「経済安全保障包括法」はやらなければならない 〜高市早苗前総務大臣が総裁選へ出馬表明

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月9日放送)に外交評論家・内閣官房参与の宮家邦彦が出演。高市早苗前総務大臣の自民党総裁選への出馬表明について解説した。

自民党総裁選への出馬表明を行う高市早苗前総務相=2021年9月8日午後、国会内 写真提供:産経新聞社

自民党の高市早苗前総務大臣が総裁選へ出馬表明

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アフガニスタン東部ジャララバードに入った反政府勢力タリバンの戦闘員ら。=2021年8月15日 AFP=時事 写真提供:時事通信

岸田氏は「経済安全保障推進法」を定めると表明

飯田)他方、岸田文雄さんも記者会見を行っておりまして、経済安全保障に関して担当大臣を新設するということ、あるいは「経済安全保障推進法」を定めるということも表明しております。

宮家)当然新しい法律をつくるべきです。でも、いちばん大事なことは、国家安全保障の問題に関わるものについては、相当程度、通常の商業取引や市場の自由な取引に例外をつくるべきだ、ということです。

国家安全保障の問題についてだけは、政府が修正できるという条項を入れるべき〜通常の国の軍隊の法律は「ネガリスト」

宮家)各国とも形は違いますけれども、そうした条項を持っている。しかし日本の法律は、どれも「国家安全保障上の問題はない」という前提でつくられていて、例外的にそういう規定が入っているという状況になります。もともとは法律をつくるときにも、基本的には自由だけれど、国家安全保障の問題についてだけは、「政府として言わせていただきますよ、修正させていただきますよ、変えさせていただきますよ」という条項を入れておかなければいけないわけです。

飯田)国家安全保障の問題についてだけは。

宮家)それが入っていれば、わざわざ経済安全保障推進法や包括法などと言っているけれど、本当は、新しい法律をつくるのではなくて、それ以前の段階で包括的に国家安全保障問題の取り扱い方について、法律の体系を変えなければいけないと思うのです。

飯田)その前の段階で。

宮家)なぜこのようなことを言うかというと、いままでの基本的なやり方は「ポジリスト」というのですが、「これだけはやっていいですよ、これならできますよ」という建付けです。しかし、普通の国の軍隊の法律は「ネガリスト」なのです。つまり、「これはやってはダメだけれど、それ以外はすべてやっていいよ」と。日本でこの種の法律を新しくつくるというのは、結局「ポジリスト」の方式なので、どうしても後手後手になるような気がします。でも、ないよりはもちろんいいのですから、ぜひ新しい法律をつくっていただきたいとは思いますけれど。

有事の場合の「自由のあり方」については柔軟な議論が必要

飯田)経済安全保障面で、企業に対して、あるいは個人に対して規制をかけようとするとき、外為法で一部が使えるとはいえ、あまり武器が多くないということは指摘されています。

宮家)ないのですよ。いままでその種の法律をつくろうとした人たちはたくさんいたはずなのだけれど、すべて議論が途中で終わっていたわけです。しかし、これだけ問題が積み重なって、「いまの法律のやり方だけでは、十分機能的に動けない」ということはわかっているのに、どうしてこの議論が進まないのかと考えると、とても残念な気がします。

飯田)その議論を突き詰めて行くと、財産権。財産の自由であるとか、あるいは移転の自由というものが憲法で保障されているではないかという、憲法問題になって来る。

宮家)もちろんそうです。でも、他の国の憲法を見てください。そのような自由もあるけれど、自由というのは当然、義務を伴うものなのです。そして国の安全全体に問題が生じたときには、その自由がすべて制限されるというわけではありませんが、少なくとも考え方は変えなければいけない。有事の場合の自由のあり方については、もう少し柔軟な議論が必要だと思います。

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