心配な日本の「危機感のなさ」 〜北朝鮮ミサイル発射

ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」(9月14日放送)に地政学・戦略学者の奥山真司が出演。北朝鮮のミサイル発射を受け、米インド太平洋軍が声明を発表したというニュースについて解説した。

北朝鮮の金正恩総書記[朝鮮中央通信が7月30日配信](北朝鮮・平壌)=2021年7月30日 AFP=時事 写真提供:時事通信

北朝鮮のミサイル発射を受けて、アメリカ軍が声明を発表

北朝鮮の労働新聞によりますと、北朝鮮の国防科学院は9月11日と12日、新たに開発した長距離巡航ミサイルの発射試験を行い、ミサイルはおよそ1500キロ先の標的に命中したとしている。これを受けて、アメリカのインド太平洋軍は声明を発表。「今回の発射は北朝鮮が引き続き軍事開発に力を入れ、近隣諸国や国際社会に脅威を与えることを示している」と指摘した。

新行)およそ1500キロ先の標的に命中したということは、日本が射程圏内に入るということですよね。

奥山)上空の成層圏まで上げて、一気に落として来る弾道ミサイルがありますが、弾道ミサイルは、既に日本が射程圏内に入っているので、日本が射程に入ったのは初めてのことではありません。

巡航ミサイルは国連制裁違反にならない

奥山)巡航ミサイルというのは、飛行機のようなスピードで、ノロノロ低空を這って来ます。ミサイル関係に詳しい方々が指摘しているのは、巡航ミサイルに必要なジェットエンジンの部分と、誘導システムをどのようにつくっているのかということです。弾道ミサイルではないので、「国連制裁違反にならない」ということが、まず気になるところです。

新行)国連制裁違反にならない。

日本に警戒している雰囲気がない〜「テポドン1号」のときと大違い

奥山)私が気になるのは、日本側のリアクションがあまりないことです。過去の歴史を振り返ってみると、1998年に北朝鮮が弾道ミサイル「テポドン1号」を日本海に向けて発射しました。事前の通告なしに、日本の上空を通過したのです。

新行)そうでしたね。

奥山)そのときは小渕内閣でしたが、マスコミを含めて世論が敏感に反応し、「ワッ」と盛り上がりました。日本の国会では全会一致で、偵察目的の情報収集衛星を導入することを決定しました。当時、日本は相当警戒していたのです。しかし、今回はそれほど警戒している雰囲気がないので、「困ったものだな」と見ています。

新行)今回は。

奥山)ただ、いいのか悪いのかは別にして、いまは自民党総裁選でいろいろな議論をしています。その最中に北朝鮮がミサイルの発射実験をやったわけです。そのため、日本の敵基地攻撃能力についての議論が盛り上がり、これが総裁選における議論になってしまった。このタイミングで行ったことは、北朝鮮側にとっては失敗だったのではないかと私は見ています。

日本は国防意識を上げ、対処する方向に向かうべき

新行)ミサイル発射の公表が今年(2021年)の3月以来で、このときは短距離弾道ミサイルを日本海に向けて発射しましたが、このタイミングというのは何かあるのですか?

奥山)基本的に、北朝鮮は何も考えていないと思います。彼らを歴史的に見ると、自分たちのスケジュールで「開発したから実験しました」というだけで、それに対するリアクションは考えていないのではないでしょうか。

新行)考えていない。

奥山)逆に日本は騒ぐべきだと思います。ここで国防意識を上げ、しっかり対処するという方向に向かないと、健全な国防体制はつくれないと思います。

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