防衛省が検討する宇宙巡回船の建造

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月11日放送)に国際政治学者で慶應義塾大学教授の神保謙が出演。防衛省が建造を検討している宇宙巡回船について解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

宇宙巡回船

防衛省が宇宙空間の警戒・監視や人工衛星の修理・補給を担う「宇宙巡回船」の建造を検討していることがわかった。実現時期は未定だが、防衛省では、宇宙空間を自由に航行する無人船を想定しているとのことである。

デブリの回収も含めた周回軌道の安定性を守りつつ、ロシアや中国の対衛星兵器を監視し、情報ネットワークと宇宙の環境を守る

飯田)時事通信が関係者の話として報じています。来年(2022年)度予算の概算要求に調査・研究の名目で1億円が計上されているということです。これはどのようなものになるのでしょうか?

神保)私は詳しくはわかりませんが、航空自衛隊が2020年に「宇宙作戦隊」をつくり、いまは確か数十名で運用していて、将来は120人くらいに増やすということです。基本的には、航空自衛隊が宇宙の状況監視を担い、場合によってはデブリの回収も含めた周回軌道の安定性などを守りつつ、ロシアや中国の「キラー衛星」と呼ばれる対衛星兵器を監視することによって、「情報ネットワークと宇宙の環境を守る」というような構想だと思います。もともとは2026年くらいにSSA衛星を打ち上げて、それを運用するという話を聞いていたのですが。

場合によっては、有害な活動をしている国の衛星に対する働きかけのようなところに広げて行く

飯田)監視衛星のようなものですか?

神保)そうですね。それと今回の巡回船についてはモノが違うのかなという気がしていて、よくわかりません。何をやるかにもよるけれど、当然、監視能力を周回軌道で付けるのですが、場合によってはアームを付けて軌道のなかで動き、いろいろなものを掴んだりするということになれば、日本の宇宙活動の範囲は戦略的に広がるような気がします。

飯田)それをデブリの回収や宇宙を安全にする目的ですよ、としておく。

神保)その技術が日本自身のキラー衛星とまでは言いませんが、宇宙においての活動を位置付ける。場合によっては、有害な活動をしている国の衛星に対して、何らかの働きかけをするようなところに広げて行くのかなという気もします。

宇宙空間のなかで運用できる機材で活動しなければならない

飯田)その辺の研究に関して、やはり中国やロシアが進んでいるのですか?

神保)中国やロシアは宇宙分野において、すごい勢いで研究開発をしていますし、実際に運用を進めています。宇宙と地上空間との連結性は、各国とも安全保障状況のなかで進んでいます。中国は逆に、その連結性をどのように遮断するのかという研究を進めている。かつてであれば、ミサイルなどを打ち上げて対衛星兵器というようなことをしていますが、いまは宇宙空間のなかで、それをどのように妨害するかという技術が進んでいて、まさに宇宙空間のなかで展開されるさまざまな安全保障上の措置を備えなければいけないわけです。日本もそれをただ見ているわけにはいかないので、宇宙空間のなかで運用できる機材を持って活動するということが大事だと思います。

航空自衛隊と米宇宙軍の連携

飯田)アメリカも宇宙軍という軍種をつくってやっています。その辺と将来は連携して行くということですか?

神保)既に航空自衛隊と米宇宙軍は連携していて、宇宙状況監視においてのプラクティスやデータなどの共有を始めているのだと思います。日本もセンサーやレーダーを付けた機材を浮かべて、独自に提供できる情報を持てば、より相手からもらえる情報も有機的につながります。

飯田)日本の技術も当然活かしながら、ということになるわけですね。

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