衆院選で憲法改正の焦点となる「2つのポイント」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月25日放送)に中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也が出演。衆院選での憲法改正の焦点について解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

衆院選、憲法改正の焦点

衆議院選挙は10月31日の投開票まで残り約1週間。各候補者の選挙戦は続いているが、ここでは憲法改正をテーマに、法学者であるコメンテーターの野村修也氏に伺う。

飯田)各党さまざまな公約を掲げていますが、毎回論点、または争点と言われながらも変わらなかったのが、憲法についてです。

本来、時代の変化とともに憲法を議論することは基本中の基本

野村)そうですね。日本では、「憲法は絶対に変えてはいけないものだ」と思っている人が多いと思います。しかし、どこの国も時代の変化とともに自分たちの国の基本を見直す、「憲法を議論する」ということが基本中の基本であると思います。

飯田)自国の基本を見直す。

野村)今回選挙があり、実際に憲法改正が争点にならないのは、リアルに憲法改正が発議できるほどの勢力図になるかというときに、3分の2を与党側が完全に支配するような状況がなかなか見えにくい。「どうせ憲法改正はしないのでしょう」という感じになっているのです。

改憲に「YESかNOか」ではなく与野党一致して憲法の議論をするべき

野村)しかし憲法とは本来、そのような政争の問題ではないのです。与野党が一致して、みんなで「この国の基本をどうするのか」ということを議論するのが憲法論議なので、むしろ勢力が拮抗していた方が議論しやすい問題なのです。みんなの意見で決めるのですから。このようなときこそ、またはこれからこそ、きちんと憲法の議論をしなければいけないのだと思います。

飯田)それは、「改憲YES」か、「改憲NO」かという二元対立ではなく、各々がいろいろな意見を持ち寄って、「ここならみんなが折り合えるのではないか」という案をつくる。そのような議論のなかで、「やはり変えなくてもいいよね」ということになったのであれば、変えなくていいということですね。

ポイントは緊急事態条項と自衛隊の問題

野村)そうです。自分の国の話なので、いろいろと議論はするべきです。ところが、改憲と言うと「憲法を変えるか、変えないか」という議論になってしまい、何の議論をしているのかよくわからないことになっています。日本人は、「憲法は神聖不可侵なものだ」と思ってしまっているところがあるのですが、そのなかで、特に注目するポイントとなるのが緊急事態条項です。これを書き込むべきかどうかの議論があります。もちろん、自衛隊の問題もあります。この2つはきちんと議論しなければいけないと思います。

コロナ禍で注目された緊急事態条項 〜万が一のときのことを議論して来なかった日本

飯田)自民党は自分たちの改憲草案もつくって前向きです。与党でも公明党は緊急時の私権制限、緊急事態条項に関しては個別法で対応するのだということで、少し違いはある。立憲民主党は、安保法制は違憲であるということや、かつての安倍政権下での改憲は反対ということも言っていました。共産党は基本護憲、自民党の改憲は断念させると。維新の会は別の切り口で、教育無償化や統治機構改革、あるいは憲法裁判所の設置。国民民主党は自衛隊の任務のなかに、情報収集、警戒監視活動を明記する法改正。れいわ新選組は、改憲の前にできることがあるだろうと。社民党は安保法制の廃止を目指す。各党、このような方向になっていますが、緊急事態条項の話はコロナ禍で注目されたところです。

野村)今回のコロナ禍でいろいろなことが見えたではないですか。自由と民主主義の国でも、ロックダウンのようなことが普通に行われている。それが日本ではできないということに対して、「なぜなの?」という人たちが多かったと思います。

憲法に書くことによって立憲主義を維持するかどうか

野村)もちろん、法律にきちんとした明記がないということは当然なのですが、国の形として、「万が一の場合を十分に議論して来なかった国だから」ということも、正直に言えばそうなのです。これまでも戦争を経験したり、いつ戦争に巻き込まれるかわからないと思っているような国であれば、やはり戒厳令のようなものが必要だと国民は思っていますし、その経験もあり、それに対してのルールづくりにも取り組んで来たわけです。

飯田)戦争を経験した国は。

野村)ところが日本という国は、「人に守られる」ということをある意味よしとして来た国であって、何かあっても自分ごととして自国をどうするのかということを、しっかりと議論して来なかった。ですので危機管理がすごく下手ですよね。「危機をみんなで乗り越えて行く」ということに対して、議論を避けてはいけないのです。当然、いろいろな議論があって、法改正をすればできます。できるのですが、問題点となるのは、「憲法に書くことによって立憲主義を維持するかどうか」ということです。ここの部分を議論することが本当は必要だと思います。

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