AFP=時事 写真提供:時事通信社

「ほとんどリスクがないものと同じだ」とマスコミが翻訳するべき

飯田)そこで「ないと断言すればいいではないか」と言う人もいるかも知れませんが、それは各者の良心なのですよね。「ない」とは言えないというのは。

佐々木)「ない」と言ってしまうと、ゼロリスク論になってしまうので、それは科学者の姿勢ではないという判断なのです。これもディスコミュニケーションの一環なのだけれども、どうやって国民とコミュニケーションを取るのかというところで、齟齬が解消できていない。

飯田)ディスコミュニケーションの一環。

佐々木)科学者が「可能性はほぼゼロだけれども、ないとは言い切れません」と言ったら、「それはほとんどないものと同じだ」とマスコミがきちんと翻訳して国民に伝えればいいのだけれど、それをしないで悪い方に行ってしまう。コミュニケーションの問題は、科学者や政治家が伝えていることだけが問題なのではなく、それを翻訳するメディア側にも問題があるのだということを、我々は認識しなければいけません。

新型コロナワクチンをみんなが積極的に打とうという機運に〜そのなかで子宮頸がんワクチンの積極勧奨も再開へ

佐々木)今回、新型コロナワクチンが、mRNAワクチンなので全然違うワクチンですが、効果があることがわかって、みんなワクチンを積極的に打とうという気分になっています。そのなかで、子宮頸がんワクチンに関しても、積極勧奨を再開してもいいのではないかという機運になって来たというのは、ある意味、不幸中の幸いのようなところがあります。これを機に元に戻して欲しいですね。

高校1年生までは無料で打てる子宮頸がんワクチン

佐々木)1つだけ伝えておきたいのは、現状、打てないわけではないのです。

飯田)ただ積極的に勧めていないだけで、仕組みは残っている。

佐々木)仕組みは残っているし、実際に高校1年生までならば無料なのです。ただし、3回打たないといけません。2ヵ月毎に打つから、3回打つのに6ヵ月かかるのです。

飯田)なるほど。間を空けなければいけない。

佐々木)高校1年生中に終われば無料で済むということは、高校1年の3月までに終わらせなければいけない。

飯田)なるほど。

佐々木)2年生になる直前。ということは、いま何月ですか?

飯田)いま9月になったばかりです。

佐々木)9月に打つと、次が11月、そして3回目が1月です。要するに今月中に打ち始めれば、1月中に終わる。そうすると、無料で済むのです。だから、このラジオを聴いて、お子さん、もしくは親戚に高校1年生の娘さんがいらっしゃれば、9月中に打てば無料だということを認識してください。ちなみに、自費で打つと1回1万5000円です。

飯田)3回打つとなると。

佐々木)4万5000円でけっこうな負担です。これが高校1年生まで無料だということは知っておいた方がいいと思います。

小学6年生〜高校1年生の女子を対象として無料の定期接種が行われている

飯田)いまは小学6年生〜高校1年生の女子を対象として、定期接種という形で、公費で負担するようになっています。諸外国だと、男の子にも打つということが言われているのですが、現状、日本では助成が出るのは女子のみです。

佐々木)子宮頸がんワクチンはもちろん女性の病気なのだけれど、HPVワクチン自体は男性にもいろいろな病気を防ぐ有効な能力があると言われているので、男性が打ってもいいかなと。私も最近打とうかなと思ったりしているくらいです。

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