今後、「3つのパート」に分かれる米中関係 〜米中外相会談

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月1日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。ローマで行われたブリンケン米国務長官と中国の王毅外相による米中外相会談について解説した。

バイデン米大統領(ゲッティ=共同)、中国の習近平国家主席 写真提供:共同通信社

バイデン次期米大統領(ゲッティ=共同)、中国の習近平国家主席 写真提供:共同通信社

米中外相会談

アメリカのブリンケン国務長官と中国の王毅外相は10月31日、G20の開催地であるイタリアのローマで会談を行った。台湾問題などでは双方の主張に隔たりがあるものの、気候変動対策など共通の課題では対話を維持することを確認している。

飯田)台湾問題に関しては、かなりの応酬になったということも言われておりますが、年内にはオンラインで首脳会談をやるということです。

今後、3つのパートに分かれる米中関係

須田)今後の米中関係は3つのパートに分かれて行くのだろうと思います。1つは「激しく対立するところ」。台湾問題や経済安全保障の問題などです。2つ目は「対話して行くところ」。対話の余地がないということがいちばんの問題なのですが。3番目は「協調して行くところ」です。

飯田)協調。

須田)米中で協力してものごとを進めて行く。CO2排出量の削減や地球温暖化の問題などについては、対立というよりも「協調して進めて行こうではないか」というところです。そういうなかで、複層的に物事が進んで行きますから、アメリカは対中国について「敵認定して激しく対立する」ということだけではないのだと思います。

アメリカの「西太平洋戦略」

須田)いまアメリカの民主党のなかで、「西太平洋」というキーワードが浮上しています。

飯田)西太平洋。

須田)西太平洋という地理的な概念なのですよ。太平洋が一体化しているわけではなくて、西側、つまり東アジアからオーストラリアにかけて、アメリカは重点的に関与して行くということなのです。ですからいま、西太平洋戦略が民主党のなかでブームになっているのですね。

飯田)西太平洋戦略が。

須田)その核心になるのが台湾であり、インドの状況であり、あるいは南シナ海の問題なのです。

台湾の双十節(建国記念日)祝賀式典で演説する蔡英文総統=2021年10月10日、台北(中央通信社=共同) 写真提供:共同通信社

西太平洋にすべてシフトして来る

飯田)そのなかでオーストラリアやイギリスとの枠組みであるAUKUSなども、発想として出て来たわけですか?

須田)先にそちらの方が先行して、あとから民主党内でそういった発想が出て来ているのだろうと思います。

飯田)アメリカ全体として、「アジアから退いて行くのではないか」という指摘もありますが、決してそうではないというところですか?

須田)むしろ関与を深めて行く。アメリカの国益という点でも、西太平洋は核心的な場になるのだろうという方向性が望めます。そこに全部シフトして来るということです。

局面が大きく変わって来た米中対立

飯田)先日、台湾の蔡英文総統がCNNテレビのインタビューに答えて、アメリカ軍が台湾軍を訓練しているのだと。これを公に認めたのは初めてだということでしたけれども。

須田)そこはアメリカサイドとのすり合わせが行われた上での発言です。

飯田)そうですよね。CNNテレビへの発言ですものね。

須田)局面が大きく変わって来た。それに対して中国がどう出て来るのか、ということになるのだろうと思います。

中国の極超音速ミサイル実験へのミリー統合参謀本部議長の発言

飯田)同じようなタイミングで、米軍制服組トップであるミリー統合参謀本部議長が、中国は極超音速ミサイルの実験を間違いなくやったのだと。それはスプートニク以来となる、アメリカにとっての脅威だというような発言がありました。この辺もフェーズが変わって来ているということですか?

須田)そこは対抗する手段があるかどうかという議論よりも、「もっと予算を寄越せ」ということです。

飯田)やはりそこですか。

須田)ある種のデモンストレーションだと思います。

「アメリカは中国と必ず対立している」という硬直的な思想は捨てるべき

飯田)協調するフェーズと対抗するフェーズということですが、CO2問題などに引っ張られて、「アメリカが全体として妥協するのではないか」という可能性が周辺国のリスクとしてあると思うのですが、その辺はどうなのですか?

須田)そこが外交安全保障の妙で、やはりどのカードを切るのか、どこを譲歩するのかをワンセットで考えて行く必要がある。ですから、日本としては「アメリカは中国と必ず対立しているものなのだ」という硬直的な思想は捨てた方がいいのではないかと思います。

飯田)そういうことですか。

須田)アメリカ国内の政治情勢として、バイデン政権は環境左派に大きく支えられている側面がありますからね。

飯田)国内事情にも引っ張られて来ると。

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