中国、台湾産の果物2種類を輸入禁止 〜日本は今後中国にどう向き合うべきか

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月21日放送)にジャーナリストの有本香が出演。中国の税関当局が台湾産の果物2種類を輸入禁止したというニュースについて解説した。

果物店のバンレイシ(台湾・台北)=写真提供:時事通信

台湾産の果物2種類を中国が輸入禁止、台湾はWTOへの提訴も検討

中国の税関当局は台湾産の果物「バンレイシ」と「レンブ」について、今年に入り何度も害虫が見つかったとして、9月20日から輸入を禁止した。台湾政府はこれに反発し、世界貿易機関(WTO)に提訴する構えを見せている。台湾産の果物をめぐっては、2021年3月から同様の理由でパイナップルについても中国は輸入を禁止していた。

台湾産パイナップルを輸入して助けた日本

飯田)パイナップルに関しては、日本はかなり支えていましたね。

有本)頑張って買いましたからね。去年(2020年)まで台湾産のパイナップルは、日本国内での流通量が少なかったではないですか。しかし、今後は増えて行くと思います。それはそれでいいのですけれど、この「バンレイシ」と「レンブ」については、皆さんご存知ないと思います。

飯田)そうですね、知らないです。

有本)「バンレイシ」というのは「釈迦頭」と呼ばれるものです。

飯田)お釈迦様の頭ですね。

有本)お釈迦様の頭のような形をしているのですけれど、両方ともあっさりとして食べやすい、癖のないフルーツです。新しいフルーツですから、うまくプロモーションして日本市場に溶け込んで行けば、それはそれで面白いと思います。

台湾に日本の農水産物の輸入制限の解除を求める

有本)私は釈迦頭とレンブが入って来るのであれば、いいと思うのですけれど。ただ、台湾は福島の原発事故以降、事実上、日本の農水産物の輸入を停止しています。

飯田)そうですね。

有本)台湾側に、できるだけ早く解除してもらうことを求めるべきだと思います。台湾と日本は去年くらいから、いろいろな助け合いをしています。コロナ禍になって、台湾からマスクを送ってもらったり、日本がワクチンを送ったり。民間でも、台湾のパイナップルが大変だと言えば、みんなで買おうということで協力し、台湾産のパイナップルが浸透しています。一部、トラブルがあったと聞いていますけれども、かなりいいイメージが日本の市場に浸透したわけです。だからというわけではないのですが、特に水産系のものに関しては完全に風評被害なので、「日本の輸入禁止もやめる方向性でお願いできませんか」ということを言ってもいいのではないかと思います。

万年野党で反対勢力であった民進党の事情〜現実問題としては原発を受け入れなければならない

飯田)住民投票にかけたけれども、否決されてしまったのですよね。

有本)台湾は意外と、原発に関する国民の忌避感情が強いのです。それと、現政権の民進党は台湾人の政党です。ある種、台湾人のナショナリズムを強く持っている政党なのですが、左派政党なのです。

飯田)そもそも、そうなのですよね。

有本)私はコロナが来る前年までは毎年台湾に行って、「原発に関する忌避感を今後どうするのだ」ということを、民進党の蔡さんの側近である人たちと意見交換したときに聞いたのです。すると、実は台湾も島国で資源がないから、「現実問題としては、原発を受け入れて行かなければならないのだ」と言っていました。ただ、伝統的に民進党はもともと、万年野党だったわけです。

飯田)そうですね。

有本)反体制の党だった。国民党の人たちが原発だけではなく、インフラ関係の利権を全部がっちり抑えていたのです。ですから、そういうものに対する「アンチ」という立場が伝統的に強いのです。その当時から反原発で、原発に対して「安全に運営できるのか」と反対運動をするということがアイデンティティなのです。だから、そこをひっくり返すというのは、かなり大変だということをこぼしていました。

台湾の蔡英文総統(台湾・台北)=2020年8月12日 EPA=時事 写真提供:時事通信

本音では日本と一緒に新たなエネルギー開発をしたい

有本)そういうお国柄の事情のようなものがあるのですけれど、いまの若い世代は、エネルギーに関しては現実的なものの考え方をしている。日本と台湾は状況が似ているわけだから、今後はエネルギーに関しても、新しいものを一緒に開発して行きたいと言っていました。

