岸田首相の所信表明で抑えるべき、外交・安全保障分野での「3つのポイント」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月11日放送)に国際政治学者で慶應義塾大学教授の神保謙が出演。岸田政権の外交・安全保障について解説した。

2021年10月8日、衆議院本会議で所信表明演説を行う岸田総理〜出典:首相官邸HP(https://www.kantei.go.jp/jp/100_kishida/actions/202110/08shu_san_honkaigi.html)

岸田総理の所信表明

10月8日、岸田総理大臣は初めての所信表明演説を臨時国会で行った。

飯田)岸田総理大臣の所信表明演説について、どのようにお感じになりましたか?

外交・安全保障分野での3つのポイント

神保)「新しい資本主義」、「成長と分配の好循環」ということが何回も強調されていましたが、外交・安全保障分野でも抑えるべきポイントが3つくらいあるような気がします。

「国家安全保障戦略」と「防衛大綱や中期防」の見直し

神保)1つ目は、国家の基本政策である「国家安全保障戦略」と、「防衛大綱や中期防衛力整備計画(中期防)」などを見直すということが言われました。中期防には5年間の自衛隊の装備計画が書いてあるのですが、本当は2023年度予算までカバーしていたので、1年前倒しの改定ということになります。正直これは待ったなしのことだと私は思っていて、前任の菅総理はあまりそこにやる気を見せなかったので、よかったかなと思います。

核軍縮への思いと難しさ

神保)2つ目はやや気になっているのですが、岸田総理が個人的に思い入れのある核軍縮です。「核のない世界に向けて全力を尽くす」と言っています。総理自身、2020年10月に『核兵器のない世界へ 勇気ある平和国家の志』という本を出しています。これを読んだのですが、岸田総理の核軍縮への思いは本物だということがよくわかります。しかし、同時に「核軍縮がいかに難しいか」ということも岸田さんは理解しているのです。言い方は悪いのですが、歯切れの悪い文章になってしまっています。

飯田)歯切れの悪い。

神保)これをどのように政策にして行くのか、ということが気になります。日本は核兵器保有国に囲まれているので、アメリカの核抑止、日本に対する核の傘をどのように万全にして行くかという課題が一方ではあります。それと核軍縮のテーマをどう両立させるのかということが、大きなポイントだと思います。

中国に対しては「様子見」

神保)3つ目は中国で、これはまだ大方針が示されていないということだと思います。所信表明演説を見ると、中国とは安定的な関係が必要である。しかし、主張するべきことは主張する。ただ、共通の諸課題については協力すると書いてあります。一言で言えば、「様子見」ですよね。他方で防衛力の強化を進めて、経済安全保障をきちんとやるとも言っています。まだはっきりとはしていないけれど、人権問題担当の補佐官を設置するということも言っていて、手段として何をするかということは先行している。しかし、大戦略は何なのか、国家安全保障戦略の見直しのなかで、どの程度深まるのかというところがポイントだと思いました。

飯田)国家安全保障戦略のなかで、中国に対してどのような書きぶりがあるのかというところになりますか?

神保)それが外交最大の問題だと思うので、じっくりと議論すべき内容だと思います。

飯田)当然そこを念頭に置きながら、抑止力も構築して行くべきですが、他方、名指しすることがいいか悪いかということは、また別の問題になって来ますか?

神保)中国もアメリカを見て、国際秩序の姿を見て、日本との付き合い方を決めて来るのであれば、日本としても、中国とどのように付き合って行くかを考えなければいけない。同時に、どうすれば日本としての戦略的な幅が広がるのか、柔軟に検討しなければいけないと思います。

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