タリバン暫定政権と合意せざるを得ないアメリカ政府の実情

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月12日放送)にジャーナリストの有本香が出演。タリバン暫定政権とアメリカの合意について解説した。

アフガニスタン・カブール市内でタリバン戦闘員を乗せて走る車=2021年8月19日(共同) 写真提供:共同通信社

タリバン暫定政権がアメリカと合意

アフガニスタンを統治するイスラム主義勢力タリバンの暫定政権とアメリカ政府の代表団による会談が、カタールで2日間にわたって行われた。タリバンの外務省報道官は、アメリカがアフガニスタンへの人道支援に合意したと明らかにした。

飯田)アメリカ側は合意の条件として、「今回の支援をタリバンの政権承認には結び付けない」ということを前提にしたそうですが。

有本)タリバン政権を「正式には承認しないよ」というところで一線を引こうと。人権問題に関しても、「口約束だけではなく、行動を見るのだ」と言っています。しかし、人道のない国に人道支援というのも変な話ですけれどね。こちらだけが人道を重視しても、国内で人道・人権がまったく重視されていないわけでしょう。これにはやはり疑問が残ります。タリバン暫定政権は日本に対しても、大使館を閉鎖するなと秋波を送っているわけではないですか。

西側諸国が退いてしまえば、中国が押さえることになる

有本)アメリカがここで合意したとなると、日本もある程度同じ方向へ、という流れになりますが、あまり納得感がありません。アフガニスタン国内ではタリバン政権だけではなく、イスラム過激主義の勢力が他にも跋扈しているわけです。

飯田)「IS-K」など。

有本)タリバンだけではなく、そういうところに対してまでも、中国の影響力が強まる可能性がある。それはどうしても抑えなくてはいけない。アメリカをはじめ、日本も含めて西側諸国が退いてしまったら、完全に中国が押さえてしまうことになります。それだけは阻止するための影響力を、どう残すかということです。それと、人道支援がアフガニスタンのなかで、人権状況を改善させるというインセンティブになるのか。他国の事例を見ても、なるわけがないだろうと思いますけれど。

アメリカは国民の同意が得られない可能性も

飯田)上がそうやって合意したとしても、末端の、実働部隊の方が果たしてやれるかということは、疑問だと言われています。

有本)できないのではないかということも言っていますよね。

飯田)女性の人権も既に踏みにじられているような現場が、いろいろ報じられています。

有本)報じられているし、タリバン暫定政権に対しては報道機関も厳しいですからね。そうすると世論が牽制できないから、アメリカはそこで国民の合意が得られるのかという話になります。

中国、ロシアを刺激しないための「タッチをしておく」

飯田)いまはまだ、かつての統治時代のネットワークのなかで情報が出て来ますけれども、この先はそれすら出て来ないということになるかも知れない。

有本)可能性がありますよね。致し方ないというところもありますが、中国、あるいは状況によってはロシア含めた国々の影響を強くし過ぎないための策として、タッチをしておく、ということなのでしょうね。

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