新型コロナ飲み薬の薬事承認を早め、海外へ提供できる体制を整えるべき

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月11日放送)に国際政治学者で慶應義塾大学教授の神保謙が出演。国内で治験が行われている新型コロナウイルスの重症化を防ぐ飲み薬について解説した。

塩野義製薬の新型コロナウイルス感染症の経口薬(代表撮影) 写真提供:共同通信社

岸田総理が新型コロナの重症化を防ぐ飲み薬の治験を視察

岸田総理大臣は10月10日、新型コロナウイルスの重症化を防ぐ飲み薬の臨床試験(治験)が行われている横浜市内の宿泊療養施設を視察した。岸田総理は記者団に対し、「これからのコロナ対策の大きな決め手になる」と、治療薬の早期実用化に期待を示した。

第6波の感染者の山を低くし、経済活動の停滞を最小限に抑えられるか 〜治療薬は重要なポイント

飯田)コロナ対策に万全を期すということは、所信表明にも盛り込まれていましたが、週末は関連施設を視察したということです。

神保)コロナの新規感染者数が全国的に減って、それ自体はいいニュースなのですが、この時期を来たる第6波への準備期間として有効的に使わなければなりません。緊急時にどのように病床を確保するのか、そしてワクチンですね。早ければ12月から3回目の追加接種を医療従事者に始めるということで、ここもスケジュールを組まなければいけません。あとは治療薬の確保です。これらを揃えて、第6波が仮に起きたとしても感染者の山を低くし、次回は経済活動の停滞を最小限に抑えられるかどうか。塩野義製薬の薬は重要なポイントだと思います。

塩野義製薬の経口薬 〜自宅療養者でも使える

飯田)2回目のワクチン接種を終えた人が6割を超えているなかで、感染者数だけでなく、いろいろなものを考えながら、今後は対策をして行かなければならない。分科会の方向なども変わって行かなければならないということですか?

神保)リスク管理のなかで、「どれだけ活動を制限するのか」という評価のような部分が分科会の重要な仕事ですが、「強靭な社会をどのようにつくるのか」という体制づくりが大事ですよね。特に今回の塩野義製薬の治療薬ですが、今年(2021年)中に薬事承認を何とか取って、来年はじめに供給開始になれば、いろいろなものが見えて来る。軽症の段階で飲めばウイルスの増殖を抑えられるということですが、いまある抗体カクテル療法と合わせて、重症化防止に期待が持てます。ポイントは自宅療養者でも経口薬があれば使えるということで、安心感が変わって来るのではないかと思います。

飯田)共存ではありませんが、インフルエンザ並みの対応で、罹ったら治療すればいいし、重症化予防も含めてワクチンは打っておきましょう、という形になれば大分変わりますよね。

2021年10月10日、視察する岸田総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/100_kishida/actions/202110/10shisatsu.html)

薬事承認を早くして海外にも提供できるような体制を整えることが戦略的にも重要

神保)もう1つは、世界中で治療薬の開発が進んでいます。ファイザーなど、いくつかの会社が今年中に出して来るかも知れない。日本はワクチン開発で遅れてしまったので、治療薬はできるだけ早く治験を終えて薬事承認し、日本国内だけではなく、海外にも提供できるような体制を整えることが戦略的には重要だと思います。

今後、日本の水際対策をどのようにするか

飯田)神保さんはコロナ前ですと、世界各地を飛び回っていらっしゃいました。いまは国境が閉ざされているところも多いので、それもままなりませんが、シンガポールでは、アメリカやイギリスなど9ヵ国を対象に隔離なく入国が可能になる。ただ、記事を読むと、「相手国も開いているから私の国も開きます」という形になっている。「では日本は」というところですね。

神保)水際対策とワクチンパスポート、そして日本国内に入ったあとの行動基準をどのようにつくるのかということです。「ワクチンを打っている人に対して、活動の幅を広げる」というコンセンサスを「入国した外国人の方にも、どのように提供するのか」という、この辺りが議論のポイントだと思います。

いまの厳しい水際対策が続くと、日本だけ取り残される可能性も

飯田)いまは海外出張もなかなかできない。「帰って来てから14日間隔離は厳しい」という話はいろいろな人から聞きますが、このままだと、日本だけ取り残されるということにもなりかねないですか?

神保)そうですね。留学生がもう少し来やすい形にしないと、キャンパスのなかですべての授業ができないという状況が続いてしまいます。あとはビジネスミーティングです。投資の相談など、「現地に行かなければわからない」ということはたくさんあります。ここで日本だけ動けないということになると、企業の海外戦略も含めて、難しい状況になるのではないでしょうか。

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