岸田内閣は「人質内閣」 〜支えざるを得ない2大派閥

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月5日放送)に経済アナリストのジョセフ・クラフトが出演。岸田総理が記者会見で10月14日に衆議院を解散し、総選挙の日程を10月19日公示、31日投開票とする意向を発表したニュースについて解説した。

2021年10月4日、記念撮影〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/100_kishida/actions/202110/04kishidanaikaku.html)

岸田新総理大臣が解散総選挙の日程を発表

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2021年10月4日、初出邸する岸田総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/100_kishida/actions/202110/04kishidanaikaku.html)

松野氏を官房長官にした人事は森氏ら重鎮の意向

クラフト)もう1つ、安倍さんと岸田さんの間で確執があるのではないかという話ですけれども。松野さんの任命において言うと、むしろ細田派内の争いなのです。森さんなど、細田派の旧重鎮らが松野さんを推して、安倍さんたちが萩生田さんを推した。その結果、松野さんになったので、確かに安倍さんは怒っていらっしゃるのかも知れませんが、必ずしも岸田さんに対して不満を抱いているということではないと思います。

飯田)およそ100人の所帯だと、いろいろあるわけですね。

クラフト)派閥内でいろいろありますから。

分配や格差是正は世界的なテーマ

飯田)毎日新聞が1面トップで、

『岸田内閣発足 分配重視、経済再生強調 衆院選31日投開票』

〜『毎日新聞』2021年10月5日配信記事 より

……と書いていますが、分配の面についてはいかがですか?

クラフト)基本的に分配や格差是正は世界的なテーマで、欧州もそうですし、アメリカもそうです。日本もポストコロナの影響を受けているところなので、そういう流れは不自然ではありません。

飯田)世界的なトレンドである。

クラフト)野党と自民党では、これからの成長政策に関して違いがあります。野党はどうしても分配や社会保障的な経済政策になりがちですけれども、甘利さんが来たことで、自民党は「どこまで成長を見せて行けるか」という方向に向かうのではないでしょうか。

「待ったなし」の経済安全保障 〜日本は本腰を入れて取り組むべき

飯田)成長に関して、経済政策、「財政出動もやるぞ」というところや、経済安全保障についても「推進法を制定する」ということを岸田さんは言っています。

クラフト)経済安全保障は待ったなしの問題だと思います。中国というリスクがあるなかで、アメリカも含め、貿易慣行や経済安全保障のルールを厳しくしています。日本の企業がそういうことに晒されかねないですから。日本政府も本腰を入れて取り組まなくてはならない。そこは課題だと思います。

飯田)甘利さんは経済安全保障をやって来た人でもあります。

クラフト)政府が経済安全保障に本気で取り組むことによって、企業内でも経済安全保障に取り組む。経済安全保障課、あるいは部を創設している企業は何社あるでしょうか。ほとんどないのではないかと思います。今後は企業の経営者も、そういった地政学リスク、あるいは経済安全保障の課題をさらに理解して、事業に取り組んで行くことが求められると思います。

今後は「企業内デカップリング」が必要 〜中国ビジネス用と世界用で、工場やデータサーバーを分ける

飯田)ある意味、そういうリスク計算やコストだけであれば中国だけれど、「何かあったら」というようなテールリスクを見ることも考えなくてはいけない。

クラフト)私はよく「企業内デカップリング」ということを言います。昔は国がデカップリングした。しかし、今後は企業でも、中国ビジネスは中国ビジネスとしてのデータベース、サーバーを分けるなど、いつ中国政府が規制されても、他の世界のビジネスに影響しないように対策しなくてはなりません。Appleがそうしています。工場でも、中国用と世界用。データサーバーも中国用、世界用と分けています。それによって今後、中国で何かが起きて変わっても、対応できる。コストは2倍かかりますけれども、コストをかけるだけの危険性、リスクを認識できるかどうか。そういうところが問われて来るのではないかと思います。

飯田)企業によってもそうですよね。日本企業でも世界向けのものはベトナムでつくり、中国市場向けは中国でつくるような企業がありますが、そういう企業は株価が落ちていないという話もあるようですね。

クラフト)あると思います。ある日突然、中国政府が「データを全部出せ」と言ったとする。出してしまうと、今度はアメリカが「冗談ではない」と言って来て、板挟みになってしまう。そういうことにならないようにビジネスをデカップリングして、中国政府にも対応でき、アメリカ政府にも制裁を加えられないようなビジネスモデルが今後、問われるのではないかと思いますね。

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