日本はCO2削減を「ビジネスチャンス」として捉えるべき 〜岸田総理大臣がCOP26出席へ

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月1日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。岸田総理がイギリス・グラスゴーで開催されているCOP26に出席するというニュースについて解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

イギリスでCOP26が開幕 岸田総理大臣も出席へ

気候変動に関する国際会議「COP26」が10月31日、イギリスのグラスゴーで開幕した。岸田総理大臣は11月1日〜2日に行われる首脳級会合のうち、2日の会合に出席予定だ。

飯田)首脳級会合は11月1日〜2日の日程で行われますが、岸田さんはきょう(11月1日)にも出発することになるわけですかね。

CO2排出量削減について、財界との関係が深い岸田総理がどう出るか

須田)COP26に関して、菅政権が打ち出した2030年までの大幅なCO2排出量削減という目標があります。これはバイデン政権誕生に配慮した目標設定だったのですが、日本国内では財界中心に反発が強いのです。

飯田)財界中心に。

須田)前政権の菅さんは削減に対して前向きだったのですけれど、岸田さんは財界との関係が深いということもあり、ハンドリングがどうなるかという部分、どういうスタンスを打ち出すのかが1つの注目ポイントです。

CO2削減をビジネスチャンスとして捉えるべき

須田)日本の経済界も発想を変えた方がいいと思うのです。CO2排出量の削減と言うと、ネガティブに捉えてしまう。コスト増として経済的な負担が大きくなり、経営が成り立つのか、あるいは生産した製品やサービスをきちんと売って行けるのかというところに対して、ネガティブに捉えているのです。

飯田)そうですね。

須田)ヨーロッパ・アメリカの発想は違います。これをビジネスチャンスと捉えている。CO2排出量を削減することによって、逆に利益を上げようではないか、新しいビジネスを開拓しようではないかと、大きく方向転換している。しかし、いまの日本国内の状況では、そこに乗り遅れてしまいかねないのです。

飯田)乗り遅れてしまう。

須田)いま、そのスピード感を欠いてしまうと、競争力を失うことになってしまいます。岸田さんに期待したいことは、目標を下げるとか、お目こぼしを狙うということではなく、日本国内の産業構造をCO2削減の方向に持って行く、それをビジネスチャンスに変えるというところに持って行くべきではないかと思います。

かつて排ガス規制のなかでホンダがCVCCエンジンを開発して世界中で売った

飯田)かつて排ガス規制がアメリカのなかで厳しくなり、自動車会社がみんなお手上げ状態になったところで、ホンダがCVCCエンジンをつくり、アメリカ国内はおろか世界中で車を売ったということがありました。あれもイノベーションから大きな壁を乗り越えて、莫大な利益を手にした事例でした。

須田)「省エネ」と言えば、かつては日本のお家芸だったはずです。

飯田)そうですよね。オイルショックを乗り切った。

須田)これから電力消費量が上がって行くなかで、「いかに電力消費量を抑えられるような省エネができるのか」というところは、セールスポイントやビジネスチャンスになって行くのではないかと思います。

飯田)社会全体がデジタル化、DX化すると、消費する電力量が増えるかも知れないと言われています。そういう技術は各国にとって重要になって来ますよね。

須田)「増えた分だけ発電します」では目標が達成できない。各国ともに、それを削減しつつ、再生可能エネルギーに置き換えて行くとか、原発に依存するなどという方向に打ち出しているわけですから、その辺りに日本のセールスポイントがあるのではないかと思います。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

EVをIoTの一環として考える

飯田)原発も技術革新によって小型モジュール炉などが出て来ています。いろいろな可能性の芽のようなものに、日本も?んでいる部分があります。

須田)約600万人の雇用がいま自動車産業にあり、それがEVになると雇用が失われる、あるいは下請けの部品メーカー等々が苦しむという問題があります。EV化のなかで国内のサプライチェーンをどうするのか、あるいは雇用の確保をどうするのか。単純に自動車という工業製品の分野だけで留まってしまうと、雇用も失われますし、食べて行ける下請け部品メーカーは少なくなる。しかし、これをIoTの一環として考えてみる。トヨタはモビリティ戦略という、いいところを打ち出しているのだから、それを広げて行くべきだと思います。

自動運転などに関して、法制度をどう変えて行けばいいのか

飯田)トヨタは御殿場市に、町全体でEVやIoTも含めて自動化する先進技術の実証都市をつくっていますよね。

須田)自動運転車とEV、そしてスマートシティは親和性が高いのです。御殿場の方だけでなく、三重県下でもそういう動きは起こっていますし、国としてそれを後押しして行くところに活路があるのではないかと思います。

飯田)スマートシティや自動運転に関して、いまは種々で規制されている部分がある。その辺りを変えることが国として、あるいは行政としてもあるのですよね。

須田)いきなり変えるのではなく、特区という枠組みでテストケースをつくり、法制度をどう変えて行けばいいのか、新しい法律は何が必要なのかを早急に見極めるべきだと思います。

「新しい資本主義実現会議」

飯田)総選挙も終わり、これから新政権が本格的に動き出すことになりますが、全体の司令塔としては、「新しい資本主義実現会議」が引っ張るという感じですか?

須田)「新しい資本主義実現会議」のレポートを読んでみても、ほとんど官僚の作文です。それに引きずられてしまうと、やはり「いつか来た道」になってしまうのではないかと。決して成功する確率は高くないと思います。

飯田)予算の付け方やそれに当たらないものも含めて、積極的にお金を入れないといけない分野でもありますよね。

須田)お金を付けなければならないのだけれども、官僚のもとでやるとだいたい失敗するのです。なぜ日本の半導体産業がここまでダメになったのか。それは経産省がやったからです。同じ轍を踏まないことが大事です。

飯田)半導体産業のような。

須田)民間主導もある、または霞が関を押さえつけるための政治指導が問われているのではないでしょうか。でも民間企業にしても、企業経営者がサラリーマン化していますから、リスクを取ってやることができない。その辺りも世代交代が必要になるのではないかと思います。

飯田)「やってやる」という若い人たちを潰したり、止めることのない社会にしないと、もう立ち行かなくなるのかも知れませんね。

須田)温室効果ガス排出削減に対する企業の向き合い方を見ると、「頭のなかが古過ぎるな」という一流企業の経営者ばかりです。

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