アメリカで選挙前にこれほどガソリン価格が上がれば「政権は吹き飛ぶ」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月19日放送)に朝日新聞編集委員で元北京・ワシントン特派員の峯村健司が出演。原油価格の高騰を受け、政府が主要産油国に原油の増産を働きかけることについて解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

政府が主要産油国に増産を要請

政府は10月18日、原油価格の高騰を受けて関係閣僚会議を開き、主要産油国に原油の増産を働きかけることを確認した。また萩生田経済産業大臣は、会議終了後に11月上旬の石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の産油国による会合「OPECプラス」までに原油の増産を「しっかり働きかける」と強調した。

飯田)新型コロナ収束の影響により、主要国の経済が回復しているということを背景に、原油価格が上がっていると。ガソリンの値段もリッターあたり160円を超えて来ています。

日本政府が要請しても時間がかかる

峯村)これは深刻な問題です。もともとOPECなどの産油国側としては、コロナがあったから減産していたのが、意外と消費の回復スピードが速く、そのギャップが生まれました。日本政府が要請したからといって、「わかりました。では掘ります」というものではありません。相当時間がかかります。このタイムラグがあるまま、今年(2021年)の冬は寒いと言われているなかで、石油不足が深刻になる恐れがあります。

飯田)さまざまなところからの引き合いと思惑も含めて、1バレルあたり80ドルを超えていると。産油国としては、「これでうちの財政も潤うぞ」というようなことも思うわけですか?

峯村)そうですね。一時期、再生可能エネルギーへのシフトなどによって油価が下がったときもあったので、そこから見ると、「もう1回稼ぐぞ」という思惑はあるでしょうね。ただ、中国でも停電が起きていて、経済にも直に影響が出ていますし、特に日本は輸入にほぼ頼っているわけです。日本経済がせっかくコロナから回復しようとしているときに、ダメージを受けないか心配ですね。

アメリカで選挙前にこれほどガソリン価格が上がれば政権が飛んでしまう

飯田)政権としてはそれもあり、関係閣僚会議も開いたと。国民民主党の玉木さんが指摘しているところでもありますけれども、ガソリンの値段だけを考えたら、トリガー条項というものがある。すでに法律の枠組みとしてはあるのだから、それを使って付加している税金を一部停止し、油価、ガソリンの価格を下げるべきだという話がありますが、いかがですか?

峯村)物流にも影響して来ますし、重要なポイントだと思います。これがアメリカであれば、選挙前にこれほどガソリンの価格が上がるだけで、政権が吹っ飛びかねません。アメリカは車社会なので、政府は選挙前、ガソリンの価格をピリピリしながら見ています。

飯田)もしアメリカでこういうことが起こっていたら、政府備蓄の放出もあり得る。

峯村)そうでしょうね。意地でも価格を上げないように動きます。

アメリカが再びシェールガスに動く可能性 〜左派の強いバイデン政権では微妙なハンドル捌きが必要

飯田)アメリカの話で言いますと、これほど油価が上がれば、シェールガスやオイルなども佳境になって来ますか?

峯村)あり得ますね。シェールガスは一時期盛り上がったのですが、コストが高く、油価が下がったことで、かなりシュリンクしていました。しかし、これで価格が80ドルなどと高くなれば、「またシェールガスをやろう」というインセンティブが働く可能性があります。

飯田)共和党政権時代は積極的にやるような動きがありましたけれども、環境への負荷を考えると、民主党政権ではどうなのですか?

峯村)難しいですよね。いまのバイデン政権では、環境、特に気候変動が大きな政策の1つなので、微妙なハンドル捌きをしなければならなくなります。

飯田)当然ながら、党内左派の人たちが「ワッ」と騒ぎ出す。

峯村)バイデン政権で左派の声は強いですからね。ケリー大統領特使(気候変動問題担当)も発言力があるということで、これから中間選挙に向けて、難しい局面になって来ると思います。

飯田)しばらくは神経質なやり取りが続くのですか?

峯村)先行きが予測しづらいところはあります。

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