飯田)地震があるなかで、「どう安全に」という考えは同じですよね。

有本)弱点が似ているのですよ。

飯田)だから新幹線システムも日本のものを入れたという話がありました。

有本)あのときも、初めはフランスのものを入れようとしていました。それで、途中から入れたために面倒なことになってしまったようですが、インフラやエネルギーに関して、もちろん安全保障という点でも、協力できるところはあるわけです。そういう意味でも、福島の問題も含めて、まずは台湾に制限を解いてもらうという話のきっかけにするのが、いちばんいいのではないかと個人的には思います。

高市氏が台湾・蔡英文氏とオンラインで会談

飯田)福島第1原発の処理水に関して、高市早苗さんはまず海外にアプローチをして、風評被害、あるいは不当な輸入制限を解除するための努力が先だとおっしゃられていましたね。

有本)確かにそこは正論なのです。正論なのですけれども、一方で自民党の関係者、旧安倍政権の事情を知る人に話を聞くと、あれは決断してあのようにアナウンスしたというところまでが重要だったので、それを後ろに戻すというのは、いろいろな意味でよくないと。もちろん福島の漁業者の方たちの気持ちもあるのだけれど、それも含めて、福島選出の議員の人たちも汗をかいてくれている。正論ではあるけれども、時間を巻き戻すことはやめた方がいいという意見なのです。

飯田)昨日(9月20日)、オンラインで蔡英文さんと高市さんが話されています。台湾における農産品の輸入制限を一部でもいいから解除して欲しいと、その辺りの目算のようなものがあるのかなと思ったのですが。

有本)どうなのですかね。どういう話をされたかは公開されていないので、わかりませんけれど。

飯田)おいおい公開するという話があります。

有本)台湾には台湾の事情もあるし、タイミング的に微妙ですよね。これが告示前だったらいいのですけれど、告示後にやっているということが。中国というのは、日本にとって大変な脅威ですが、ここを刺激するのが果たして上手なやり方だったと言えるかどうかは、疑問のあるところです。そういう点でも、内容が公開されてみないとわかりませんけれども、そこまで突っ込んだことを果たして言えたかどうか。向こうは台湾のトップですが、こちらはトップになっていないわけですから。「お願いします」ということは言えるかも知れませんね。

飯田)なるほど。

有本)トップ同士の会談ではないから、そこで話したからどうこうということにはなりませんけれど、台湾に対して、そういう取り組みをして行く必要はあると思います。

中国に対する今後の日本のビジネスのあり方

有本)台湾へのパイナップル、旅行客、そして今回の釈迦頭とレンブもそうですが、中国はこういうことをやるのです。

飯田)完全に安全保障と絡んでいますね。

有本)そうなのです。中国と取引をするということは、こういうことなのです。2000年代に入ってからも日本企業が焼き討ちされるなど、いろいろなことがありました。その度に日本側は譲歩したり、相手の顔色を見たりして来たわけです。

飯田)そうですね。

有本)これからもずっと、それで行くのかという話です。向こうは10年前とは比べものにならないくらいに大きな軍事力を備えていて、日本に対して圧力をかけて来ているわけです。そういうなかで、今後も日本企業がこれまでと同じ延長線上で、「単なるビジネスですね」、「政治とは違います」と、そんな悠長なことを言っていられない状況なのです。

飯田)中国には全部つながって来るわけですね。

有本)端からつながっているわけです。この10年の間に、軍事力だけではなく国内法を整備して、産業から何から全部を都合がいいように、いろいろなもの……例えば技術や日本の権利を、合法的に自分たちのものにできるような体制を整えて来たではないですか。

飯田)自分たちのものにできるように。

有本)そういうことを考えると、やはり日本の産業が「ただの商売なのですよ」という話では通用しなくなっているということです。その辺りも、もっと突っ込んだ話を総裁選の議論のなかでして欲しいと思いますね。

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